北米

2023.12.26 09:00

米国で「ニュース砂漠」拡大、05年以降に3分の1の新聞が廃刊

Shutterstock.com

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米ノースウェスタン大学のメディル・ジャーナリズム・スクールが最近発表した年次レポート「State of Local News Project」によると、米国では地方新聞の消滅が加速している。2005年に8891紙あった新聞のうちの2900紙が廃刊になり、現在残っている約6000紙の大半の4790紙は、日刊紙ではなく週刊の新聞だという。

1年間に消滅した新聞の数は、2022年には週あたり平均2紙だったが、2023年には週あたり2.5紙に増加した。今年はすでに131の新聞が廃刊しており、その結果、2005年時点にあった新聞の3分の1が2024年までに消える見通しという。

また、現在は全米の3143郡のうち、地元紙が1紙もない「ニュース砂漠」と呼ばれる郡の数が204に達している。さらに、全体の半数以上の1562郡には新聞が1紙しかなく、その多くは週刊紙だという。

今回のレポートは、ニュース砂漠が、ブロードバンドインターネットが普及していない低所得地域に多いことを指摘している。さらに、貧困層が人口に占める割合が全米平均では11.5%であるのに対し、ニュース砂漠の郡では16.6%に達していた。

メディル・ジャーナリズム・スクールの客員教授でこのレポートの共著者であるペニー・アバナシーは、「平均よりも貧しく、情報へのアクセスが乏しい地域におけるローカルメディアの減少は、民主主義に危機をもたらしている」と述べている。

新聞記者も3分の1に減少

もうひとつの問題は、ジャーナリストの数の減少だ。レポートによると、米国の新聞業界のジャーナリストの数は、2005年比で約3分の1に減少し、4万3000人が職場を去ったという。これらのジャーナリストの大半は、日刊紙に在籍していた。

テキサス州は現在、全米で2番目に人口の多い州で、2005年以降に人口が50%増加したが、州内のジャーナリストの数は65%減少した。人口が最も少ない2つの州のサウスダコタ州とアラスカ州では、2005年以降に人口が20%増加したにもかかわらず、新聞記者の数は、それぞれ約33%と約66%減少した。

有料の印刷物の発行部数を追跡しているAlliance of Audited Mediaによると、今年の504紙の新聞のプリント版とデジタル版の合計の有料発行部数は1020万部だった。これに対し、2005年の有料発行部数は、プリント版の新聞のみで5000万部を超えていた。
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編集=上田裕資

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マーケティング

2023.12.06 17:45

メディア感度格差、データで顕在化! 若者にとっての「ネオ新聞一面」はこれ 

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スマートニュースメディア研究所がおこなった「スマートニュース・メディア価値観全国調査」によると、メディアへの接触について、40〜50代が分水嶺となっていることがわかった。

本調査では、新聞の閲覧頻度、テレビの視聴頻度、SNSの使い方について、世代を3グループに分けて分析した。すると、どの項目においても若年層(18〜39歳)と高齢層(60歳以上)との間では大きな差がみられたが、中年層(40〜59歳)の値はその中間に位置していたという。

「スマートニュース・メディア価値観全国調査」(スマートニュースメディア研究所)より
「スマートニュース・メディア価値観全国調査」(スマートニュースメディア研究所)より

「スマートニュース・メディア価値観全国調査」(スマートニュースメディア研究所)より


また、マスメディアへの信頼度は若年層に行くほど薄れることもわかった。

マスメディアを「とても信頼している・まあ信頼している」と回答した人々の割合は、高齢層が81%、中間層が71%、39歳以下の若年層では56%だった。

「スマートニュース・メディア価値観全国調査」(スマートニュースメディア研究所)より

「スマートニュース・メディア価値観全国調査」(スマートニュースメディア研究所)より


どの層も、マスメディアへの信頼度よりも高い割合で「マスメディアが大きく扱うニュースは重要だ」と感じる傾向がみられた 一方、「重要だと思うニュース」について「新聞1面に掲載されるニュース」を選択した割合には、世代差が如実にあらわれた。「かなり重要である・やや重要である」ニュースとして「新聞1面に掲載されるニュース」を選択したのは、高齢層が83%、中間層が80%、若年層が66%と次第に落ちていたのだ。

「スマートニュース・メディア価値観全国調査」(スマートニュースメディア研究所)より

「スマートニュース・メディア価値観全国調査」(スマートニュースメディア研究所)より


情報源について、若い世代は友人やSNSを頼りにする傾向が見られることがわかった。

「何か重要なニュースがあるときには、友達が教えてくれることをあてにしている」と回答した若年層は26%(中間層:18%、高齢層:11%)にのぼった。

「スマートニュース・メディア価値観全国調査」(スマートニュースメディア研究所)より

「スマートニュース・メディア価値観全国調査」(スマートニュースメディア研究所)より


また、「友人がソーシャルメディア上で『いいね』をしたりフォローしたりすることで入ってくる情報を頼りにしている」と回答した若年層は20%であった。同様に回答した中間層が7%、高齢層は4%にしか満たないことと比較すると、その差は明白である。
一方、「自分から積極的に追わなくても十分な情報が得られる」と感じる割合は、どの層においても半数近くとなった。

出所:スマートニュース・メディア価値観全国調査(スマートニュースメディア研究所)

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アジア

2023.12.04 12:00

メディア弾圧進める中国、香港の著名記者が北京出張後に消息不明

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香港を拠点に中国の国防と外交を取材しているジャーナリストが、10月下旬に北京に取材旅行に出かけたまま消息不明になった模様だ。日本の共同通信が11月30日に報じた。

香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)紙の著名記者、陳敏莉(ミニー・チャン)は、10月末に開かれた中国軍部が主催する軍事会議である香山フォーラムを取材するために北京を訪れていたという。

香港最大の英字新聞社として知られるSCMPは、2015年に中国のアリババに2億6600万ドル(約390億円)で買収されていた。チャンは、2005年に同紙に入社したが、その以前は、中国政府からの圧力を受けて2021年に閉鎖された香港最大の民主派の新聞、蘋果日報(アップルデイリー)に勤めていた。

香港ジャーナリスト協会は12月1日の声明で、チャンの安否を「深く憂慮している」と述べ、SCMPにさらなる情報開示を要求したと付け加えた。

SCMPは、これに対し、書面の回答で「当紙のチャン記者は個人的な休暇をとっている。彼女の家族は当紙に対して、彼女が北京にいるが、プライベートな問題を処理するための時間が必要だと述べている」と述べた。同紙はまた、彼女の家族がプライバシーを尊重するよう求めており「これ以上公表する情報はない」と回答した。

SCMPはまた「当紙は、記者の安全確保を最重要視しており、彼らが必要とするあらゆる必要なサポートを提供し続ける。我々の報道が、この件の影響を受けることはない」と付け加えた。

中国では近年、2人の中国人ジャーナリストが北京で突然拘束された。ブルームバーグ・ニュースに勤務する中国籍のヘイズ・ファンは2020年12月に自宅アパートで拘束され、2021年7月に国家安全法違反の疑いで逮捕された。この件の捜査は現在も継続中だが、ファンは2022年1月に保釈された。

また、2020年8月には中国国営テレビで働いていたオーストラリア国籍のTVキャスター、チェン・レイが拘束され、国家機密を提供した疑いで2021年に正式に逮捕された。彼女は、中国とオーストラリアの関係が改善するなか、今年10月に釈放された。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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スタートアップ

2023.12.08 08:15

ジャーナリストが優秀なベンチャーキャピタリストになれる理由

伝説的なベンチャーキャピタリストとして知られるSequoia Capitalのマイケル・モリッツは、GoogleやYahoo、PayPal、LinkedInをはじめとした巨大企業への投資で名を上げ、ベンチャーキャピタリストとして非の打ちどころのないキャリアを誇っています。

しかし、実は彼がVCになる前は「ジャーナリスト」だったことはあまり知られていないかもしれません。

大学時代、モリッツはオックスフォード大学のクライスト・チャーチで歴史学を専攻し、そのあとペンシルベニア大学のウォートン・スクールでMBAを取得しました。

そして最初のキャリアとして、ジャーナリズムの世界に足を踏み入れたのです。『タイム』誌の記者になったモリッツの仕事は、当時(1980年代前半)のシリコンバレーで急拡大するテックシーンを取材して記事を書くことでした。

このキャリアで彼はテック業界に関する深い知識を得ることとなり、それはAppleの黎明期を詳述した著書『The Little Kingdom』からも明らかとなりました。

同書はSequoia Capitalの創業者ドン・バレンタインの目にも留まり、彼からオファーを受けたモリッツは1986年にSequoia Capitalへ入社しました。

このようにベンチャーキャピタリストへと転身し、新しい世界に飛び込んだモリッツは、その後、投資実績を積み上げて急速に頭角を現していったのです。

ジャーナリストからベンチャーキャピタリストへの転身は、モリッツにとってただのキャリアチェンジではなく、これまで培ってきたユニークかつVC業界と意外にも関連が深いスキルセットを応用できる機会となりました。

ジャーナリスト時代に磨かれた彼の分析力やリサーチ力は、スタートアップのポテンシャルの評価や、市場動向の把握に非常に役立つスキルだったのです。

さらに、ジャーナリストにとって必須スキルである「説得力のあるストーリーを語る力」は、ベンチャーキャピタルにおいても、投資家へのピッチや企業ビジョンを明確に伝える場面などで欠かせません。

モリッツ自身もスタンフォード・ビジネス・スクールからのインタビューで次のように説明しています。「何も知らないところから取り組みはじめて、多くの資料やファクトを集め、その膨大な情報から重要なものを抽出し、説得力のある意見を形成して決断を下すことは、物語を書く過程とよく似ています」。
次ページ > ジャーナリズムで培われるスキルの汎用性の高さ

文=James Riney

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