マサシが後を追うのは――栗毛の子が向かった右方向。
電車でひと目見た瞬間から、マサシは、まどかの人懐っこそうな笑顔に心奪われてしまっていた。
友達とお喋りをしながら、ぱあっと顔を綻ばせて笑う、無邪気な表情。
そして何より、その童顔とは対照的に、洋服を押し上げるほどに豊かなバスト……。彼女が笑うとゆさゆさ揺れるあの光景を一度目にして以降、彼はもう、あの胸のこと以外を考えられなくなってしまっていた。
ミニスカートから伸びる両脚のむっちりとした太股から言っても、彼女がちょうどいい案配で肉付きの良いカラダをしていることはすぐに分かった。ブラウスのボタンがはち切れそうになるくらいの巨乳。Fカップ、いや、Gカップはあるかもしれない(とマサシは見積もったが、自称「着痩せするタイプ」の彼女のバストがその想像さえ超えていることを知れば、彼はより興奮を抑えきれなくなったに違いない)。あんなあどけない顔つきをしておきながら、あんな乳を揺らして歩くなんて。しばらく性交渉とも疎遠だった若い彼が、ふわふわした栗毛の彼女を追わないということは、ある意味不可能だったのである。
そうこうしているうちに、彼女が目の前の角を左に曲がる。マサシもそれを追いかけ、少しだけ距離を置いて、同じ角を左へ。
「エヘッ♪」
「な――ッ!?」
――角を曲がったところで、マサシは思わず立ち止まり、あんぐりと口を開けたまま、言葉を失った。
先を歩いているはずの彼女が、他に誰もいない道の真ん中で立ち止まり、こちらを向いて、ミニスカートをすすっとたくし上げていたのである。
「え、な、何を――ッ!?」
彼女はスカートを捲り、パンティを見せながらゆっくりと歩み寄ってくる。
「お兄さん、電車から私のことストーカーしてたでしょ」
まずい、バレていた。
しかし、この状況は?まさかこの子、それを知った上であえて一人で歩いて……?
「あ、あの、そ、その……、き、君は……?」
突然の思いがけない展開に声を震わせるマサシ。
ついにその彼の目の前までやってくると、彼女は、今度はブラウスの上から自分の胸をむぎゅっと持ち上げ、ゆさっ、と揺らして見せながら、可愛らしく言った。
「私は姫路まどかって言います♪ お兄さん、電車でず〜っと私のおっぱい見てたでしょ。それも気づいてたよ〜。アハッ、大丈夫、怖がらないで?私について来て!この近くにおうちがあるから、ね?」
マサシの衝動的な行動は、最初から、藍子とまどかの手の平の上だった。
二人でのデート帰り、彼女達は電車に乗った時点で目配せをしてその日のターゲットを偶然そこに乗り合わせたマサシに決め、わざと彼の前に立った。その時点から、藍子とまどかの間で“ゲーム”がスタートしたのである。
くたびれた様子で、独り身らしい若い男は大抵、本能と性欲に勝てない。彼も案の定、彼女達の誘惑にあっさりと釣られ、電車を降りたところからノコノコとついてきた。
二人の“ゲーム”の本番は、先ほどの十字路の分かれ道から。
わざと襲われやすいような薄暗い道を行き、十字路で二手に分かれる。「彼が自分たちのうちのどちらに着いてくるか」。つまり、そこで男にどちらについて行くかを選ばせて、自分の方へ誘導できた方が勝ちという“ゲーム”を楽しんでいたのである。
今回の勝者は、まどか。“ゲーム”に勝った方はもちろん、今夜、この男を「独り占め」できることになっていた。
そのまま、「秘密基地」のひとつである防音マンションの一室に連れられたマサシは、天国から一気に地獄へと突き落とされた。
ストーキングした美女に逆ナンされたと思ったら、始まったのは地獄のおなら責め。訳が分からず、状況についていけず……、しかし彼は、最悪の現実を、ただ本当の現実として受け入れなければならなかった。
「うん、まずはこんなもんかな〜」
そう言ってまどかが一旦尻を離したところで、マサシは呻きながらズルズルと床に崩れ落ちた。
このお兄さん、見た感じ気が弱そうだし大丈夫かな、と、拘束は逃げ出さないように両足首を枷で繋げるだけで十分という彼女の判断は間違っていなかった。訳が分からないまま始まった手始めのおなら責めを受けたマサシは、まどかが尻を離しても一切の反抗心を打ち砕かれ、泣きながら蹲るだけ。
捕まえた男を全身拘束したがる几帳面な藍子に対し、まどかはこういう点がややズボラである(もっとも藍子の場合、単純に男を縛り上げるのが好き、という性癖を持ち合わせていることもあるのだが)。抵抗して殴りかかられないなら、めんどくさいから手錠も使わない、というのがまどかのやり方。それは、外見上は全く外傷も負っていない男の心をこうもへし折るおなら責めが、相手をボコボコに殴り倒すのに匹敵する「暴力」であることを意味している。
「よ〜し、藍子ちゃんに写真送っちゃお!」
まどかはそう言ってスマホを取り出し、彼にカメラを向ける。
「はいお兄さ〜ん、こっち向いて笑って〜?」
しかしマサシには、もうまどかが鬼か悪魔にしか見えない。電車の中ではあんなにときめいたはずの彼女の顔を見てビクッと尻込みすると、ボロボロと涙をこぼしながらぶるぶると震え出す。
「ひぎッ、や、やだッ、もうやめでッ!!!ぼ、ぼ、僕が悪かったんでずッ!!だがらッもう帰らぜでッッ!!!」
「いくら謝っても帰らせないよ〜。ほら、藍子ちゃんに送る写真なんだから早く笑って?」
「ひぃいぃッ!!!やめでぐだじゃいッッ!!!お願いだがらぁッ!!!もう、お、おな、おなら、嗅がぜないでぇえッッ!!!!」
「……はぁ。もう、仕方ないなぁ」
わたわたと両手を動かして泣き、慌てふためき続ける彼に痺れを切らし、まどかは一度スマホをテーブルに置くと、くるっと身を翻して尻を突き出す。最大の恐怖の対象である巨尻をずむっと突きつけられても彼に逃げ出す暇を与えない、素早し身のこなしだった。
ぶばあああぁああぁあああぁあーーーーぁあああッッ!!!!!
ぶぅううッッ!!!ぶすッ!!!ぶびゅううぅううううーーーーぅうううッッ!!!!!
「やああぁぁああああぁああぁあああッッ!!!!!
あぎゃああぁあぐじゃいよぉぉおおぉぉおーーぉおおッッ!!!!!」
この部屋が完全防音室であるのをいいことに、派手な爆音放屁を響かせ、マサシにも大声をあげさせる。それでもまどかは澄ました顔で、ぱんぱんと尻を払うと、もう一度マサシに向き直る。
「ほら、今度こそ写真撮るのに協力してっ!いい笑顔作らないと、今の3倍の量嗅がせちゃうからね?」
眉をちょっとつり上げ、頬を膨らませるまどか。どうやら怒った顔のつもりらしいが、その可愛らしい表情だけならば、もうちょっと彼女を困らせてしまいたい、と悪戯心を擽られる男もいるだろう。……その表情「だけ」ならば。
現実にはマサシは、筋骨隆々のプロレスラーに殴打されるに等しい「暴力」を受けて脅されているのだ。いくら恐怖でパニックになっても、それを上回る恐怖をもって脅されたら、もう彼はガクガク頷くしかない。
「ひぐッ、わ、わが…りまじだ………ッッ」
その返事を聞き、キュートな怒り顔を崩してにっこり笑ったまどかは、もう一度スマホを右手に持ってインカメラを起動する。と同時に、左手でマサシの頭頂部をガッシリ掴むと、この細い腕のどこにそんな力が、という腕力で彼のことを引きずり上げた。
「あがッ、あぎぎぃ……ッッ」
立ち上がろうにも、腰が抜けて足に力が入らないマサシは、髪の毛を引っ張られて思わず顔をしかめる。が、まどかが彼と顔を並べ、
「は〜い、笑って〜?」
と言ったのを聞き、慌てて口を結んだ。頭の中に、「いい笑顔作らないと、今の3倍の量嗅がせちゃうからね?」の言葉が蘇ったのだ。
引きつった笑顔を無理矢理作るマサシ。彼と並び、右腕を伸ばしてインカメラモードの画面に写る自分達の表情を確認するまどかは、
「うん、もっと口元キュッってつり上げて、歯も見せて笑って〜、うんうん、そんな感じそんな感じ!じゃあ次は両手でピースして?顔の横で!……アハハッ!そうそう、いい感じ!じゃあ撮るよ〜♪」
と、スマホのシャッターボタンを押した――
「あ、いけない、まどかからかしら」
自宅に帰り、風呂に入っていた藍子は、バスルームから出てきたところでスマホの着信ランプが点滅していることに気づいた。
『ピース v(○゚ε^○)v』
そんな一言と共に送られてきた写真に、藍子は思わず吹き出す。
まどかのキュートな満面の笑顔。その横で、頭を彼女に掴まれて無理矢理カメラの方を向かされながら、明らかに怯えきった表情で強引に口角を上げさせられ、三日月型に細めた目からはボロボロと涙を溢しながら、顔の左右でダブルピースサインを作っている男。見るからに異様な二人のツーショット自撮り写真は、まどかが“ゲーム”に勝って手に入れた今夜の犠牲者を無事「秘密基地」までお持ち帰りできたことを表していた。
時間を見ると、写真が送られてきたのが20分前、つい3分前には、
『藍子ちゃ〜ん。暇なら電話ちょうだい!』
のメッセージ。藍子がそれを見て電話をかけると、ツーコールでまどかが出た。
「やっほー藍子ちゃん!」
「ごめんね、まどか、お風呂入ってたの」
待ちきれなかったという様子のまどかに一度謝ってから、藍子とまどかは唇を突き出し、ちゅっと音を立てる。通話のときは電話越しにキスをするのが二人の挨拶だ。
「もう〜、藍ちゃんにスルーされちゃったかと思ったよ〜」
「私がそんなことするはずないでしょ。お風呂から出てすぐ電話かけたんだから許して」
「うん、許す♪ じゃあ藍ちゃん今すっぽんぽん?」
「すっぽんぽんって久しぶりに聞いたわ……。一応タオル巻いてるけどね」
「え〜!じゃあテレビ電話にしてくれればよかったのにぃ」
「全裸でテレビ電話かけたらただの変態じゃない、もう」
ラブラブ具合が伝わってくるような仲の良い会話をする二人。藍子はパンティを手に取り、自分の尻肉を詰め込むように履きながら(彼女の下着の履き方は、まさにそう表現するのがふさわしい)、電話口から先ほどダブルピースしていたはずの男の声が聞こえないことに気づく。
「ところで、彼はどうしたの?」
「ここにいるよ〜。あっ、じゃあここで藍子ちゃんにクイズです!お兄さんは今どこにいるでしょう?」
「フフッ、いきなり?」
「じゃあヒントね〜!」
ぶッッすぶりいいぃいいぃいぃーーーーぃいぃーーーーーーぃいぃいぃいッッ!!!!!
「むううぅううううッッ!!!!ぐむうぅううーーーぅぅううぅッッ!!!!!」
突如響いた爆音と、それに続く男の悲鳴。だが、電話越しに藍子に届いた声は言葉になっておらず、くぐもっている。
「……お尻の下でしょ」
「ピンポ〜ン♪ 正解で〜す!」
……そう、まどかはマサシをソファの上に寝かせ、その上に顔面騎乗した状態で藍子と通話していたのである。
先ほどの自撮り写真撮影後からマサシのことをクッションにし、スカートを捲ってむちっとした巨尻を下ろしていたまどか。藍子からの返信を待つ間はスマホで「どうぶつの山」をして遊びながら時折予告無しで激臭ガスを放出。手を縛られていないマサシは必死で顔にのしかかる尻をどかそうとするが、彼女の完璧な顔面騎乗を動かせるはずもない。まどかは彼に尻を触られることには全く頓着しておらず、彼の足掻きは全くの徒労に終わっていた。
「随分お楽しみみたいね」
「エヘ、このお兄さんの顔、まぁまぁ座り心地も良いし“ゲーム”で勝ててラッキーだったな〜」
「あら羨ましい。最近なかなか気に入るクッションに出会わないから」
「藍子ちゃんのお尻には小さすぎるかもしれないけどね〜。でも今日はなんで私が選ばれたんだろ?絶対藍子ちゃんの方が綺麗なのに!」
「何言ってるの、まどかの可愛さには負けるわよ」
「いやいや藍子ちゃんの方が絶対絶対素敵で美人で可愛いよぉ〜! ……あっ、そうだ、選んだお兄さんがここにいるんだし、直接訊いてみればいいんだよね」
まどかはそう言うと、マサシの顔を敷いていた尻をスッと持ち上げる。
ぷりぷりの尻肉から開放された彼は真っ赤な顔をして反射的に呼吸する、が、その顔はすぐさま青ざめ、慌てふためき出す。
「ゼェッ、ゼェッ、……あ、あぁあッ、や、やべで……ッッ!!!
お、おおお、おならじないでッッ!!!!お願いじまずぅうッッ!!!!!」
まどかは一瞬きょとんとしたが、
「あ、そっか!さっき息継ぎさせてあげたときにちょっぴりおならプ〜したから、またされるんじゃないかと思って怖がってるんだ〜」
と納得して頷く。電話の向こうの藍子は、そのときの様子を想像して笑うしかなかった。最近、まどかは顔面騎乗の息継ぎ中に思い切りガスを引っ掛けるのにハマっているのだ。今回の「ちょっぴりおならプ〜」は、一体どんな爆音を轟かせたのだろうか。そう考えると、もう笑えてくるのだ。
「大丈夫だよ〜、今回は質問するだけだから。……その代わり、私も藍子ちゃんも、お兄さんの正直な答えが知りたいの。だから、ご機嫌取りの返事したりしたら……、おならプ〜だからね♪」
「ひッ、ひぎッ!!!は、はひッ、ひぃいい……ッッ!!!!」
顔面騎乗が解かれても、彼の目の前数センチのところに、中腰になったまどかが巨尻を構えていることには変わりない。この状態で「プ〜」されたら地獄が訪れることは嫌と言うほど分かっている。マサシは泣いて怯え、まどかの可愛らしい脅迫に従う他ない。
「じゃ、お兄さんに質問コーナーで〜す!さっきの帰り道、十字路で分かれたところで、なんで私の方を選んだの?」
マサシは考える。彼女を怒らせるべきではない。答えには慎重になるべきだ。
だが、まどかが欲するのは「よく考えた答え」ではなかった。そんな彼女が返事を急かすのは全く難しくない。中腰のままTバックのパンティをズラし、尻下の彼に肛門をチラ見せするだけで良い。
「正直に答えてね♪」
「ひぃいいぃッ、ひゃいぃいいッッ!!!!」
ひくつく肛門を目にして、マサシの顔から血の気が引いた。その肛門が一瞬ぷくっと膨らみそうになっただけで頭が真っ白になり、取り繕うことなど考えられなくなる。
「あ…あの……、あ、む、胸、が………」
「なぁに?もっとはっきり喋って〜?」
「あッ、お、大きい胸がよくて……ッ!!ご、ごめんなじゃいッごめんなじゃいぃッ!!!」
泣きじゃくるマサシ。まどかはニヤニヤしながら自分の胸を手で支え、ゆっさゆっさと揺らす。もっともその光景は、視界を尻で塞がれたマサシには見えなかっただろうし、今となっては彼がまどかの巨乳に興奮できるとも思えなかったが。
「そっか〜、アハッ、私のおっぱいに夢中になっちゃったんだぁ〜。男ってホントに単純でバカだよねぇ。いくつになってもおっきいおっぱい見たら理性なくしちゃうんだもん♪」
それはまどかにとっては予想通りの答えだった。タイプこそ違えど、まどかも藍子も容姿は超一品級。見た目での二人の魅力の違いはバストサイズくらいしかないのだから。
一方、電話の向こうの藍子はしばらく無言になった後、
「………ふぅん、要するに私の胸は興味ないレベルだったってことね」
と冷たい一言。彼女の声は、スピーカーホンになっているスマホからマサシにも届いた。
「ひッ!!」
電話の向こうの彼女が、あのときもう一人いた黒髪の美女であったことは彼にも分かっていた。冷淡な口調ながら静かな怒りが感じ取れる声に思わずビクついた彼は、
「あッ、そ、そうじゃなくて……ッ、ち、違うんでずッ、あの――」
と弁明を試みたが――もう遅い。
「まどか」
「ほいっ」
「連発でよろしく」
「アイアイサ〜っ♪」
ぶずうううぅうううッッ!!!!ぶぢッ!!ぶふぅッ!!ぼふぉッッ!!!
「ぐじゃぃぃいいいぃぃッッ!!!あがッッあがあぁああああッッ!!!!!」
パンティをズラして生の肛門を向けられた状態での連発開始。マサシの表情に浮かぶ絶望と後悔の色。正直に本音を答えたところで、救いなどあるはずもなかった。
さらに電話口からは、冷酷な指示が告げられる。
「まどか、もっと」
「ほ〜いっ♪」
ぼぼぶふぉッ!!!ぶりゅッ!!ぶぶぶッすぅッッ!!!ぶぶむぅうううッッ!!!!
「やッやべでッッごッごべんなじゃいぃぃぃいッッ!!!!」
「……もっと」
「ほいほ〜い♪」
ぶびぶッ!!!ばふッ!!!びぢッ!!!ぶしゅぅううッッ!!!ぼぼぶッ!!!
ばぶううぅううッッ!!!ぶりゅりゅッ!!!びびぃいッ!!!ぶむぅううッッ!!!
「ごべんなじゃッあぁぁああぁぐじゃいよぉぉおおおッッ!!!!!」
「あと10発」
「アハッ、それだけでいいの〜?りょ〜かいっ♪」
ぶぶぶぼッ!!!ぶぢゅうぅうッッ!!ぶりッ!!ぶぷぢゅッッ!!!ぼぉおおッ!!!
ぶばぁあッ!!!ばびびびぃッ!!!ぼむぅうッ!!!ぶぅうッ!!!ばッずうぅううッッ!!!!
「んぎゃああぁあぁあぁあーーーーぁあーーーぁぁあぁあああッッ!!!!!」
余裕たっぷりのまどかの表情とは対照的な超絶連発放屁は、電話の向こうの藍子からの指示でようやく止まった。
「ま、そんなところで許しといてあげるわ。ありがと、まどか」
絶叫を続けるマサシの上でパンティの位置を戻すまどかは、
「エヘヘッ、どういたしまして!藍ちゃんに命令されておならするのも興奮したよぉ」
と言ってから、彼の声を塞ぐようにどしんっ、と再び巨尻を落とす。
「それと、これは私が大好きな藍子ちゃんのおっぱいを貶したことへのお仕置きね♪」
ぶぷッッすうぅぅうううぅぅううーーーーぅうううーーーぅうぅぅううぅぅう………ッッ!!!!!!
「ぬんむぐぅぉぉぉぉぉぁぁあぁぁーーぁぁぁああぁあああぁッッ!!!!!!」
――そして放たれる、すかしっ屁。
「藍子ちゃんのだって素敵な美乳なんだから。まぁ、藍子ちゃんのおっぱいちゅぱちゅぱするのは私の特権だし、私のおっぱいだって藍子ちゃん専用だけどね〜」
連発放屁で頭がいかれかけていたマサシは、駄目押しのスカシで、完全に狂ったような声をあげて体をのたうたせる。まどかの声など聞こえていないだろう。彼のもがき声と暴れる音は藍子のもとにもはっきりと届いた。
「クスッ、凄いすかしっ屁。もう音だけでオエッときちゃいそう」
「藍ちゃんの代わりのすかしっ屁だからね〜、おもいっきり濃いの引っかけといてあげたよ♪ じゃ、藍ちゃん、お喋りの続きしよ♪」
質問拷問タイムが終われば、またクッションとして扱われる。電話に夢中になるまどかの尻に敷かれ、マサシにもう救いの道がないことは明らかだった。
「――っていうのも考えてみたんだけど、今度やってみない?」
「え〜っ!アハハッ、それもう完全に拷問だよぉ!やるやる〜!」
ぶばすッッ!!!ばッふぅぅうううぅうーーーぅぅうーーうぅううッッ!!!!!
それから、まどかは彼の顔に座り込んだまま、藍子と楽しく電話を続けた。もちろん、何度も何度も何度も、派手な放屁を繰り返しながら。
大好きな恋人との電話が楽しすぎたのだろう、事態の変化に気づいたのは、まどかではなく藍子の方だった。
「……ところで、まどか」
「なぁに?藍子ちゃん」
「さっきから、お尻の下がやけに静かみたいだけど」
「えっ」
藍子に言われて、まどかは慌てて尻を持ち上げる。
そこから現れたのは、激臭に包まれ、顔面にまどかの巨尻の形の痕をくっきりとつけて枯れ果てた、マサシの死に顔だった。
「えぇ〜!ウソぉ!死んじゃってるよぉ!なんで〜?いつの間に〜!?」
驚いて彼の頬をつんつんと指で突っつくまどかだったが、マサシは目をギョロリと見開いた表情のままピクリとも動かず、まばたきもしない。確実に死んでいた。
まどか本人はお喋りに夢中になりすぎて本当に気づかなかったようだが、むしろそれには藍子の方が気づいていた。つい5分ほど前、藍子が言ったちょっとした冗談がツボにハマったらしいまどかが、
「アハハハッ!」
と可笑しそうに笑うと共に放った、
ぶりゅううぅうッッ!!!!ぶッぴぃッ!!!!
ぶりぶりゅぶりぶりぶッすうぅうぅううぅうーーーーーーーぅううーーーーぅうううッッ!!!!!
という派手で豪快な湿っぽい放屁と、マサシが上げた
「ぐむおごぉぉぉおおぉぉおぉぉぉぉおおぉぉぉおッッ!!!!!!」
という断末摩。
それを聞いた藍子は、
――ああ、これは死んだわね……
と確信し、現にそれ以後、電話口からマサシの声が聞こえてくることはなくなったのだった。
「ぶ〜。もう死んじゃうなんて早すぎだよ〜」
「でもまどか、もう2時間も長電話してるのよ」
「えっ!?あ、ホントだぁ!全然気づかなかった!藍子ちゃんごめんね、付き合わせちゃった!」
「フフッ、いいのよ、私も楽しかったから。まどか、その男に、忘れずに『お薬』打っておかないとダメよ」
藍子が言うのはもちろん、いつもの「死因偽装薬物」のことである。こういう“ゲーム”をするときには、藍子だけでなくまどかもハンドバッグに注射器を忍ばせてあるのだ。
「は〜い。大丈夫だよ、今お注射しちゃうから」
「それ忘れると面倒だから、よろしくね。明日、二人でお片付けしに行きましょ」
「うん!お片付けした後、またデートしよ♪」
「ウフッ、はいはい、わかったわかった」
一人の男を葬った後の会話とは思えない。2時間14分続いた異常な二人の熱々な今夜の長電話は、こうして幕を閉じるのであった。