新たな発見の場に──「アウトサイダー・アートフェア」新ディレクターに聞く、その可能性と魅力
来年のフェアではキュレーションスペースでカナダのイヌイットアートを取り上げる予定で、複数のカナダのギャラリーと共同で企画を進めます。非常に特別な展示になるでしょう。 一方で、世界中の出展者から懸念を訴えるメールが届いています。これまで何度となく出展してきた常連や、数回出展したギャラリー、初出展のところなど、どこも「関税が心配」「入国が心配」「ルール変更が心配」と口を揃えて言っています。関税法の内容を詳細に説明することはできますが、問題はそれが変わるかもしれないという不確実性そのものです。彼らの気持ちはよく分かります。 アメリカで今何が起きていて、どれほど制御不能な状況に陥っているかについて、私が説明できることには限界があるので、ただ事態が好転することを願うだけです。アメリカは今も最大のマーケットですから、各国のギャラリーにとってアメリカで作品を見せ、この国の顧客にアプローチすることは重要だと思います。ただ、ヨーロッパやアジアなど海外のギャラリーが今アメリカに来るのは、以前とは比較にならないほどのリスクがあります。それを軽減するため私にできることは限られており、最終的にはそれぞれのギャラリーに決断してもらわねばなりません。 ──これまでのアウトサイダー・アートフェアで、最も印象に残った展示などを教えてください。 昨年は、時間をかけて見たいブースやアーティストが本当に多かったと思います。サル・サランドラなど、以前から見知っていた作家もいました。彼は年配のゲイの男性で、非常に官能的で緻密な刺繍作品を作っています。中には何も考えずに作品を制作するアーティストたちもいて、そこがすごいと思います。彼らに対して、「1つの作品に5カ月も費やすなんて非効率だ」などと言う人もいないでしょうから、ほかでは決して見られない、信じられないほど手の込んだ作品に出会えます。 また、若手アーティストと有名アーティストの作品が並んで展示されているのも素晴らしいと思います。私が大好きなマルティン・ラミレスの作品はいつも目立つ場所に展示されていますが、ほかにも小さな発見がたくさんあります。アビゲイル・ゴールドマンという、かつて弁護士だったアーティストも印象的です。彼女は、「die-o-ramas(死オラマ)」という、犯罪現場を再現した小さなジオラマ作品のシリーズを制作しています。