「絶叫マシンよりバスが稼ぐ」100周年の地方私鉄グループ、上場でも続く同族経営の“合理的理由”
富士山麓電鉄→富士急ハイランド
山梨県を拠点に、静岡、神奈川、東京でも事業を展開する富士急行グループは、2026年9月に創業100周年を迎える。2025年12月には記念ロゴを制定し、翌年の1月1日からグループ全体での運用を開始した。 【画像】「えぇぇぇ!」 これが50年前の「富士山駅」周辺です!(7枚) 1926(大正15)年、前身となる富士山麓電気鉄道として事業を始めた同社は、翌1927(昭和2)年にバス事業を手がけ、1929年には大月から富士吉田(現在の富士山)までの鉄道を開業した。その後、1950年には富士吉田から河口湖までを延伸。1960年に富士急行と商号を改め、翌1961年には富士五湖国際スケートセンター(現・富士急ハイランド)を開業し、徐々に事業を拡大してきた。 特に富士急ハイランドは、絶叫系を中心としたアトラクションを次々に投入し、話題性を背景に首都圏を中心とした広域から集客する。首都圏近郊のレジャー施設の中でも高い知名度を誇り、バスや鉄道から始まった富士急行グループのイメージは、今では富士急ハイランドの運営企業として強く定着している。 2022年には、直営だった鉄道部門を分離し、100%子会社の富士山麓電気鉄道へ移管した。創業時の商号が62年ぶりに復活した形だが、路線名の富士急行線はそのまま継承されており、利用者にとって大きな変化はない。
運輸事業の高営業利益
富士急行は、地方私鉄(持株会社を含む)では数少ない上場企業だ。1950(昭和25)年、富士吉田から河口湖への路線延伸の直後に東京証券取引所に上場し、1961年には早くも東証一部に移行。2022年には東証の再編にともないプライム市場に属している。 上場企業であるため、貸借対照表や損益計算書、有価証券報告書などが公開され、公式サイトでは「統合報告サイト」で詳細な情報を提供している。さらに定時株主総会の招集通知などもインターネット上で閲覧可能だ。 公開情報によれば、第124期(2024年4月1日~2025年3月31日)の連結ベースでの営業収益は522億3000万円、営業利益は83億1300万円。そのうち鉄道、バス、ロープウェイなどの運輸事業の営業収益は197億5600万円、営業利益は46億9700万円。鉄道事業単体(富士山麓電気鉄道)の営業収益は30億9600万円で、全体に占める割合は6%に過ぎない。 一方、富士急ハイランドなどのレジャー・サービス事業は営業収益248億3900万円、営業利益25億8500万円。不動産賃貸などの不動産事業は営業収益25億3900万円、営業利益4億7000万円となっている。 興味深いのは、営業収益ではレジャー・サービス事業の比率が48%と最も高いが、営業利益では運輸事業が上回り、全体の57%を占めている点だ。大手私鉄を中心とした鉄道会社グループでは、もともとは派生事業である不動産や観光事業の高い利益が、鉄道やバス部門の低収益(場合によっては赤字)を補う形が一般的だ。 しかし富士急行グループの場合、鉄道事業の比率は低いものの、高速バスなどが高い利益を確保しており、本業である運輸事業でしっかり稼いでいる様子がうかがえる。