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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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【ARG】かがみの特殊少年更生施設体験レポート

こんにちは、リー猫と申します。

先日、第四境界(※)の新作ARG『かがみの特殊少年更生施設』をクリアしました。
とある少年院を調査することにより、施設の闇を暴き、真実を明らかにしていくという”体験型モキュメンタリー”の形で制作されたこの作品。
Xアカウントと公式サイトだけで完結するシンプルさながら、そこで描かれる物語は実にリアルで奥深いものでした。

※第四境界とは
株式会社マレと株式会社ストーリーノートが運営するゲームブランド。
公式サイトでは「現実と仮想の間の曖昧な領域に物語を紡ぎ出すクリエイター集団」と説明されている。
『Project:;COLD』『人の財布』『行き場のなくなったポケットティッシュ』などを手がける。
第四境界について詳しくはこちらの記事をご参照ください。

本記事は、筆者が本作を知ったきっかけから、実際にプレイしてクリアするまでを時系列順に追った、プレイレポートの形になっています。
クリア後にお読みいただくことを推奨しますが、調査の進捗ごとにセクション分けしてありますので、途中から自力でのプレイに切り替えていただいても良いかと思います。

【概要】
作品名:かがみの特殊少年更生施設
ジャンル:ARG(代替現実ゲーム)
価格:無料
展開場所:webサイト、X(旧Twitter)

※結末を含め全てネタバレしておりますのでご了承ください。
※調査記録は筆者のクリア順序で構成しています。
※そのため、必ずしもこの手順が正解ではありません。

1.はじまり

筆者が『かがみの特殊少年更生施設』を知ったきっかけは、Xのタイムラインに流れてきたひとつのポストでした。

件のアカウントは、石川さんを含めARGや謎解き関係者を3名ほどフォローしており、淡々とポストを投稿しているだけの存在でした。

その当時、筆者も参加していた『Project:;COLD 2.0 ALTÆR CARNIVAL』が佳境を迎えており、他のARGを追いかける余裕も無く、投稿に一通り目を通すくらいしかできずにいました。
どうやらアカウントの持ち主は女性で、別人のように変わってしまった「A君」なる人物に何が起きているのかを知りたがっている、という大まかな状況くらいは把握できました。

すでに投稿されていた実写動画の作りこみや、おそらく不正な手段で潜入したと思われる展示会の作品数の多さ、また全体に漂う不穏な空気感から、かなり大規模かつ手の込んだARGであるという予感はしていました。

その日を境にじわじわと拡散されていった「気づいて」のアカウントは、2日後にはフォロワー数が1200人を超え、考察用のDiscordサーバーも立ち上がります。

また、Xの投稿動画に映る作品名などからキーワード検索を行い、「愛宝学園かがみの特殊少年更生施設」のサイトも発見されました。

サイトの最下部には「ⓒ第四境界」のクレジットがあり、Project:;COLDと同じ制作元の作品であることも判明します。
いつしかX上では「#気づいてA君」というハッシュタグが作られ、活発な情報交換が行われるようになっていきました。
有志によって作られたタグで情報が広まっていく様子は、Project:;COLD case.613で使われた「#みやまん考察(※)」を彷彿とさせました。

※みやまん考察
Project:;COLD case.613の登場人物であるガールズバンド「都まんじゅう」が「血の人形・再来事件」に巻き込まれ、これが一種のミステリーゲームだと明かされる以前から誕生していたハッシュタグ。
自己紹介動画の不穏なノイズや怪しげなオカルトサイトの登場で、ただのVTuberではないと話題になり、みやまん考察タグを付けていくつもの考察が投稿された。

2.プロジェクト公開

『Project:;COLD 2.0 ALTÆR CARNIVAL』が完結した翌日の2024年4月1日、「気づいて」アカウントは更生施設サイトのリンクを投稿します。
また、彼女は翌日には日本を離れてしまうため、このポストが最後(更新終了)であることも伝えられました。

その後、制作元である第四境界が「「かがみの特殊少年更生施設」について」という一文とともに、1本のYouTube動画をポストします。

その日の22:30にプレミア公開されたこの動画は、一人の男性があるきっかけで更生施設のWEBサイトを知り、奇妙な違和感から施設の核心へ迫っていく、というドキュメンタリー風の構成でした。
動画を見れば、このARGをどのように進めればよいか分かるようになっており、どうやらチュートリアルも兼ねているようです。

動画内で説明されたサイトの仕掛けは下記のとおり。

◆院生作品の絵画は003から005に飛んでおり、URL編集で欠番「004」の絵画を表示できる
◆「更生理念」からDLできるスライドに、トリミングされた画像がある(白衣を着た血まみれの男が隠されている)
◆「職業訓練推進ポスター」から文字を拾う(ポスター内の数字が文字の位置を表している)と「くすりのまされた」
◆絵画『対称』を印刷し、折り紙でチューリップを作ると「OKABEKIKEN(岡部危険)」の文字が現れる
◆絵画『己』の右上に文字「オカベキッタ」
◆職員紹介に「岡部」という人物はいない
◆サイト内の検索欄で【岡部】を検索するとリンクではたどり着けないページ「サイト改変に際する申し送り事項」がヒットする
◆サイトのマンガと「気づいて」の投稿した動画内のマンガに差異がある
◆サイトのマンガで消されていたワード【矯正の歴史】で検索すると「カウンセラー・鳥居諒」がヒットする
◆鳥居の経歴に記載されたワード【精神の統一について】で検索すると「著書『精神の統一について』」がヒットする
◆著書の概要に記載されたワード【特殊思想教育】で検索すると「医師・岡部勝博」と「研究機関データ」がヒットする
◆上の二つのページから得られたワード【岡部勝博 ヴィッターマルフ】で検索すると「岡部勝博経歴書」がヒットする
◆経歴書から、かつて岡部の所属していた【木南特例総合病院】で検索すると「研究機関データ」と「医師・高島啓介」がヒットする
◆上の二つのページから得られたワード【木南信克 高島啓介】で検索すると「高島啓介経歴書」がヒットする
◆経歴書の『第4の投影法心理テスト』という記述から【????】で検索すると「精神医療データ」がヒットする
◆マンガ「バイカラー・ムーン」には下書き・完成原稿・改変原稿が存在し、さらにその前段階が存在する可能性もある
◆男性のPCからサイトへアクセスできなくなり、これ以上の調査が不可能となった

施設ホームページの開示と、チュートリアル動画が公開されたことにより、ARG『かがみの特殊少年更生施設』は正式にプロジェクト公開となります。
(それまで非公開だったページも、4月1日にすべて公開されました)

また、動画公開翌日に投稿された電ファミニコゲーマーの記事により、このゲームの最終目的は『検索を駆使してLEVEL10の機密情報へアクセスすること』であると解説されていました。

3.調査記録

ゲームの進め方とゴールも理解できたところで、いよいよ本格的な調査をスタートしていきます。
YouTube動画で明かされたページを閲覧する前に、まずは通常公開されているページをすべて把握するところから始めました。
かがみの特殊少年更生施設(以下、更生施設)のサイトには、ページごとに番号とレベルが表示されているようでした。

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右下にページNoとレベルの表記がある

1/127(LV0)という表記から、ページは全部で127個あることが分かります。
そのうち、サイトのトップページからリンクが張られたページは61個(動画で紹介されていた絵画004含む)ありました。
ちなみに、普通に見られるページはすべてLV0でした。

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トップページからたどり着けるページ一覧

動画でも言及されていましたが、サイトは一見すると普通の少年院です。
しかし、絵画の抜け番号「004」や「オカベキッタ」の他にも、LV0のページには院生が隠したいくつものメッセージが隠されていました。
それらにの謎解きついては、後ほど詳しく記載していきます。

一通り目を通して感じたのは、動画にもあったようにやはりマンガ「バイカラー・ムーン」の不気味な違和感です。
登場人物のネームタグや学園名、黒板の文字などが不自然に塗りつぶされていたり、セリフと行動がちぐはぐな展開があったりと、不審な点がいくつも見つかります。
「気づいて」アカウントでもマンガの改ざんについて言及しており、原稿の改変箇所が『施設にとって都合の悪い部分=調査の手がかり』になるのではないか、という推測が成り立ちます。

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マンガの改ざんを疑うポスト

生徒作品に隠されたメッセージ、バイカラー・ムーンの違和感が調査のカギとなりそうなことを把握し、まずはチュートリアル動画に沿って調査していきます。

・ページ67~77

動画内で発見されていた検索ワードとページは下記のとおり。
※以下、【検索ワード】→発見したページ(リンク付き)の形で表記しています。

【岡部】
 →
サイト改変に際する申し送り事項
【矯正の歴史】
 →
カウンセラー
【精神の統一について】
 →
著書『精神の統一について』
【特殊思想教育】
 →
医師・岡部勝博
 →
研究機関データ
【岡部勝博 ヴィッターマルフ法】
 →
岡部勝博経歴書
【木南特例総合病院】
 →
研究機関データ
 →
医師・高島啓介
【高島啓介 木南信克】
 →
高島啓介経歴書

検索ワードによってヒットしたページを読み進めると、下記のような事実が明らかとなります。

◆職員紹介に無いカウンセラー・鳥居諒は表現指導を担当しており、『特殊思想教育』に焦点を当てた著書「精神の統一について」を執筆した
◆「特殊思想教育」を確立した脳外科医・岡部勝博も更生施設に所属しており、青少年の非行や犯罪と脳神経の発達について研究を行っている
◆岡部勝博が所属していた木南特例総合病院では、院長の木南信克と精神科医の高島啓介が共同研究を行っていた
◆高島啓介も更生施設へ入職し、非行少年の更生プログラムの一環として少年の精神医療に携わっている

精神科医はまだ理解できますが、脳外科医が少年院に所属しているのは明らかにおかしいです。
院長の言葉にある、再犯率0%の達成と更生プログラムの関係。
教育やカウンセリング以外の「何か」が、この施設で行われているのではないかという疑念が浮かびます。

次に、動画内で伏せられていた『第4の投影法心理テスト』から導かれるキーワードを調べてみます。
これは、Google検索で難なく判明しました。
ロールシャッハテスト、PFスタディ、TAT絵画統覚検査以外で登場する心理テスト名がキーワードでした。

【バウムテスト】
 →
「精神医療データ」

ヒットしたページでは、更生施設で行われている1号施術~4号施術という単語と、施術前後のバウムテストでは院生の攻撃性や反抗心が抑えられるという結果が示されていました。
そして、同じページに設置されているのが、マンガ「バイカラー・ムーン」の下書き原稿です。

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バイカラー・ムーン下書き原稿の表紙

つまり、このマンガも施術によって変化したものであり、下書き原稿は施術前、完成原稿は施術後に描かれたものではないかと推測できます。
一通り目を通すと、下書き原稿では生々しい描写が多く、より事実に近いのではないかと感じました。
登場人物の名前も異なっており、おそらく下書き原稿の方は実名で書かれていて、サイト掲載の際に仮名へ変更されたと思われます。
(誰でも見れるサイトに実名を載せるわけがないので当然ですが……)

バイカラー・ムーンの下書き原稿から読み取れる内容は下記のとおり

◆主人公の名前は「蒼乃晴翔(以下、晴翔)」
◆入所後、反省の気持ちが特に強い者は『悔悟の礼』を受ける
◆悔悟の礼は死んだほうがマシなくらいキツく、実際に死んだ者もいる
◆掃除をサボり飄々としている少年「乙坂響(以下、響)」
◆響を”親殺し”と呼び、突っかかる少年「林野廣剛」
◆晴翔は響の描く油絵に衝撃を受ける
◆晴翔は友人の勧めで呼んだマンガに影響されマンガを描き始める
◆晴翔のマンガに興味を示す同級生「花城璃子(以下、璃子)」
◆晴翔と響はともに絵を描くうち心を通わせる
◆響は家庭内暴力により妹を傷つけられ、父を刺殺した
◆晴翔と響は一枚の絵を共作しようと決める
◆璃子は担任の教師からセクハラを受けていた
◆晴翔は璃子を守るために何らかの罪を犯した(直接の描写なし)
◆共作の絵が完成し、響と晴翔は『悔悟の礼』へ志願する
◆響が『悔悟の礼』に選出される
◆施術が進むにつれて響の性格が変化していく(攻撃性が消える)
◆響の退所後、晴翔も『悔悟の礼』に選出される

ストーリーで語られる内容から、気づいてのアカウントで「A君」と呼ばれているのが晴翔(蒼乃=AONOの頭文字)、アカウントの持ち主が璃子であると推測できます。
つまり、璃子は(おそらく彼女を守る為に)罪を犯して少年院へ入った少年・蒼乃晴翔に何が起きているのか、それを知りたがっているのでした。

・ページ88~104

バイカラー・ムーンの下書き原稿には、検索に引っかかるワードが数多く含まれていました。
これにより、調査は大きく進展することとなります。
以下、筆者が調査した順に検索ワードと発見したページの概要、得られた情報を元に行った考察など、調査の経過を記載していきます。

【悔悟の礼】
 →
表現指導評価レポート
響と晴翔が受けた、死ぬほどキツいと言われる施術。
完成原稿では特別な生徒だけが受けられる「特例優秀賞」と呼称されていましたが、どうやらこれを受けた者は凶暴性が抑えられ、性格が変わってしまうようです。

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ページに掲載されていた画像

このページには誰かのデスクを写した2枚の画像しか掲載されておらず、置かれているレポートも当り障りのない内容で、人物を特定する手掛かりはありませんでした。
ところが、左上のメモ帳に書かれた内容(下記)がかなり衝撃的でした。

息子が人殺しになったあの夜、私の人生は変わった。

「親を侮辱されたから殺した」ーー
そう言った息子の目は、犯罪者の目だった。

なぜ私の息子が人殺しになってしまったのか。
犯罪者の目をした息子を元に戻す方法はないのか。
あらゆる手を尽くして探し出したとその答えが、
当時秘密裏に研究され、「悔悟の礼」とも呼ばれていたあの施術だった。

そうして被験体16号となった息子は、元の澄んだ目に戻ることができた。
しかし、父親についての記憶を失っていた。

やがてカウンセラーになった息子は、
誰もいないカウンセリング室で、つぶやいていたことがある。

「いつか、父さんを連れていくと言ったあの街に
僕は行ってくる。父さんの愛する北欧神話ゆかりの街。
父さんが見られなかった景色を、僕がこの目で見てくるよ」

息子は私のことは忘れても、かって私とした約束は覚えていた。

私は正しい道を選んだ。
しかし、息子が覚えていたあの街の名を、私も決して忘れないと誓う。

『北欧神話ゆかりの街(オーデンセ、コペンハーゲンなど)』が検索ワードになると思い、あれこれ試すもヒットせず、またこのメモを書いたのがどの職員なのかも分かりませんでした。
それ以上の結果が得られなかったため、ここでいったん保留とします。

【7号施術寮】
 →
職員用マップ
悔悟の礼の掲示物に記載されていた建物。
院内紹介のマップには第1~第3寮までしか無く、「施術寮」という文言も見当たらないため検索してみたところ、職員用マップのページがヒットしました。

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一般用マップと職員用マップの比較

サイトで閲覧できる一般用のマップと比べると、第3寮が1~7号施術寮に、医務課が更生推進棟第1~4施術室に変化しています。
藤棚の名称が「恩賜の藤棚」に変わっているものの、このマップから検索ワードは見つけられませんでした。

【449 乙坂響】
 →
乙坂響経過報告書
  └
人物報告書児相・家裁報告書特別指示書
「乙坂響」だけではヒットしませんでしたが、響が悔悟の礼に選出された際の掲示物に記載されていた、院生番号と思われる数字と合わせて検索すると、複数のページが発見できました。

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乙坂響に関する資料

人物報告書は響のプロフィール、児相・家裁報告書は響の家庭環境や交友関係を分析した調査票、特別指示書は響が当初収容されていた少年院から更生施設への移送スケジュールでした。
響が起こした事件について、具体的に記載された資料はありませんでしたが、彼の真面目な性格や母の死後始まった父親からの虐待、崩壊していった家庭の様子などが詳細に綴られていました。

乙坂響経過報告書の資料内に、気になるワードがあったのでそちらでも検索してみることにします。

①卒院制作では『得意な描き方』で『施設内のある場所』をモチーフに作品を仕上げた。(人物報告書より)
②対象者を擁卵警護員に引き渡す。(特別指示書より)

【油彩画 恩賜の藤棚】
乙坂響卒院制作
上記①について、バイカラー・ムーンより響の得意な描き方は【油彩画】、施設内のある場所は彼が”穴場”だと言っていた【恩賜の藤棚(職員マップより)】であると推測。
※当初は【油絵 藤棚】で発見しましたが、4/17に修正され検索できなくなりました。

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1号施術後の卒院制作

このページには、響が受けた「悔悟の礼」と呼ばれる施術によって変化していく油絵が掲載されていました。
油彩画は全部で4枚あり、1号から4号までの施術段階によって構図も絵のタッチも全くの別物になっていきます。
そして、ページ最下部の一文にかなり重要そうなワードがありました。

※より優秀な「PGQデータ」は特殊スケジュールに基づき研究院送付用に制作された因子番号467の卒院制作を参照せよ。

因子番号467は蒼乃晴翔の番号です。(晴翔の情報については後述)
「PGQデータ」はおそらく施術過程による変化を表した卒院制作のデータを指すのだと思われますが、その単語だけでは何もヒットせず、「特殊スケジュール」や「研究員送付用」といったワードでも空振りだったため、気になりつつもこのページは一旦保留としました。

【擁卵警護員】
移送スケジュール
上記の②にあった聞き慣れない単語。
移送スケジュールのページがヒットします。

このページには、令和4年の一年間に更生施設へ受け入れられた少年の、移送元と人数が記載されていました。
一年で22名もの少年が、様々な少年院や家庭裁判所から、この施設へ移送されています。
少年院のことはよく分かりませんが、一度入った施設から転院することはあまり無いのではないでしょうか。
さらに、移送する少年のことを「個体」と表現しており、まるで物のように扱っている印象を受けます。

そして、最下部の「申し送り事項」に気になる記述を見つけます。

・カミソリの替え刃やキャンバススクレーパー(美術道具)を凶器に用いた個体がいるので、武器になり得るあらゆる物品の徹底管理を行うこと。

バイカラー・ムーンの下書き原稿で、おそらく晴翔が握りしめていた刃物のような凶器。
「キャンバススクレーパーを凶器に用いた個体」が晴翔のことを指しているのだとしたら、彼が絵を描くことから距離を置き、特に油絵が苦手だと言った理由と繋がるような気がしました。

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バイカラー・ムーンの下書きより

【467 蒼乃晴翔】
蒼乃晴翔経過報告書
  └人物報告書児相・家裁報告書
晴翔が悔悟の礼に選出された際の掲示物より。
響と同じく、晴翔も因子番号と名前の組み合わせで複数のページが発見できます。

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蒼乃晴翔に関する資料

人物報告書では、晴翔が高名な画家を多数輩出している家系であること、父親とはほぼ勘当状態で、彼の施術に協力的であることなどが判明します。
一方、児相・家裁報告書では、晴翔が友人Aに勧められたマンガ(ウルトラビリー)に熱中して漫画を描くようになったこと、深い友情関係を築いていた友人B(おそらく璃子)のことが記載してありました。

【火辰高校】
関係資料
晴翔の人物報告書にあった高校名。
バイカラー・ムーンの下書き原稿で、晴翔が漫画を描いていたノートにも表記がありました。
こちらのワードでは、彼が起こしたと思われる事件の記事がヒットします。

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火辰高校で起きた事件の記事

腹部を刺されて死亡した教員は女子生徒(璃子)に性的加害をしており、同じクラスの男子生徒(晴翔)は女子生徒に会いに行っていた。
バイカラー・ムーンの下書きにあった描写と状況が一致するため、教員を殺害したのは晴翔で間違いなさそうです。
そして、記事右下の「凶器や犯行現場の詳細まとめること」という手書き文字から、さらに検索ができそうでした。

しかし、凶器はおそらくキャンバススクレーパーだと思われましたが、犯行現場についての情報は記事にもバイカラー・ムーンにもありませんでした。
適当に高校にありそうな教室を検索しますがヒットせず、こちらもいったん保留としました。

ここまでに発見したページをまとめると、下記のとおりです。
No.99以降のページからはレベル5に設定されていました。
最高がレベル10とのことなので、ようやく半分といったところでしょうか。

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これまでに発見したページ

まず、晴翔の事件に璃子が深く関わっていたという事実に驚かされました。
さらに晴翔と響はおそらく殺人を犯している。
施設で行われている謎の施術も気になりますが、彼らの罪についても、より深く知る必要がありそうです。

・ページ80~87

ここまで進めたところで、調査は停滞してしまいます。
いくつか次に進めそうなページがあるものの、思いつく単語で検索しても一向にページがヒットしなくなってしまいました。

すでにページNoに歯抜けがあり、見落としているキーワードがいくつかあると思われます。
そこで一度視点を変え、あらためて初めから注意深く資料を見返してみることにします。
すると、次の二つのルートを発見することができました。

【救命ボート問題】
研究機関データ
サイトに掲載されているバイカラー・ムーンでは黒く塗りつぶされていた黒板の文字が、璃子のアカウントが投稿した動画に映っていた動画では読み取れることに気付きました。

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かろうじて読み取れる「救命ボート問題」

この授業風景の場面は下書き原稿には無く、晴翔たちの起こした事件部分を大幅に削った穴埋めとして追加されたのではないかと推測します。
ヒットしたページには、院生が受けさせられたIQテストや体力テストの項目が記載されていました。

【422 鎌倉勇】
鎌倉勇経過報告書
  └人物報告書児相・家裁報告書
研究機関データの最下部にあった令和3年度の成績優秀者から、一人の院生の情報がヒットしました。

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鎌倉勇に関する資料

資料に目を通すと、医者を務める父の元で厳しく育てられ、大学受験のプレッシャーと家庭トラブルから非行に走り、何らかの事件を起こしてしまったと思われました。
また、鎌倉勇の居住地は奈良県、響は埼玉県、晴翔は神奈川県と、全国各地からこの施設に少年が集められていることが分かります。
鎌倉勇についてはこれ以上の情報は無く、また別の角度から調べてみることにします。

【431 林野廣剛】
林野廣剛経過報告書
  └人物報告書児相・家裁報告書
バイカラー・ムーンで何かと響にちょっかいを出してきた乱暴者。
彼は下書き原稿でフルネームが判明しており、因子番号さえ分かれば鎌倉勇のようにヒットするのではないかと考えます。
【特殊思想教育】で発見された研究機関データの中に、林野廣剛を思わせる性格の人物がいることに気付き、記載された因子番号と組み合わせて検索してみると、予想通り彼に関する資料がヒットしました。

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林野廣剛の性格と似通っている

母子家庭で育ち、兄弟の面倒をよく見ていた彼でしたが、貧しい暮らしやアルバイトのストレスから非行に走り、暴力事件を起こしてしまったようでした。
そして、人物報告書の備考欄に記載されていたあるキーワードで別のページを発見することができます。

【業務用消火器】
関係資料
晴翔の記事にあった「凶器」という言葉が印象に残っており、林野廣剛が事件に用いた凶器である「業務用消火器」で検索してみると、彼の起こした事件の記事がヒットしました。

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林野廣剛が起こした事件の記事

どうやら同級生とトラブルになり、カッとなって消火器で殴ってしまったようです。
しかし、家族思いな一面のある彼のこと、同級生から心無い言葉をかけられたりしたのではないかと、その背景を想像してしまいます。
林野廣剛については、これ以上の進展はなさそうでした。

ここまでの発見ページは以下のとおり。
歯抜けになっていた80~87が埋まりました。

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これまでに発見したページ

鎌倉勇が何の罪を犯したのかについては判明しませんでしたが、林野廣剛が起こしたのは傷害事件であり、晴翔や響と比べて罪の重さは軽いような気がします。(比べるようなものではありませんが……)

・ページ89~91、96~97、105~106

二人の院生に関する情報が得られたところで、調査は再び暗礁に乗り上げてしまいます。
手掛かりになりそうな人物や単語はあるものの、一向に新たなページが見つかりません。
そんな状況が一変したのは、意外なキーワードから発見した人物でした。

【徳広大】
薬剤師
バイカラー・ムーンの下書き原稿で璃子が口にしていた志望大学。
関係ないだろうと思いつつ、【徳広大 獣医学部】で検索はしていたのですが、大学名のみの検索でヒットするとは思いませんでした。

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バイカラー・ムーンの一場面

薬剤師・小日向紀子。
その名前には見覚えがありました。
院生作品の絵画『音、二秒遅れて』には暗号が隠されており、下部の青いラインをモールス信号にしてひらがなに変換することができます。

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モールス信号の変換結果

「小日向の薬飲むな」
OKABEKIKENと同じく、院生作品に隠されたメッセージで、薬を飲まないよう注意が呼びかけられていた人物です。
徳広大学には薬学部があり、小日向紀子はそこの卒業生でした。
そして、彼女の経歴に気になる記述を見つけます。

徳広大学薬学部を卒業後、「精神科専門の薬剤師資格」を取得

「精神科専門の薬剤師資格」が不自然に括弧で囲まれています。
これまでにも括弧書きの中には「第4の投影法心理テスト」「得意な描き方」「施設内のある場所」といった、別な単語に変換することで検索ワードになる情報が多々ありました。
そこで、「精神科専門の薬剤師資格」というキーワードでGoogle検索してみます。

【精神科薬物療法認定薬剤師】
投薬データ
案の定、次の検索ワードが見つかりました。
内容としては、3か月間の投薬スケジュールを記したシンプルな表でした。
ページ最下部に、そこからさらに次へ繋がりそうな記述があります。

※主として使用する二種の薬剤については、スケジュールを都度確認し容量を適宜決定した

主として使用する二種の薬剤。
スケジュール表の中で定期的に投薬が行われていたのは「クロルプロマジン」と「ペントバルビタール」です。

【クロルプロマジン ペントバルビタール】
特殊スケジュール
非常に長い検索語句になりますが、この二つを組み合わせることで次のページがヒットします。
それは、朝5時に起床して夜24時に就寝という極端に短い睡眠時間に加え、薬品投与や約4時間にわたって行われる施術が1日2回もあるという異常なスケジュールでした。

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通常スケジュールとの比較

「特殊スケジュール」という言葉は乙坂響卒院制作にも記載があり、このスケジュールは『悔悟の礼』に選出された者に適用されるのではないかと思われます。
そして、15:00の卒院制作に次の手がかりとなるキーワードがあります。

【ラボレート】
鎌倉勇卒院制作
バイカラー・ムーンでは、『悔悟の礼』に選出された院生は卒院に向けた制作を行うことが語られています。
しかし、それは展示や記念のためではなく、施術の効果を検証するために研究機関へ送付するためのようです。
ラボレートというキーワードでは、ある人物の卒院制作がヒットしました。

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鎌倉勇の卒院制作《始まりの季節》

鎌倉勇といえば、医者の父に厳しく育てられ、プレッシャーとストレスから非行に走ったという報告書にあった人物です。
どうやら彼も『悔悟の礼』に選出されていたようでした。
このページの最下部に、次なるヒントが記載されています。

研究院送付「ラボレート」済
※R5/08/19 表記を新語に統一するため修正

研究員送付という言葉が「ラボレート」に修正されていました。
ここで、あらためて乙坂響卒院制作にあった記述を思い出してみます。

※より優秀な「PGQデータ」は特殊スケジュールに基づき研究院送付用に制作された因子番号467の卒院制作を参照せよ。

【ラボレート PGQデータ】
蒼乃晴翔卒院制作
ラボレート=研究員送付なのであれば、因子番号467である晴翔の「PGQデータ」も送付されているばずです。
そこで、新語である「ラボレート」と組み合わせ検索を行ってみたところ、再びあのマンガを目にすることになります。

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バイカラー・ムーンのネーム原稿表紙

バイカラー・ムーンは施術が進行するにつれ、その内容は真実から遠ざかっていました。
このページにあったのは、マンガのコマ割りやアングル、台詞などを大まかに描いた、いわゆる「ネーム原稿」です。
ネーム原稿はおそらく最初期に描かれたものであり、かなり核心に迫る描写が多々あるのですが、重要な部分は消しゴムで消されたり、黒く塗りつぶされていて読むことができません。
さらに、施術後の響の油絵に「正しい絵」、施術前の絵に「正しくない絵」などと書き込みがされていて、この原稿は晴翔が施術を受けた後に手を加えたものだと考えられます。

先に発見された下書き原稿とネーム原稿の相違点は以下のとおり。

◆入所後、反省の気持ちが特に強い者は『悔悟の礼』を受ける
 →反省の見られない者は『カネモリ式』を受ける
◆悔悟の礼は死んだほうがマシなくらいキツく、実際に死んだ者もいる
 →人が変わったようにいい子ちゃんになる教育
◆共作の絵が完成し、響と晴翔は『悔悟の礼』へ志願する
 →素行不良が改善しないとされ、響に『カネモリ式』が適用される
◆響の退所後、晴翔も『悔悟の礼』に選出される
 →脱走企図、不正アクセス等を繰り返した晴翔も『カネモリ式』を適用

ネーム原稿の発見で、バイカラー・ムーンには3パターンの原稿が存在すると判明しました。
卒院制作は施術の経過を見るためのもので、1号~4号まで行われることが判明しています。
このことから、マンガの原稿は次のように改変されていったのではないかと推測します。

1号施術後:ネーム原稿
2号施術後:加工後のネーム原稿
3号施術後:下書き原稿
4号施術後:完成原稿
HP掲載時:改変原稿

加工後のネーム原稿から結果が得られた検索ワードは2つありました。

【キャンバススクレーパー 社会科準備室】
蒼乃晴翔事件詳細
晴翔の事件記事にメモ書きされていた「凶器」と「犯行現場」というキーワード。
凶器はキャンバススクレーパーだと推測していましたが、犯行現場が分からないままでした。
ネーム原稿には、傷けられた璃子を見て教師の元へ向かう晴翔のようすと、その行き先と思われる部屋名がありました。

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晴翔の向かった先は「社会科準備室」

これにより、晴翔が犯行に及んだ経緯がすべて明らかになりました。
反吐が出るような教師の悪行。晴翔が犯した罪は許されるものではないですが、璃子を守りたい一心だった彼の行いを責める気にはなれません。

【カネモリ式】
カネモリ式論文
「特例優等賞」→「くずがわ特例」→「悔悟の礼」と、原稿が完成していくにつれて名称が変化していった謎の施術。
それは、更生施設内で問題行動を起こした響と晴翔に施された「カネモリ式適合術」でした。

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カネモリ式論文の表紙

現れたのは、年代を感じさせる色褪せた紙に旧字体で書かれた論文。
序文の記載から、論文の初稿は戦前(昭和21年以前)にはすでに執筆されていたことが分かります。
ページには第一章しか掲載されていませんが、社会において適切な行動が取れない人物を「社会不適合因子」と呼び、薬と外科手術により強制的に人格矯正を行うという、恐ろしい内容でした。
表紙にある金森壽一郎という人物が、カネモリ式適合術の開発者のようです。

ここまでに発見したページは下記のとおり。
更生施設で行われている非人道的な行為の糸口となりそうな「カネモリ式論文」は、レベル6に設定されていました。

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これまでに発見したページ

璃子と更生施設には何の接点もないという思い込みから、【徳広大】の発見にはかなりの時間を要してしまいました。

・ページ107~112

カネモリ式論文の発見から次の進展までは、ほぼ丸一日かかりました。
論文のページ最下部にあった「現存するこちらの資料は、〈偲ぶ会〉を開催したときに集められました」という記述。
間違いなくこれがヒントだと思いながらも、どんなワードで検索しても結果が得られず、論文に何度も目を通しました。

そのおかげで、エガス・モニスとウォルター・フリーマンという実在した二人の人物について知ることができました。
彼らは精神医学の汚点とされる「ロボトミー手術」を世に広めた医師として、現代でも語り継がれていました。
ロボトミー手術とは、端的に言えば「脳の前頭葉を一部切除して感情などが湧かないようにする手術」であり、術後に死亡したり重い後遺症を負う被験者が続出するなどして、医学界では禁忌とされた術式です。
金森壽一郎は、論文の中でモニス、フリーマンの名前を挙げ、自らの名を冠したカネモリ式適合術を彼らの業績の集大成であると自負していました。
さらに、ロボトミー手術について調べる過程で、小日向紀子が投薬していたクロルプロマジンが向精神薬、ペントバルビタールが催眠・鎮静剤として実在する薬品であることも分かりました。

脳外科医・岡部勝博、精神科医・高島啓介、薬剤師・小日向紀子の名前がサイトから隠されている理由、院生が受ける「カネモリ式」という術式、璃子が面会した別人のようになってしまった晴翔。
点と点が繋がっていく感覚を覚えました。
丸一日を論文の解読に費やし、ついに次のページへとたどり着きます。

【金森寿一郎 偲ぶ会】
 →
偲ぶ会式次第
ずっと金森壽一郎で検索していたのですが、たまたま新字体の「寿」に変換したところ、ようやく発見できました。
※修正により現在は「壽一郎」でもヒットします

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偲ぶ会式次第

金森壽一郎の死去から一か月後に行われた「偲ぶ会」の式次第。
彼の経歴を見ると、かがみの特殊少年更生施設の施設長に就任する以前は、カガミノ脳病院の院長であったようです。
脳病院と少年更生施設がどのように関係してくるのでしょうか。
ページ下部には次のような記載があります。

この会には「辰京」時代の関係者が多く訪れ、皆さんのご助力のおかげでカネモリ式論文があつまりました。

次第の略年譜から、「辰京」とは壽一郎が入学した辰京医科大学を指す言葉だと思われました。
しかし、「辰京」や「辰京医科大学」のみではヒットしなかったため、その隣にある「北辰研究機関との共同研究に従事」という記載とセットで考えてみます。

【辰京 北辰研究機関】
研究の沿革
ヒットしました。
何らかの行政機関に宛てて、研究の継続困難による人員確保と研究施設の選定、追加予算の申請を依頼する文書のようでした。
資料によると金森壽一郎は精神を患い、一部の実験データ等を破棄した上で自殺したとのこと。

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行政機関に提供された情報(別紙1)

カネモリ式論文の序文に、戦災によって失われた論文を完成させるため、鴻池院家が支援を行ったという記述がありました。
また、鴻池院信親という人物は、かがみの特殊少年更生施設の理事であり、鴻池院家は研究の出資者的立場ではないかと推測します。
このページの下部には以下のような記載がありました。

以上の情報と要請を受け、鴻池院信親氏が筆頭となり当時の「部隊」にて保持していた「K0013」を中心とした資料を修復、データ格納した。

「部隊」と「K0013」というキーワード。
別紙1には、その部隊名が記載してあります。

【第五〇弐部隊 K0013】
戦時下における実験資料
大戦中に辰京医科大学で行われた実験の様子を記録した復元資料がヒットしました。
詳細はよく分かりませんが、生きた人間から脳を取り出したのではないかと思われます。(若干グロテスクな画像のため、転載しておりません)
ページ下部には以下の記載があります。

※12月15日に雅道氏に完成データ共有完了

こちらの資料をもとに、次の2つのページを発見しました。

【依代】
特例被験体の記録
実験資料の管理番号に記載されていた「依代」という単語が気になり、検索でヒットしたのは、カネモリ式適合術を施された被験体の記録でした。
被験体という名称が使われる以前は「依代」と呼称されていたようです。

注目したのは、最後の被験体となった被験体16号についての記述です。
「記憶の一部欠損が認められるが、予後は概ね順調と言える。回復後は心理学の勉強に加え、熱心に外国語の学習をしている。」
添えられた画像には、外国語と日本語が併記されています。
調べてみると、デンマーク語のようでした。

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被験体16号の学習ノート

ここで、【悔悟の礼】の検索でヒットした表現指導評価レポートのメモ帳を思い出します。
犯罪者となった息子を元に戻すため、施術を受けさせた父親の手記。
息子は「被験体16号」となり、元の澄んだ目に戻るも記憶を失っていました。しかし、父と交わした「北欧神話ゆかりの街」へ行くという約束だけは覚えていました。
あの手記が、ここに繋がりました。
デンマーク語を学習していることから、北欧神話ゆかりの街はやはりデンマークの都市で間違いなさそうです。

【九頭川雅道】
九頭川雅道について
実験資料ページの下部に記載されていた「雅道氏」という言葉と、データの作成者欄に記入された「M.九頭川」という名前。
Mが雅道のイニシャルではないかと推測して「九頭川雅道」で検索したところ、一人の医学博士がヒットしました。

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九頭川雅道略歴

最年少で医学博士号を取得し、「カネモリ式」を本格的な更生治療へ発展させた人物のようです。
「くずがわ」という単語は、璃子が撮影したバイカラー・ムーンの完成原稿にも登場していました。

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バイカラー・ムーン完成原稿の一場面

九頭川雅道の略歴から、水無瀬精神病院を研究院へ改名したという記述を手掛かりに、次のページへと進んでいきます。

【水無瀬研究院】
水無瀬研究院詳細
こちらのページには、更生施設の院長・久下沼智教へ送られたメールと思われる文面が記載されていました。
特に重要と思われる記述は下記のとおり。

この度、極秘通達を受け、施設の皆様と共に「社会不適合因子洗脳施術」の研究を進めさせていただくことになりました。
今回の通達を受けて大規模かつ本格的に術式の研究を始動するにあたり、新たに「専門部門」を設立することを決定いたしました。
全国の少年院から集めた適合推奨値の高い少年を対象に「更生プログラム」と称して、研究を進めて参りますので、お力添えのほどよろしくお願いいたします。

つまり、この施設で行われているのは「更生プログラム」と称した「現代適応させたカネモリ式」であり、その施術によって、再犯率0%を達成していたのです。
バイカラー・ムーンの完成原稿に「くずがわ」の名前が登場したのは、九頭川雅道が設立した研究院との共同研究である「社会不適合因子洗脳施術」を受けたからではないでしょうか。
さらに、水無瀬研究院で新たに設立された「専門部門」から調査を次の段階へ進めていきます。

ここまでに発見したページは下記のとおり。
レベル7の資料へ到達し、いよいよ核心に迫ってきました。

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これまでに発見したページ

金森「寿」一郎での検索はほとんど偶然の産物でしたので、もしそれがなければさらに時間を費やしていたことでしょう。
4/17から旧字体でもヒットするようになり、この関門はかなり楽になったのではないでしょうか。

・ページ113~118

【未来創世部門】
政府通達
研究の本格始動にあたり水無瀬研究院に設立された「未来創世部門」。
このキーワードでヒットしたのは、政府からの通達文書でした。
内容は久下沼智教へ送られた文面とほぼ同一でしたが、高島啓介・岡部勝博・小日向紀子が研究のために更生施設へ派遣された人物であったこと、施術が失敗した際は木南特例総合病院へ搬送されることなど、これまでに得た断片的な情報が、この文書に集約されていました。

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政府通達の2ページ目

そして、全国の少年院から適合者を集めて行われるこの更生プログラムが「政府主導」であったことが何より衝撃でした。
施術の失敗により蘇生不可だった場合の対処も記載してあり、人の死すらも政府によってもみ消されているのです。

【特務省更生局 喜多見勇次郎】
内部向け通達
政府通達に記載された発信者の情報が、次のキーワードになっていました。
極秘事項とされる文書に記載されていたのは、さらに恐ろしい内容でした。

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内部向け通達の1ページ目

更生施設で行われている「社会不適合因子洗脳施術」は、政府が秘密裏に開始した大きな計画の初期段階にすぎず、最終的には自分たちに従わない人間を洗脳によって弾圧することが目的だったのです。

【美羽統一】
久下沼院長個人フォルダ
政府が進める恐ろしい計画「美羽統一」のキーワードでヒットしたのは、更生施設の院長・久下沼智教の個人フォルダでした。
ほとんどのファイルが削除されていますが、最下部の「特例機密ファイル」にだけリンクが張られています。

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アクセスにはパスワードが必要

リンク先には、パスワードの入力フォームが設置されていました。
フォーム以外に何のヒントも無いため、初めは困惑しましたが、すぐにある一文を思い出します。

息子が覚えていたあの街の名を、私も決して忘れないと誓う。

特に根拠があったわけではなく、ただ思いついたという表現が正しいのですが、パスワードはこの記述だという確信がありました。
被験体16号が学習していたのはデンマーク語。
北欧神話ゆかりの地として候補に挙げていた、オーデンセとコペンハーゲンはどちらもデンマークの都市です。

【odense】
保護中: 特例機密ファイル
読みは当たっていました。
オーデンセの英語綴りである「odense」が機密ファイルへのアクセスパスワードに設定されていました。
つまり、犯罪者の息子を被験者として差し出したのは、院長の久下沼智教だったのです。

機密ファイルに置かれていたのは、バイカラー・ムーン。
晴翔によって手が加えられる前の、おそらく最初期に描かれたであろうネーム原稿でした。

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手が加えられる前のネーム原稿表紙

晴翔は施術が進むにつれて変わっていく響に疑問を持ち、施設で行われているおぞましい術式の真相を知ります。
最後のページに描かれた決意を固めたような晴翔の表情から、それを外へ知らせる手段として、このマンガを描いたのではないかと推測できます。

ひとつ前の原稿で、晴翔によって手が加えられていたのは、彼が「正しい感情」を表に出した場面の、表情や行動に関する部分でした。
施術によって性格が変えられた結果、何が正しいのか判断できなくなってしまったようにも思えます。
そして、晴翔が見てしまったカネモリ式適合術の資料から、次のページへの手がかりを発見します。

【人間創造】
 →
施術結果報告書
ヒットしたのは、「規格卵No.431に関しての報告」というタイトルの報告書でした。
No.431といえば、乱暴者の林野廣剛に付けられていた因子番号です。
報告書は「社会不適合因子洗脳施術」が2号施術まで進んだものの、改善が見られず中止され、「一般育雛法」に切り替えられたという内容。
被験者を「卵」に例え、卵体・托卵・検卵・孵化・消費期限などという言葉で表現されています。響に関する資料にあった「擁卵警護員」という言葉の意味も、ここでようやく判明しました。

何より驚いたのは、一年の間に全国から約3,600名もの少年を受け入れていたという事実です。施設の規模感から、一度にそれだけの人数が生活できるとは到底思えません。
報告書の「適性値の高い優秀な規格卵を選出することに成功した」という記述から、おそらく「ヴィッターマルフ法に基づいた精神鑑定」を行い、適正ありと認められた者だけを残しているのではないかと推測します。
(適正なしと判断された少年たちがどうなるのかは想像できませんが……)

施術の中止により切り替えられた【一般育雛法】が次のキーワードでした。

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一般育雛法のスケジュール

【一般育雛法】
 →
林野廣剛1~4号施術
やはり規格卵No.431は林野廣剛でした。
一般育雛法と呼ばれる施術の内容は次の4段階です。

【1号施術】自己批判・軽度の催眠
【2号施術】軟禁・投薬
【3号施術】磁気刺激法
【4号施術】記憶矯正カウンセリング

催眠によって判断力を奪い、投薬によって無気力状態へ陥らせ、磁気刺激によって脳機能の調整を行い、カウンセリングによって偽の記憶を植え付けるというものでした。
最後に記載された監察官の所感から、林野廣剛に当初行われた「社会不適合因子洗脳施術」は【特殊育雛法】と呼ばれていることが分かります。

ここまでに発見したページは下記のとおり。
とうとうレベル9の資料へ到達しました。

画像
これまでに発見したページ

北欧神話ゆかりの地で幾度となく検索を行っていたため、パスワードがスムーズに判明したのはラッキーでした。

・ページ119~127

これ以降は、響と晴翔に施された「特殊育雛法」の経過観察報告書となっていました。
いずれも検索ワードとなる次工程の施術名が記載されていたため、スムーズに進めることができます。
以下、工程ごとの施術内容と二人の経過概要を記載していきます。

【特殊育雛法】
 →
乙坂響1号施術
 →
蒼乃晴翔1号施術
自己批判・催眠
響:施術前は反抗的な態度を取っていたが、施術後は従順になる。
晴翔:施術後に不安定となり眠れず、精神的・体力的に衰弱する。
【監薬療法】
 →
乙坂響2号施術
 →
蒼乃晴翔2号施術
大音量の音楽が流れる暗室に監禁し、数時間おきに投薬
響:開始時点では激しく抵抗するが、やがて沈黙。精神衰弱状態に陥る。
晴翔:術後、自身の罪を反省し、常に過ちを改める言葉を述べるように。
【UTT法】
 →
乙坂響3号施術
 →
蒼乃晴翔3号施術
全身麻酔を行い、脳をけいれんさせ、刺激を与え続ける
響:怯えて暴れたため数名が押さえつけて麻酔を行う。術後は精神も安定。
晴翔:吐き気、嘔吐、記憶の欠如が現れ、自身の感情変化に戸惑うように。
【脳孵化術】
 →
乙坂響4号施術
 →
蒼乃晴翔4号施術
脳の一部を切除又は改造する
響:術後2週間ほどで元の生活に復帰。完全な記憶改造・人格更生を達成。
晴翔:一時危険な状態に陥るも回復。卒院後の任務にやる気を見せる。

【蒼乃晴翔4号施術最下部のQRコード】
 →
調査完了

これにて調査完了です。
真実に辿り着いた達成感と、何とも言えない脱力感に包まれました。
結局、響と晴翔は施術によって別人のように作り変えられ、晴翔は璃子に対してもう何の感情も持っていないのかと、切なさがこみ上げます。

調査完了ページには、監督を務めた藤澤仁氏からのメッセージと、クオリティ向上のためのアンケートが設置されていました。

発見したページは下記のとおり。

画像
これまでに発見したページ

4.考察・感想

なんとも後味の悪い結末を迎えることとなった本作ですが、クリアから数日後、アンケートに記載したアドレス宛に一通のメールが届きます。
「第四境界」のメンバーで現実サイドの案内人であるAMGYから送られたそのメールには、一枚の画像が添付されていました。

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AMGYのメールに添付されていた画像

海外と思われる場所で嬉しそうにウサギを抱き笑顔を浮かべる白衣の女性。
おそらく「気づいて」のアカウントの持ち主で、A君に何が起きのたか調べてほしいと発信し続けていた花城璃子だと思われます。

彼女が笑顔でいられる理由。
それを考えたとき、調査の過程で一点だけ気になる記述があった事を思い出しました。

バイカラー・ムーンのネーム原稿内で、晴翔がカネモリ式を適用させられることを告げた掲示物。
そこにはこう書かれていました。

「脱走企図、立入禁止箇所への侵入、不正アクセス等を繰り返し、通常指導による改善が見込めないため」

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晴翔のカネモリ式適用を通知する掲示物

気になったのは「不正アクセス」という言葉。
さらにもう一つ、調査完了ページにはこうあります。

「貴方の勇気ある行動がこの施設の闇を白日の下に晒しだし、不幸な未来に進むはずだった多くの少年たちを救うきっかけになったはずです」

プレイヤーが更生施設の真実に辿り着いたことが、これから施術を受けるであろう少年たちを救うことに繋がるというのです。
そもそもこのサイトには、検索で断片化されたページを発見する以外に、院生作品などに仕込まれた暗号などの謎解き要素がありました。
その中で特に注目すべきは、この3つの隠しメッセージです。

「オカベキケン&オカベキッタ」:絵画『己』・『対称』
「小日向の薬飲むな」:絵画『音、二秒遅れて』
「高島が記憶変える」:愛宝新聞002
(5.サイトの謎解き参照)

岡部・小日向・高島の三名は、「社会不適合因子洗脳施術」に深く関わる人物として、他機関から派遣されました。
その施術に関して、被験者以外は何が行われているのかを知らず、また施術を受けた者は記憶が改ざんされてしまうため、上記のメッセージを残すことは不可能に思えます。
これを伝えられるのは、施術前にその内容を知り得た人物だけです。
つまり、このメッセージこそ、晴翔が行った不正アクセスの痕跡ではないでしょうか。

そして、面会に行った璃子へ対する晴翔の態度も引っ掛かります。

脳孵化術を受けた後の晴翔は、「何事にも全力で取り組み覇気のある様子」だったという記述があります。
施術を受けて更生施設を卒院した者は、特務省更生局の元で与えられた仕事をこなすことになるようでした。
仮に、晴翔がロボットのように洗脳されてしまっていたとする場合、璃子のポストにあった「おびえている」「震えながら周りをにらむ」という態度と食い違いがあるように思えます。

さらに、晴翔は璃子に対して絶縁状を送っています。
発送したのが術前か術後かは不明ですが、璃子とはもう関わらないという意思を示しています。

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晴翔が送った絶縁状

かがみの特殊少年更生施設で行われている「社会不適合因子洗脳施術」。
その背後には、政府の大きな陰謀が隠れていました。
もし、璃子がその存在に気付き、施設を嗅ぎまわるようなことがあれば、彼女の身に何が起こるのかは容易に想像がつきます。

晴翔は璃子を拒絶することによって、彼女を守ったのではないでしょうか。そして、院生作品にメッセージを忍ばせ、それに気づいた誰かが施設の闇を白日の下にさらしてくれるよう仕向けたのではないでしょうか。
さらに、webサイト改装までに残存データを破棄するよう指示が出ていたにも関わらず、機密データは残されていました。
もしかしたら、更生施設内にも晴翔と同じ願いを持っていた人物が居たのかも知れません。(院長あたり……)

ゲームのクリアによって、第四の壁の向こうで何が起きたのか知る術はありませんが、真相に辿り着いたことで政府の陰謀が明らかとなり、施設に送られた少年たちが然るべき更生の道を歩んでくれることを願うばかりです。

画像

「Project:;COLD」に始まり、「人の財布」、「行き場のなくなったポケットティッシュ」など、まだ誰も経験したことのない体験を次々と生み出している『第四境界』。
かがみの特殊少年更生施設も、それらの作品と同様に新鮮な驚きで満ちていました。
クリアページに辿り着いて終わりではなく、そこに至るまでに描かれる濃密なストーリーと、考察の余地がある物語の閉じ方が本当に巧みだと感じます。

本記事執筆時点で、第四境界はすでに次の作品に向けて動き出しているようです。(2024年6月~7月あたりにリリース?)

今後、さらに勢いを増していく彼らの作品を追いかけ、noteで考察やまとめ記事を書いていきたいと思います。
(実はまだ発見できていないページがかなりあるので、そちらの捜索も引き続き行います……)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

5.サイトの謎解き

サイトに掲載されている院生作品には、謎解きによって隠されたメッセージが仕込まれています。
動画で紹介されたものも含め、こちらで解説していきます。

院生作品トップページ
背景の英数字をUnicode変換するとメッセージになる
『96a03057305f3000307c304f3089306e30b330c830d030003055304c30573066』

『\u96a0\u3057\u305f\u3000\u307c\u304f\u3089\u306e\u30b3\u30c8\u30d0\u3000\u3055\u304c\u3057\u3066』

『隠した ぼくらのコトバ さがして』

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背景の英数字がUnicode

絵画002 題名『己』
右上にうっすら「オカベキッタ」と書かれている

うっすら書き込まれたメッセージ

絵画004 題名『裁き』
URLを編集することで表示できる
https://kagamino-jrep.net/student-works/kaiga/kaiga004/」(太字部分)

URL直接編集で現れる

絵画007 題名『音、二秒遅れて』
下部の青い点線がモールス信号になっている
『ーーーー ーー・・ー ・ー・ ー・ ・・ーー ・・・ー ーーー・ー ーー・ ・・ーー ー ・ー・』

『こひなたのくすりのむな』

下部の青い点線がモールス信号

絵画008 題名『日常』
切り貼りされたメモを組み立てると内容を読むことができる
『今日はいいことをしました にげだそうとした子を、取りおさえるおてつだいをしました 大変でしたががんばっておさえこむことができました。 あの子は別棟行きです。早くキレイになって帰ってきてほしいです』
※一部推測で補完

復元したメモ書き

絵画012 題名:『対称』
作品を印刷し、折り紙のチューリップを作ると「OKABEKIKEN」が現れる

現れた「OKABEKIKEN」(チュートリアル動画より)

ポスター002 職業訓練推進ポスター
ポスター内の文字を散りばめられた数字順に読むと「くすりのまされた」
モニターに表示されている文字列は、キーボードに対応しており「かな」で読むと「すうし゛はもし゛のいち」となる

数字の順に文字を拾う(チュートリアル動画より)

ポスター005 施設PRポスター
少年が来ている服の右側に記載されている英数字が文字コード「UTF-8」になっており、変換するとメッセージになる
『e38193e3828ce4bba5e4b88ae38080e78aa0e789b2e587bae38199e381aa』

『これ以上 犠牲出すな』

少年の右側(影の部分)に英数字

写真006 題名『寄り添って生きる』
写真を拡大するとメッセージが仕込まれている
「”ちず” ”にない” ”へや” ”がある”」

マンガ001 題名『食事はいちばんの薬』
マンガ002 題名『もの忘れ』
サイト上では3コマしか掲載されていないが、璃子のポストした動画では4コマ目が映っている

作文004 題名『学園について』
消しゴムで消して書き直した部分の痕跡を読むと
「みんな良い人になりました」→「みんなおかしくなりました」
「正しい道に導かれます」→「変な部屋に導かれます」

消しゴムで消した痕跡を読む

愛宝新聞002
フォントの違う文字だけを読むと「たかしまがキおくかえる」

フォントの違う文字だけ読む

6.お知らせ

かがみの特殊少年更生施設の公式設定パンフレットと令和6年度施設案内冊子の発売が決定しました。

パンフレットには年表や相関図など、サイト調査では判明しない考察要素や、開発者の声なども掲載されています。
また、予約特典としてマンガ「バイカラー・ムーン」の複製原稿1ページ(ランダム)が付いてくるそうです。(終了しました)
施設案内冊子は入所が必要になった際に知っておきたい情報や、新たな物語、謎解きが用意されているようです。

印象として、パンフレットは「物語の外側」、施設案内冊子は「物語の内側」に属するものと思われます。
ご興味のある方は下記より購入できますので、ぜひご検討ください。


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『第四境界』に魅せられた一般人です。 日本のARGを盛り上げるため日々活動中。 まとめやレビュー記事がメインです。 謎解き、ミステリー、哲学好き。
【ARG】かがみの特殊少年更生施設体験レポート|リー猫
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