現在位置:
  1. 2009総選挙
  2. 地方ニュース
  3. 佐賀
  4. 記事

〈09政権選択さが 国策の足もとで〉諫早干拓訴訟の原告ら、与野党に接触

2009年7月27日

印刷印刷用画面を開く

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

 国営諫早湾干拓事業(長崎県諫早市)の潮受け堤防排水門を調査のために長期開門するよう、佐賀地裁が漁民らによる損害賠償請求訴訟で国に命じる判決を言い渡して1年余り。国は開門可否の検討に着手したものの、いまだ実現のめどは立っていない。早期開門を切望する原告漁民らは「政治による農水省包囲網を」と、与野党双方の国会議員を通じた働きかけを強める。野党議員をも頼りにするのは、現実味を帯びてきた「政権交代」を見据えてのことだ。(市川雄輝)

 「政権交代も念頭に置いて、このたび、お願いに参りました」。原告弁護団事務局長の堀良一弁護士は毎回、決まって、こう切り出した。

 6月23、24の両日、原告漁業者と弁護団、支援者ら約20人は「野党国会議員要請活動」と銘打ち、東京・永田町の議員会館を巡った。筒井信隆・民主党「次の内閣」農水相や、重野安正・社民党幹事長ら政党幹部をはじめ、共産党や国民新党、無所属も含む十数人に会った。

 原告漁民の平方宣清さん(56)=太良町=は、環境影響評価を経て開門まで6、7年かかる、と国が説明している実情を各議員に紹介し、「有明海は今も異変が続いている。不漁続きで生活も苦しく、もう待てる余裕はない」と訴えた。一行は次期衆院選のマニフェストに開門の明記を求める要望書も手渡した。

 原告漁民らは6月1、2日にも自民党の4国会議員と面会し、早期開門への協力を求めたばかりだ。そのうちの一人、判決当時の法相で農水省の控訴方針に抵抗した鳩山邦夫総務相=6月12日に辞任=からは「一日も早い開門を願う思いは同じだ」とエールを受けたという。

 なぜ与党も野党もなのか。堀弁護士は「公式見解的に言えば、党派を超えた包囲網で農水省を追い込むため。本音で言えば『政権交代』もにらんでの備えですよ」と話す。

      ◇      

 6月9日、自民・岩永浩美参院議員(佐賀選挙区)は参院農水委員会で質問に立ち、開門調査までの期間短縮を主張。石破農水相から、開門に必要な防災工事などの準備期間を短縮する方法を検討する、との答弁を引き出した。

 筒井・民主党「次の内閣」農水相は、原告団の依頼を受けて6月24日、開門調査で必要となる、背後地の防災対策や周辺干拓地の代替水源確保の費用を、どこが負担するかを農水省に照会。「開門する場合、国が全額負担する」との回答を得た。

 「総選挙を控え、与野党が諫早湾干拓問題への取り組みを競い合うようになってきた」。原告の1人、佐賀市のノリ漁師川崎賢朗さん(48)はそう受け止めている。

 県内の若手漁民でつくる「佐賀有明の会」代表。07年の参院選前、「有明海の再生」をテーマに、佐賀選挙区に立候補予定の自民・民主・共産の3人を招いた公開討論会を仕掛けた。「当時、中長期の開門調査に慎重だった自民に、我々の主張を汲(く)んでもらおうという狙いもあった」と振り返る。

 次期総選挙に向けた討論会をするかどうかは未定だ。県内で与野党がそろって早期開門を口にする今、「前回ほどの意義があるのか」との異論もあるからだという。

 川崎さん自身は、形はどうであれ、直接、各候補の訴えを聞き比べ、一票を投じるつもりだ。「私にとっての最大の争点は諫早湾干拓だ。どれだけやってくれるのか、その熱意も含めて判断する」

検索フォーム

佐賀