新たな発見の場に──「アウトサイダー・アートフェア」新ディレクターに聞く、その可能性と魅力
業界内外から愛される「予想外の新しい発見があるフェア」に
──これまでギャラリストの立場で見てきたこのフェアを、今後はディレクターとして率いていくわけですが、今の困難な状況の中で、あなたは何を成功の定義としますか? 参加者数や来場者数、売上額の増加といった数値的な指標は当然あるでしょう。そうした数値目標とは別に、あなたの個人的な成功の定義を教えてください。 まず数値的な面ですが、昨年の出展者アンケートの結果が非常に良かったことを嬉しく思っています。ほぼ全ての出展者が売上に満足しているのは、昨今のアートフェアでは異例ではないでしょうか。また、昨年のフェアでは入場チケットの販売数が大幅に増加しました。今後も来場者数を増やしていきたいと思っていますが、そのためには今よりも広い会場を借りる必要があります。そうしなければ、来てくれた人々の体験の質が低下してしまうでしょう。 昨年はフェア期間を通して非常に混雑していたと、全出展者が回答しています。私も昨年、空いているはずの時間帯に訪れたのですが、会場は人でごった返していました。そのときは自分がディレクターになるとは思わず、単なる一般の来場者だったので特に注意深く観察はしていませんでしたが、大変な賑わいだったことは覚えています。 目指しているのは、このフェアの全ての側面を取りこぼしなく成長させることです。出展者にはさまざまなタイプがあります。プログレッシブ・スタジオ、セルフトート・アーティストを長年紹介してきたギャラリー、大手ギャラリー、そして現代アートとセルフトート・アートを併せて扱うギャラリー、そのほかにも私が重要だと考えている海外からの出展者もいます。海外のギャラリーを取り巻く課題については、この後にお話したいのですが、フェアが全体として調和を保ちながら成長し、特定の方向へ偏りすぎないようにしていきたいです。 ──今年に入ってから、関税や移民政策など多くの変化がありました。新任のディレクターにとって、初年度にどの程度の変革に着手し、過去のフェアが築いた期待値とのバランスをどう保つかを見定めるのは難しいことだと思います。フェアの理念、または運営の中核となる要素として維持すべき点と、あなたのリーダーシップの下で変えていきたい点について教えてください。 1つの目標は、人々がこれまで見たことのない、興味深く新しい作品を見せてくれる新規出展者を継続的に見つけていくことです。フリーズに行けば、フェアの常連となっている著名アーティストの作品を見ることができるでしょう。しかし、人々がアウトサイダー・アートフェアに期待していることはそれとは違います。このフェアは予想外の新たな発見ができる場です。この特徴を維持しながら、アート界以外の普通の人々を惹きつけ、同時にアート界からも愛される場であり続ける。これが非常に重要だと考えていますし、今後も変えずに守りたい点です。 変えていきたい点は、まず2027年のフェアから規模を拡大したいと思っています。より広い会場を確保し、出展者数を増やす。そして特に注力したいのは、出展者の体験向上に向けたパートナーシップの拡充です。これは私個人の経験からくるこだわりかもしれませんが、ホテルや物流、輸送企業との提携ができたらと考えています。出展者にとって快適なイベントを実現し、あらゆる面で彼らの負担を軽減したいのです。フェア出展はギャラリーにとって収益性は高いですが、3~8カ月前からさまざまな投資が必要で、負担がとても大きいからです。