離島の民家に社会保険加入者3千人 「国保逃れ」なのか、聞いてみた

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高井里佳子 甲斐江里子 野平悠一
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 九州地方の離島。人通りの少ない田園地帯の一角に、その民家はあった。ある一般社団法人の、登記上の所在地。社会保険(社保)に加入している事業所を検索できるシステムをたどると、この法人に所属し、社保に加入している人が3千人以上いる。

 一般社団法人の理事に就任するなどして社保に加入し、国民健康保険(国保)の高額な支払いを避ける「国保逃れ」が問題になっている。

 この団体の理事になり、社保に加入したという香川県在住の整体師の男性(32)に話を聞いた。

 会社員をやめて昨年9月に開業した。個人事業主になると、加入する健康保険が社保から国保に替わり、保険料が高額になるのが悩みの種だった。

 インターネットで調べていると、「保険料削減サービス」をうたうサイトがヒットした。理事になると社保に加入できる。業務は、月に少なくとも1回、個人事業主に役立つ情報や自身の仕事についての記事を200文字以上で書いて提出することだった。

 迷わず理事になった。報酬は月額1万円台で、社保料などが引かれた後、ある月に実際に銀行口座に振り込まれたのは8円だった。逆に、法人側に毎月3万8500円の会費を支払う必要がある。それでも、国保料や国民年金保険料を払うよりも、月に1万円程度「節約」できている。

 実際の収入よりも低い収入を基準に、低額な保険料を支払う。「国保逃れ」は脱法的だとの批判があるが――。

 この男性は言う。「現行制度は、個人事業主には手厳しい。会社員と同じような制度であれば、そもそもサービスを使う必要なんてないです」

     ◇

 この一般社団法人の発起人という代表理事の男性は取材に対し、「社会保険料削減を目的として勧誘している団体ではない」と説明した。

 代表理事によると、元々はシステムエンジニアが支え合う団体だった。営業を委託している業者らから新たに理事に就任する人の紹介を受けるようになったこともあり、次第に他の職種の人も集うようになった。だが、委託先には「送客だけを依頼しているもので、勧誘方法は指示していない」と話す。結果的に保険料が安くなる理事がいたとしても、「年金機構や厚生労働省が想定しなかったであろう適用のされ方というだけだ」と語る。

 過去に複数回、日本年金機構が調査に入ったことがあるが、これまで問題が指摘されたことはないという。「違法ではないと明確に判断されている。白黒はついている」

     ◇

 「自営業者のための社会保険」「社会保険に加入して年間100万円削減」。ネットで「社保サービス」と検索すると保険料の削減をうたう団体のページが次々と表示される。

 そうした団体のうちの一つ、ある一般社団法人の代表理事は、「法の抜け穴をついているサービスなので、脱法的だという認識はある」と話す。

 この一般社団法人には、フリ…

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