KDDIは2月6日、2026年3月期第3四半期決算短信の開示を延期すると発表した。連結子会社であるビッグローブとその子会社ジー・プランの広告代理事業で架空取引の疑いが判明し、連結財務諸表への影響が確定していない。KDDIは1月14日に外部の弁護士・公認会計士で構成する特別調査委員会を設置しており、3月末を目途に調査報告書の受領と決算短信の公表を予定している。
同日開催した業績説明会で、松田浩路社長が架空取引の概要と業績への影響額を説明した。
広告枠の仲介で架空取引
ジー・プランは2017年頃から、ビッグローブは2022年度から、広告代理事業に参入していた。上流の広告代理店と下流の掲載代理店をつなぎ、広告枠を仲介して手数料を得る事業だった。
社内調査の結果、ジー・プランの社員2名が広告主の存在しない架空取引を複数年にわたって行い、売上高を過大計上していた疑いが確認された。2名はビッグローブにも兼務で出向しており、両社の広告代理事業を担当していた。
架空取引のスキームはこうだ。上流の広告代理店から受けた発注を、ビッグローブやジー・プランが下流の掲載代理店に再委託し、さらにその先の再委託先へ流していた。この再委託先と上流の広告代理店が同一であることが判明しており、広告主もWEB掲載媒体も存在しなかった。資金は各社の間を循環し、それぞれが手数料を差し引く形で回っていた。取引額は毎月増加する前提で設計されており、直近では月間数百億円が動いていたという。
2025年12月中旬、KDDIが取り扱い高の増大を受けて下流への発注抑制を指示したところ、上流代理店からの入金が滞り、架空取引の疑いが浮上した。
売上取消し2460億円、外部流出330億円
現時点でKDDIが認識する業績影響は、売上高の取消しが合計約2460億円にのぼる。内訳は2024年3月期以前が約960億円、2025年3月期が約820億円、2026年3月期が約680億円だ。営業利益への影響は、計上利益の取消しが約500億円、架空取引に伴う外部流出の引当が約330億円で、外部流出分は回収に努めるとしている。このほか減損等の損失が追加で発生する可能性もある。
松田社長は質疑応答で、2460億円について「現時点で認識している最大額」と説明した。広告代理事業の全取引を架空として算出しており、正常な取引が含まれている可能性がある。調査の結果、金額が変動する余地を残している。
3月末に調査報告書と決算公表へ
過年度の決算修正と第3四半期決算短信の公表は3月末を予定しており、2026年3月期の本決算は遅滞なく実施する方針だ。配当予想の変更はないとしている。なお、ビッグローブを含む通信サービスの提供には影響がないことを確認済みだという。