なぜ気づけなかった…演劇界にもある性加害、石原燃さんの絶望と願い

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聞き手・畑山敦子
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 故ジャニー喜多川氏による性加害の告発が相次いだ時、ある舞台作品の動画が無料配信され、話題となりました。男性の性被害をテーマにした「蘇(よみがえ)る魚たち」(2021年初演)です。脚本を手がけた劇作家の石原燃さんに、作品公開の経緯と、芸能界が直視してこなかった性加害の問題にどう向き合うべきかについて、聞きました。

 ――「蘇る魚たち」は、父親から継続的に性被害を受けていたノゾミ、その異父きょうだいで同じ人物から性被害を受けたコースケ、2人の弟にあたるリオという男性の3人芝居で、性被害の実態と回復に向けてもがく姿が表現されています。性被害を受けた元ジャニーズJr.の男性が告発したことを受け、6月1日から7月15日まで動画を無料公開し、約7700回再生されました。公開に踏み切った思いは。

 昨年、この舞台を上演した「モトキカク」主宰の本木香吏さんが提案し、私も賛成しました。

 苦しいシーンが多くありますが、当事者同士が支え合いながら回復に向かおうとする作品でもあります。一人ではないと思えたと、共感してくれる当事者の方たちもいて、ジャニーズの事件報道で苦しい思いをしている人たちの力になれればと思いました。また、性暴力への無理解から起こる二次加害を防ぐことになればという気持ちもありました。

 ニュースやSNSでは、性加害を告発した人の言葉にならないさまざまな感情の揺らぎや葛藤が見えてきません。被害者は元気なように見えても急にフラッシュバックが起こることがあるし、逆に言えば、常に泣いたり怒ったりしているわけでもありません。また、加害者に対して憎しみと同時に、愛情やかばうような気持ちをもつ人も少なくない。被害にあいパニックだった中での記憶の細かい部分について、話すことが変わることもあるし、そもそもそれが被害だと認識するのに時間もかかります。そういうことを知らないで誹謗(ひぼう)中傷している人もいるのではと感じます。

 被害者が告発するのはこんな大変なことなんだ、と舞台をみてもらうことで知ってもらえる機会になればと思いました。

 ――故ジャニー喜多川氏の性加害をどう考えますか。

 ジャニー氏個人の問題で終わらせず、それを支えてきた組織や社会のことを考えないと、と思っています。この事件は、社会全体が性暴力に対して無知だったからこそ、ここまで放置されてきたのだと思うので。ジャニーズ事務所への批判はもちろん必要です。と同時に、それぞれが自分自身、あるいは自分が属するコミュニティーへの批判もしていかないといけない。じゃあ私は、と思った時、私が属する演劇界のこと、身近で起きた事件のことを振り返らずに、ジャニーズのことを語ることはできないと思います。

 ――身近で起きた事件とは。

 演劇界で性暴力被害者の代理…

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この記事を書いた人
畑山敦子
デジタル企画報道部|言論サイトRe:Ron
専門・関心分野
人権、ジェンダー、クィア、ケア