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中国の台湾占領を食い止めるための新兵器が考案されたという。数千の無人兵器を台湾海峡に展開して「無人の地獄絵図」をつくるというものだ。米インド太平洋軍のパパロ司令官が、2024年6月に明らかにした防衛作戦の計画は当時、「絵空事」との見方もあった。それが今、技術革新が進んだ結果、現実味を帯びつつあるというのだ。

 

『日本経済新聞 電子版』(2月8日付)は、「戦争を変える、米AI兵器 台湾防衛に大量無人機、構想 『突然エスカレートの恐れ』」と題する記事を掲載した。

 

米首都ワシントンで25年10月、米連邦議会議員や米国防総省の幹部を前に、あるAI兵器の開発計画が披露された。「X-BAT(エックス・バット)」と呼ばれる次世代の戦闘機だ。


(1)「エックス・バットは全地球測位システム(GPS)や外部との通信を必要とせず、「AIパイロット」が自律的に判断して動く。世界で初めて完全無人、かつ滑走路を必要としない垂直での離着陸を可能にした。搭載できる兵器も多様で、戦闘機同士の空中戦、地上施設への攻撃のどちらにも対応できる。製造・運用にかかるコストは米軍の最新型戦闘機「第5世代」のF35などに比べ、10分の1におさまるという。エックス・バット開発の責任者、アーマー・ハリス氏は「敵対勢力は、我々が決定的な優位性を持つと理解することになる」と出席者に語った。開発したのは西部カリフォルニア州を拠点とし、ドローンの自律飛行ソフトを開発する新興の米シールドAIだ」

 

無人戦闘機エックス・バットは、「AIパイロット」が自律的に判断して動くという。世界で初めて完全無人、滑走路を必要としない垂直での離着陸を可能であるという。コストは、最新型戦闘機「第5世代」のF35などに比べ、10分の1程度だ。

 

(2)「滑走路を必要としないエックス・バットは、これまで航空戦力の展開が難しかった台湾周辺の無人島などにも配備できる。シールドAIは28年に任務遂行能力の試験飛行を目指す。25年9月には台湾の防衛能力の強化をうたい、防衛・航空大手の漢翔航空工業(AIDC)と提携した。24年夏まで米国防総省で次官補代理を務めていたマイケル・ホロウィッツ氏は、「無人の地獄絵図」計画にはエックス・バットだけでなく「AI搭載の無人水上艇・水中艇、さらに片道切符の長距離型攻撃ドローンの開発が重要だ」と説く。米国や同盟国などが積極投資を進めれば、今後2年以内にAI搭載兵器を実戦配備できるようになると予見する。中国による台湾侵攻を「著しく困難にする可能性がある」と指摘する」

 

米海兵隊は、すでに小部隊編成で台湾付近の島嶼部に潜む配置となっている。この小部隊には、滑走路を必要としないエックス・バットを与えれば、島影から無人戦闘機が襲いかかるという戦術を展開するのであろう。

 

(3)「米国ではAIの広がりが、軍需産業のあり方も変えようとしている。国防総省は26年会計年度でAI関連予算に134億ドル(約2.1兆円)を求めている。22年会計年度と比べ、およそ6倍に増えた。米調査会社グランドビューリサーチの推計では、世界の軍事用AI市場は25年から30年にかけて年平均13%のペースで伸びる。シールドAIのほか、データ分析のパランティア・テクノロジーズ、自律走行車のアンドゥリル・インダストリーズなどが急成長し、軍事専業の独占市場に風穴を開けつつある。ロイター通信によると、新興AI企業の国防総省との契約は25年にほぼ倍増した」

 

今回の米軍のベネズエラ急襲作戦で使われたとされる「ダイナミック・オントロジー(Dynamic Ontology)」は、現代の軍事AIの中でも最先端の領域に属する。これは単なる情報分析AIではなく、戦場そのものを「動的に理解し続けるAI」と位置づけられている。エックス・バットは、このダイナミック・オントロジーに連携して使われるのであろう。

 

(4)「AIの軍事利用を進めているのは米国だけではない。中国の国有防衛大手、中国兵器工業集団は25年2月、時速50キロで自律的に戦闘支援任務を遂行できる軍用車両を公表した。米シンクタンク、新アメリカ安全保障センター(CNAS)のステーシー・ペティジョン氏は、「中国がかなり幅広く無人システムを開発し(群れで動く)協調型ドローンの開発に一貫して注力しているのは懸念材料だ」と指摘する。「AI戦争は人類の存続を危険にさらす恐れさえある。人間だけによる戦闘シミュレーションと比べ、AIモデルでは核戦争を含め、戦争が突然エスカレートする傾向があることがわかった」と指摘」

 

中国は、時速50キロで自律的に戦闘支援任務を遂行できる軍用車両である。米国のエックス・バットとは、レベルが異なる。

 

(5)「米軍制服組トップの統合参謀本部議長を務めたマーク・ミリー氏と米グーグル元最高経営責任者(CEO)のエリック・シュミット氏による米誌『フォーリン・アフェアーズ』への24年の寄稿は、専門家に重い問いを投げかける。人間であれば、最低でも2日かかっていたような作戦策定に向けたシナリオ分析が、1分以内でできることが分かってきた。人間なら二の足を踏むような人的被害を生む攻撃も、AIはためらわない可能性がある。それでも米中ともに、AI兵器を規制する国際ルール作りには消極的だ」

 

これは、ダイナミック・オントロジーを指しているとみられる。センサー情報(衛星、ドローン、通信傍受、レーダー)を統合したもので、敵の行動・意図・位置を「ストーリー」として理解するものだ。つまり、結論を導くので指揮官に「次に起こりうる事象」を提示するという。米軍は、すでにこのレベルに達している。