「ちょ、ご、ごめんってば――」
「エヘヘ、藍子ちゃん相手なら手加減する必要ないよね〜」
 慌てる藍子の前で、まどかはスカートを捲り、ぺろんっとパンティを脱ぎ去る。初めからいきなりの生尻、まどかの本気のあらわれだ。
「そ、そうだ、今から新しい男、捕まえに行こうか、ほ、ほら、何人か捕まえて、全部まどかが“使って”いいから――」
「問答無用♪」
 早口で弁明を唱え、身を仰け反らせる藍子だったが、まどかはそう言ってくるりと背を向け、尻を突き出して彼女の顔に押し付けて、後頭部を抑え込む。ただ、いつも男相手にしているような乱暴に髪の毛を鷲掴む粗雑な扱いではなく、両手を添えて、丁寧にやさしく包み込むように……

ぶッッすぶばぁあぁあああぁぁあああーーーーぁあぁーーぁぁあぁぁああッッ!!!!!!

 だが吹きかけられたガスは、全く生やさしいものではなかった。
ぅむっ!!?ふむぅうぅーーぅううぅううっっ!!!!
 まどかの尻に埋もれ、くぐもりながらも声をあげてビクッと身を震わせる藍子。
 生尻ゼロ距離での一発とは言え、自身も『異常放屁体質』を持ち、悪臭への耐性も十分なはずの藍子が声を上げるほどのガスだった。
 それは本当に「手加減なし」。まどかのなんでもないような表情とは裏腹に、そのガス濃度は、実についさっき藍子が男を誤って臭殺したすかしっ屁と同等のレベル。そんな致死級の一発をモロに食らって「声をあげる」くらいで済んでいるのが、藍子が誇る耐性であるとも言えるのだろうが……
「アハハッ!超臭いでしょ〜。藍子ちゃんなら私が昨日の夜、何食べてきたか分かるんじゃない?」
 そう言ってまどかは抑えていた手の力を緩め、尻を数センチ、藍子の顔から離す。
 確かに藍子は、たった今、至近距離で嗅がされたガスの臭いから、まどかの昨夜の「準備」の内容を察することができていた。放屁特有の腐った卵を極限まで高めた「おなら臭さ」に加え、蛋白質と脂質の圧倒的な腐敗臭、そして脳に直接突き刺さるようなニンニク臭……。これは、間違いなく……
ケホッ、ゴホゴホッ、……ぅ、や、焼肉、でしょ」
「ピンポンピンポ〜ン♪ さすが藍ちゃん、大正解〜!」
 にこっと笑って笑うまどかとは対照的に、藍子の浮かない表情がさらに沈んで行く。
 ――昨夜、『金魚鉢』に大量のガスを注入し、二人の男を放置してこの倉庫を出た後、まどかは一人、飲食店街に向かった。
 時刻は23時近かったが、深夜まで営業している焼肉屋に入ると、席について「ガッツリ満腹欲張りコース」(「とにかく沢山食べたいお客様のためのコースです!(※食べ盛りの男性向き)」と書き添えられているコースである)を注文し、店員に驚かれながらも、運ばれてくる数人前の肉を次々に焼いて食べまくった。それも、置かれていた瓶を3回も空にして取り替えてもらうほど、一口一口にたっぷりのおろしニンニクをつけて。
 結局、コースの肉を残らず完食したばかりか、単品でチゲ鍋、ビビンバ丼、キムチ盛り合わせ、ついでにデザートの杏仁豆腐まで注文してペロリと平らげたまどかは、満足げに深夜の一人焼肉を終えて、日が変わった頃に帰宅したのであった。
「焼肉ってただでさえおなら臭くなるけどぉ、深夜にドカ食いすると次の日すっごぉ〜くエゲツないガスが溜まるよね〜。エヘヘッ、藍子ちゃんならよく知ってると思うけど!」
 まどかはそう言って、自分の下腹をすりすりとさする。そして、ちらりと振り返って藍子の顔がきちんと尻の前にあることを確認して、明るい笑顔を彼女に見せた。
「その焼肉のおかげで、今、私のお腹、ぽこんって膨らんでるの。……これ、ぜ〜んぶ藍ちゃんに嗅がせてあげるからね♪」

ぶすぅううッぶふぁああぁあーーーーぁあああーーーぁああああぁあッッ!!!!!!

うっ、うぅぅうっっ!!!!く、くっさぁあぁあいっっ!!!!

 ――これが、まどかと藍子の異なるところだ。
 共に『異常放屁体質』でサイコパスな真性のドS。
 だが、異性、つまり男性への加虐嗜好を持ち、持ち前の人外級な放屁はその主たる手段という認識の藍子に対して、まどかが好むのは単純に「自分の臭いおならを他人に嗅がせること」。その相手は男性でも女性でも構わないが、普段は藍子の嗜好に合わせて男性をターゲットにしている、というだけ。また、この異常性癖を抜きにしても心からの愛情を抱いている藍子を苦しめるようなことは当然まどかの本意ではないが、今日のように、藍子に過失がある場合は大義名分を持って彼女に放屁を嗅がせることができる、とも考えている。
 藍子がまどかに放屁を嗅がせるのは、まどかにねだられて仕方なく嗅がせる、ということがほとんどであるのに対し、まどかが藍子に放屁を嗅がせるのは、悪臭を生物的本能で拒絶する藍子への「おなら責め」に他ならない。
 『異常放屁体質』と『異常嗅覚』。二種の異常体質をもつまどかは、言うなれば「おならの臭いフェチ」でありながら同時に純粋な「おなら嗅がせフェチ」でもある。
 ただもちろん、藍子への責めは、いつもの男性に対する責めとは違う。まどかは「藍子を苦しめたい」わけではなく、「藍子におならを嗅がせたい」だけ。それらは似て非なるもの。もっともその純粋な理由であるが故に、まどかに一度スイッチが入ってしまうと、藍子はもう諦めて全てを受け入れざるを得なくなるのだが。

 まどかの焼肉で強化された最悪クラスのガスに、藍子は顔を思い切りしかめて声をあげる。藍子ですら「くっさぁあい」と叫んでしまう悪臭。倉庫の中は既にとんでもない空気状態と化していたが、それを知覚できる生きた人間は、ここにはもう彼女達二人しかいない。
「じゃあ次は〜、藍ちゃん、あっちのベッドに行こうね〜」
 まどかは一旦尻を離して藍子と手を繋ぎ、部屋の隅に置かれた使い古しのベッドへと誘う。こうなったらもう、従うしかない。藍子が立ち上がったことで、それまでずっと彼女の巨尻に敷かれていた男の惨たらしい死に顔が初めて露わになったわけだが、最早まどかはそんなものからは興味を失っているらしかった。
 手を引いて藍子をベッドまで連れてきたまどかは、彼女を仰向けに寝かせる。そして自分もベッドの上に乗り、藍子の頭を跨ぐように枕元に膝立ちする。明らかに、顔面騎乗の体勢。相手が男なら床に寝かせて容赦なく巨尻を振り下ろすところだが、藍子のことはきちんとやわらかなベッドの上に案内したのだ。
「あ、あの、まどか――」
「ん〜?どうしたの?私のおならが待ちきれないのぉ? 藍ちゃんはせっかちだな〜。言われなくても今から、たっくさぁぁ〜〜ん嗅がせてあげるからねぇ、エヘヘッ♪」
 藍子が「少し控えめにして」と頼もうと試みたのを察知したかのように、まどかはその言葉を途中で遮って絶望感たっぷりの宣言を告げる。それを聞いた藍子は、顔を引きつらせて苦笑いするしかない。もう今のまどかに何を言っても無駄なのだ。
「座るからね〜」
 そう言ってまどかは、藍子の顔に、もっちりした生尻をゆっくりと下ろす。藍子の顔の凹凸がむちぃっ、と尻肉に埋まる感触を楽しむかのように。
「藍ちゃんにガンキするの久しぶりかも! どぉ?おっぱいもだけど、お尻も地道に成長してるんだよ〜」
ぅむぅっ、むぅうぅーーぅう……っっ
「アハハッ!何言ってるかわかんないけど、きっと褒めてくれてるんだよね。んじゃ、おなら、いきま〜す!」

ぶむッふぉおおおぉおぉーーーぉおーーーぉおぉおぉおおおぉおおッッ!!!!!!

んぐむぅうぅっっ!!!ふぐぅうーーーぅうっっ!!!!
 起き上がった状態で尻を押し付けられるのとは別格の圧迫感。まどかのむっちりボディの体重がかかった顔面騎乗からの生尻放屁で、藍子は思わずビクビクッと足を震わせた。むせ返えるようなニンニク臭に、足の先まで危険信号が走ったのである。
 一方のまどかは、その藍子の反応を見て、うっとりした表情を浮かべていた。自分自身や藍子の放屁を嗅いだときに見せるのとは微妙に異なる、征服欲が満たされた悦楽が滲み出た表情だ。
「藍ちゃんの綺麗なお顔にくっさ〜いおならひっかけちゃうの、素敵……っ」
ぅむっ、むぐうぅううぅううっ!!!
「エヘヘッ、むぐむぐ藍ちゃん可愛い♪ もう一発いくよぉ〜、ふんっ!」

ぶびゅびぃいぃいいーーーーーーーぃいぃいいぃいいッッ!!!!
ぶりッ!!!ぶぢぶりぶりぶりいいぃいいぃーーーーーぃいいぃいいッッ!!!!!!

むぅぅううっっ!!!んむ、ぅぅむぅぅうーーぅぅうっっ!!!!

 まどかが“踏ん張って”出した本気の一発は、それまでの「最悪級」をさらに凌駕していた。そのことは、藍子の両足がピンと伸び、臭さを必死で堪える様子からひしひしと伝わってくる。
 そんなド派手な一発を放っておきながら、まどかはぺろっと舌の先を出し、茶目っ気たっぷりに小首を傾げる。
「テヘ、しつれ〜い、すっごい汚い音出ちゃった♪ 臭かった?」
むぅっ!!んむ、むぅううぅうっっ!!!
「だよね♪ 藍子ちゃんのお顔をおならで汚しちゃってると思うと、ホントにドキドキが止まらないよぉ……」
 これも、まどかにとっては普段のおなら責めとは一味違う点だった。彼女は男相手に放屁し、数えきれないほど人数を葬ってきても、罪悪感など露ほども感じたことはない。しかし、相手が藍子であれば、胸の内に何とも表現しがたい背徳感が生まれる。それが、まどかにとっては絶妙でたまらない。
 彼女の言葉通り、心拍数が高まり、顔が紅潮する。それでもまどかは、小悪魔的な笑顔を絶やさず、藍子に話しかける。
「でもぉ、藍子ちゃんはスゥ〜で私がイジメるのを楽しみにしてたお兄さんを殺しちゃったんだから、私にスゥ〜ってされても文句言えないよね〜?」

ぶぷッッすうううぅうぅぅーーーぅううーぅうぅうーーーーぅうぅうう…………ッッ!!!!!

ぅむうっっ!!!?むぐっ!!!むぐぐぅううっっ!!!!
んむっ!!ふんむうううぅうぅぅうーーーーぅううううぅうっっ!!!!!!

 その熱いすかしっ屁は、さらに一段階、臭いのレベルが上がっていた。
 普通の人間であれば、間違いなく即死だろう。藍子ですら、頭が「臭い」の文字でいっぱいに支配される極悪濃度。身を捩らせ、足をバタつかせて苦しむ藍子を見て、まどかは可笑しそうに笑った。
「アハハッ!やっぱり特別に臭いんだぁ、焼肉ニンニクすかしっ屁!」
 これにはさすがの藍子もたまらず、顔にのしかかっている尻を平手でタップし、ギブアップを宣言する。それを受けてまどかは、仕方ないなぁ、と言うようにゆっくり尻を持ち上げた。
ぷはあぁっ!!ケホッ!ゴホゴホッ!う、うぅう……っっ!!
 顔面騎乗から解放された藍子は、涙目で咽せ、少しでも臭いを振り払うかのように首を振る。当然、それだけで臭いが飛ぶわけがない。まどかが放ったニンニクっ屁は、重く沈殿して藍子の頭のそばに纏わり付いている。
「藍子ちゃん、臭い?」
ゲホゲホッ!!…く、臭すぎ……」
「アハハッ!確かに今スカシは、出した自分が『ちょっとヤバイかも!?』って思っちゃうレベルだったかな〜」
「ちょっとどころじゃないわ、超激ヤバよ、ホントに……」
 持ち上げはしたものの、中腰の体勢で変わらず尻は向けたまま。まどかは、珍しく顔を歪める藍子の頬にやさしく手を触れる。
「ごめんごめん、だって今日のお腹の調子、バツグンなんだも〜ん。これで反省した?藍子ちゃん?」
「は、反省した……、もう十分反省したから……」
 そう言って、藍子はなんとかこのおなら責めが早期に終わるよう祈る。……だが、向けられたのは、まどかの相変わらずの笑顔だった。
「そっか〜。でも、私のお腹、まだぽっこりしてるから、もうちょっと嗅いでもらうね♪」
「………う、うぅ……」
 藍子も、内心分かっていた。これくらいでまどかが満足するはずがないと。彼女の顔に浮かぶ諦めの色。そこにまどかは、さらなる絶望を突きつける。
「ん〜、じゃあ次はぁ……」
 再び、藍子の顔に尻を近づけるまどか。しかしその落下は、藍子の眼前数センチのところで止まった。まどかは手のひらを尻の両側にあて、力づくで左右にがばっとこじ開ける。そして、手を離せば元に戻ろうとする弾力性豊かなぷりっぷりの尻肉を押さえつけたまま、右手の人さし指を伸ばして、割れ目の奥に秘められた蕾をちょいちょいと指差した。
「――藍ちゃん、なめなめして♪」
 青ざめる藍子。額には嫌な汗がじとっと浮かぶ。
 目の前にあるまどかの肛門は、萎んだ外見こそキュートだが、今日ここまで超高濃度の放屁を連発した放出口には、その焼肉ニンニク卵臭が宿命的に染み付いていることは明らか。まどかは自ら尻肉を広げて、その顔を寄せただけで卒倒してしまいそうな肛門を誇示し、「なめなめ」を要求しているのだ。
 藍子は一瞬躊躇した。普段のまどかとのエッチの際に、彼女の肛門を舐めてあげることはある。だが今は状況が違う。これは超激臭放屁を連発した直後のまどかの肛門なのである。それも、そこを舐めるということはガスの吹き出し口に最大限、鼻と口を近づけるということ。今のまどかが、黙ってただ舐められるだけ、ということはあり得ない。
「………わ、わかった……」
 それでも藍子は、覚悟を決めたようにきゅっと口を結んだ後、そう答えて舌を伸ばした。
 最悪レベルのガスによる脅迫、逃げ道がないとよく理解していること、大好きなまどかのために苦悶を耐えてでも奉仕してあげたいという思い……。そこには様々な要因が混在していただろうが、とにかく藍子は、まどかの肛門に舌をつけて、唾液を擦り込むように這わせ始めた。
「ひゃぁ…っ、…ん……っ」
 まどかの口から喘ぎ声が漏れる。
 藍子の必死な舌奉仕に、まどかの目にもうっすらと涙が浮かび始める。もちろん、興奮と快楽の涙だ。
「…れろっ、ぴちゃ……っ、…くちゅ…っ」
「…ん…、……きもちいぃ………っ」

ぶふぁッ!!ぷすッ!!ばッふ!!!

「……っ!! …ぅう…。……ぺろ…っ、…れろ……っ」
 当たり前なように、蕾は時折小さく伸縮し、気が遠くなるほど臭いガスが小刻みに噴出する。最早まどかの意図にもない「ガス漏れ」。それを受けて一瞬息を止めた藍子だが、しかし気を持ち直して舌を這わせ続ける――

ぼッッっふぉおおおぉおぉおーーぉおおーーーぉおぉおぉおぉおおおおおッッ!!!!!!

ぅぐっ!!?や、やあぁあぁ、くぅう……っっ!!!
ケホケホッ!!ぐ、く、く、くっさああぁあぁ………っっ!!!!

 ――だが、その特大の一発には思わず舌を引っ込めて口を閉じ、思い切り顔をしかめた。
 舐めていた肛門が大口を開けたかと思うと、その襞を振動させながら大量の硫黄ガスが襲いかかってくる。それも予告なしに突然。藍子は避けたり身構えたりすることすらできず、間に何も隔てることなく、超至近距離から顔全体に直撃を受ける。怯むなと言う方が無理だ。
「……ん…だめ、藍ちゃん、…なめなめ止めないでぇ……っ」
 だがそれは、まどかにしてみれば、無意識の「ガス漏れ」でこそないにしても、「気持ちよかったからちょっと力入れたら出ちゃったおなら」程度の取るに足らない一発だった。容赦なくずいっと肛門を突き出し、継続を要求する。
「う、ぐうぅ……」
 眉をひそめながら、藍子は舌を伸ばすしかない。いつ大暴発するかわからない蕾へと。まさに藍子にしかできない舌奉仕である。男にこれをさせていたら、もう何人殺しているかわからない。
「………くちゅっ、ぺろ、…れろ…ん……っ」
「…いぃ…っ、…藍ちゃん…いい……っ」

ぶッッ!!ぶぷッ!!ぶぴぃッ!!

「……く、…れぇろ…っ、……くちゅ、くちゅ……っ」
「…いぃよぉ…っ、…ん…、もっと…ぉ……っ」

ばすうぅッ!!ぶりッ!!ぶりぶびぶりッッ!!!

「うっ、うぅう……っ、…はぁむ…っ、…れろっ、ぴちゃ、くっちゅ……っ」
 次第に、頻度も一発の量も増していく「ガス漏れ」。それはまどか本人にも自分の腸内ガスが制御ができなくなってきた証。
 ベッドの上で仰向けの藍子と、その上に尻肉を広げてしゃがむまどか。
 その二人の間に流れる長い時間は、まどかの限界と藍子の限界が重なったときに終わりを迎える――
「…ぺろ…っ、…れろ、れろ……っ、…くちゅ……っっ」
「はぁん、んっ、ぁん…っ、…ぁ…イく…、…ん…、…藍ちゃん……っ!」
「れろっ、…ん、え、ぁぐっ!!?ぁ、がもおぉあっ!!?!?
 まどかは尻肉を広げて肛門を露出させたまま、藍子の顔に向け、ずんっっ、と突然、一気に体重をかけた。動揺を隠せない藍子。伸ばしていた舌を押し返され、まどかの肛門はその舌に導かれるように、藍子の開けられた口に向かって密着したのである。
 なんとか口を閉じようとしても、まどかの全体重をかけた顔面騎乗の下敷きになって自由など効くはずがない。開かれた口が、かぽっと肛門を覆っている状態。このままあのガスを放たれたら……。いつも冷静な藍子が珍しくパニックに陥るのも、まどかが気にとめるはずはなかった。
「……藍ちゃん、……出すよ…ぉ……っ!」
んぐっ!!んぐぅううぅうっっ!!!!

ぶびぶッッッしゅうううぅうぅうーーーぅうーーーーーーぅうぅううッッッ!!!!!!

んんんんんんぅうううーーーーーぅうううぅっっっ!!!!!
んぐむっっ!!!んんんんぅうっっ!!!!
んんんんんーーーーーーーーーぅぅうっっっ!!!!!!

 藍子の全身が、ビクビクビクッ!と大きく痙攣した。
 モデル級に整った藍子の顔が歪んでいた。ギョッと目を開き、とめどない洪水のように涙を溢れさせる表情からは、その苦悶が尋常なものではないことがはっきりと感じられた。
 藍子の開かれた口に生の肛門を直結して放たれた口内放屁は、この一両日で彼女達が放ったおなら――まどかが『金魚鉢』を満たしたロング放屁、藍子が男を絶命させたうっかりすかしっ屁、まどかが藍子に嗅がせまくった焼肉放屁――その全てを上回る、文句なしに最強の一発になった。
あぁっ、ぁ、あ、あぁあ……ん………っ!!
 コントロール不能になるほどの快楽に浸ったからこそ放たれた一発。それが、大好きで大好きでたまらない藍子ちゃんの口の中へ、100%完全に流れ込んでいく倒錯。まどかは大きな声で淫らに喘ぎ、久しぶりにこれ以上はないというエクスタシーを感じていた――

「まったく、酷い目に遭ったわ……」
「ごめんって〜。藍子ちゃんのことが大好きすぎて、ちょっとやりすぎちゃったんだも〜ん」
 廃倉庫から出て車に乗り込んだ藍子は、まだ浮かない顔をしながらエンジンをかける。助手席に乗り込んだまどかはポリポリと頬を掻くが、あまり反省はしていないようだった。
 あの一発は、藍子の耐性でも限界を超えていた。敢えなく気を失った藍子が目を覚ましたのは、それから1時間経った後。おなら責めが行われたのとはまた別のベッドに移動し、氷のうを額に乗せられていた。看病したのはもちろんまどか。藍子が目を覚ましたところで、まどかはにっこり笑って藍子にキスをしたのだった。
 それから2時間ほどかけて中の“後片付け”をした二人は、外に人目がないことを確認して、廃倉庫を撤収した。
「まだ鼻の奥と口の中におならの感触が残ってるし、二、三日は消えないわね、これ……」
「私、藍子ちゃんが寝ちゃった後に、頑張ってお口の中から臭いは吸い取ってあげたんだよ〜」
「……それはまどかが自分の出したおならの臭いを嗅ぎたかっただけでしょ」
「エヘ、バレた?」
 ぺろっと舌を出すまどか。やはり反省はしていないらしい。
 車を出したところで、オーディオで音楽を流しながら、まどかは藍子の方を見る。
「藍子ちゃん、後ろの“荷物”下ろしたらご飯食べにいこうよ〜」
 “荷物”というのは、トランクに積まれた二人の男の死体である。いつも通り「死因偽装薬物」を投与された二人は、彼女達の足跡がけして残らない場所に投棄されることになる。
「正直あんまり食欲ないんだけど……」
「え〜!行こうよぉ、せっかくお休みの日に藍子ちゃんとドライブしてるのに〜」
「しょうがないわね……。何食べたいの?」
「焼肉♪」
 まどかの即答に、藍子は呆れ顔を見せる。
「………まどか、昨日も食べたんでしょ?」
「エヘッ、昨日は深夜の一人焼肉、今日は藍子ちゃんと焼肉デート、全然違うよぉ」
 キラキラした瞳で見つめてくるまどか。こういう場合、いつも折れるのは藍子の方だ。
「……わかったわ、焼肉、行きましょ」
「わ〜い!今日は藍子ちゃんの奢りね!」
「ちょ、ちょっと、なんでそうなるのよ」
「だってぇ、私が楽しみにしてたお兄さんを藍子ちゃんがスカシ一発で殺しちゃって、かなりがっかりしたんだけどな〜。藍子ちゃんが奢ってくれないんなら、ここでおならプ〜しちゃおっかな〜」
「やめて。それはやめて。今日のまどかのおならだと絶対車の中に染み付いて取れなくなるから」
「じゃ、藍子ちゃん、奢ってくれる?」
 今日は完全にまどか主導のペース。こうなると、藍子はもう諦めてそのペースに身をまかせるしかない。
「……わかった。今日は奢るわ」
「やった〜! 藍子ちゃん優しい♪大好き♪」
「おならで脅しておいてよく言うわ……。その代わり、今日は食べ放題コースね」
「なんで?」
「だってまどか、人の奢りとなったら平気でウン十人前とか食べるでしょ。単品で注文したら私のお財布が保たないわよ」
「エヘヘ、そっかぁ。確かにお昼抜いたから、いくらでも食べられちゃうかも! でも、食べ放題ならお肉焼いてるうちに、藍子ちゃんの食欲も湧いてくるかもね」
「だといいけど」
「きっと大丈夫だよぉ。ね、そしたら明日もデートしない? 街に行って適当な男の人捕まえようよ!電車で誘惑して釣ってくるのもいいかな〜。二人で焼肉っ屁嗅がせて遊んだらきっと素敵で楽しいと思うな♪」
「……ホント、まどかって残酷よねぇ」
 しみじみと呟く藍子に、まどかはにっこり微笑みかける。
 そんな二人を乗せ、車は目的地へ向けて、平和に走り抜けていくのだった。

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