ソファでの2時間に及ぶ前戯、そしてベッドインから約1時間が経過し、二人の淫らな交わりは佳境に達しようとしていた。
「…ん……、…んぅ……、…ぁあぁ…ん………っ」
「…ぺろ…っ、れろ……っ、……ん……っ」
 場所をベッドに移してから、主導権はまどかに移っていた。
 二人とも尻に大きな「おもちゃ」を固定した状態だが、ベルトによる固定は完璧で、多少動こうとも男達の頭部が彼女達の尻からズレることはない。二人は乱れて動き、藍子は腰をくいっと捻って尻だけ横に向けた状態で仰向けに、そこにまどかが覆い被さるようにして上を取っている。
 その彼女達の裸の尻に顔面を埋めたショウゴとケントは、拘束された首から下をダラリとベッドの外に下げ、その状態を受け入れる他ない。指一本自由に動かせない彼らの体は見るからに力なく垂れ下がっているが、まだ息はある。時折、尻肉に阻まれてくぐもった悲痛な叫びが聞こえるのが証拠だ。
「……ぷは…、…エヘ♪」
 藍子の首筋、耳の裏を丁寧に丁寧に舐めていたまどかは、一旦口を離して呟き、ぺろっと舌舐めずりをする。ほとんど無抵抗でそれを受け入れていた藍子の方は、恥ずかしいのか自分の腕を顔の上にかぶせて表情を隠しながらも、押し殺したような声で喘ぎ、確実に感じていた。……もちろん二人とも、遠慮なしにガスを放っては尻に取り付けた男を悶絶させ、彼らが落ちたら高電圧で強引に叩き起こす、という快楽を好き放題に楽しみながら。
 普段はクールな藍子がリーダーシップを取って、マイペースなまどかがそれについていく、という構図が多い二人。しかしベッドの上、とりわけ、それが盛り上がれば盛り上がるほど二人の攻守は逆転する。まどかの色欲が、藍子の冷静沈着さを上回るのである。
「はぁ……、はぁ………」
 藍子の荒い息づかいに、まどかの目がキラリと光る。
「藍子ちゃんは左のおっぱいと背中が弱いんだよね〜」
 そう言うと、まどかは右手を藍子の体の下に回して背中に指を添えてツツゥ…っ、と動かすと、同時に、まどかの方から見て左側の乳房へと顔を寄せて、舌の先で藍子の乳首をぺろっと舐めた。
「……ッ!!」
 顔を隠していた藍子が驚いたようにビクッと身を震わせ、声にならない声をあげる。もちろんただの驚きではない。よく感じる性感帯をダブルで刺激され、言葉にならない快楽につい体が反応したのだ。
「エヘヘッ、…れろぉ……っ、………はむ…っ、…ちゅ…っ、ちゅぱ……っ」
 期待通りの藍子の反応にニヤけたまどかは、そのまま一気攻勢をかける。右手の方は指の腹でやさしくなぞるように藍子が一番感じる背中の筋をなぞりつつ、左の乳首を口に含み、吸い付き、しゃぶり、口の中で舌を使って舐め回す。
 これには藍子も声を抑えきれない。
「あっ、あぁ……っ! ん…、や、…ど、同時は…ズルい……」
「んちゅっ、れろ……っ、…くちゅ…っ」
「…ん…はぁ…ん……っ! や、やぁ…ん……、ちょ、ま、まどか、やめ………」
 その言葉を聞いたまどかは、手と口、両方の動きを同時にピタッと止める。
 そして一旦乳首から口を離し、意地悪な表情で藍子の顔の方を向き、わざとらしく言う。
「え〜?やめてほしいの?じゃ、やめちゃおっかな」
 当然彼女は分かっている。藍子が彼女を求めていることを。
 快楽を途中で止められた藍子は、ぷるぷると震えながら、顔を隠していた腕を僅かにズラし、真っ赤な顔、潤んだ瞳でまどかのことを見ながら、言う。
「ぁ…………。……や、やめないで……、…もっとして………」
 まどかにとっては、待ちに待った言葉。
 それを聞いて、まどかはニッコリ笑って答えた。
「んっ、了解♪ ……んむっ、…ちゅ…ぅぅぅ………っっ」
 再び乳首に吸い付く。さっきよりもっと激しく。
「はぁっ、ん、ぁぅ……っ!」

ぶッッぼぼぼごおおぉおおーーーーーーぉおおぉーーーぉおおおおぉおおおッッ!!!!!

うぐむんッぎゃあぁぁぁーーーーぁぁあぁーーぁああああぁあッッ!!!!!

 藍子が放った重低轟音。そしてショウゴの大声。
 二人の世界に没入する彼女達の耳には、それが心地よいBGMとして届く。
「アハッ、すっごい音出たね♪」
「…ん…っ、もっと…、…もっとぉ………」
「エヘヘ、素直な藍ちゃん可愛いよぉ〜♪ ……んちゅ…ぅ……っっ」
 背中と乳首を攻められた藍子はすっかり従順になり、まどかを求める。そんな彼女のことを愛おしそうにうっとりと眺めて刺激を与え続けるまどかは、それと同時に、今のド級の一発を受けてショウゴがダウンしたことに気付き、藍子の枕元に置かれたリモコンに左手を伸ばしてボタンを押す。
 ピピッ
はぎゃいぃぃぃいッッ!!!!
 その激痛は、彼らがいかに弱っても、その命ある限り効果を発揮する。最早正常な判断ができない藍子に代わったまどかは、藍子の乳首を吸ったまま、今度は自分が、

ばふぅうッ!!!ぶぶすううぅうーーーーーぅぅうーぅうううッッ!!!!!

と放屁。

ぐむぐぉおぉぉおーーーーーぉおーーーーぉぉぉおッッ!!!!!

 今の濃密な腐敗卵臭に男が耐えられるわけがない。確かめるまでもなく気絶したケントを起こすため、今度はケントの方に接続されたリモコンのボタンを押す。
んぎゃひぎぃッッ!!!!
 複数のことを器用にこなしながら、自分自身の頬も薄紅色に染めるまどか。これも彼女の隠れた才能のひとつと言えるだろう。
「…ゃ…、あ…ぁあ…ん……っ、…くぅ…っ、はぁぁ…ん……っ!」

ぼぶっ!!ぷすぅっ!ぶしゅっ!!ぶふぉっ!!

おごッ、おごげへッッ!!!!
「んちゅっ、んむ……っ、ちゅぱ…ちゅぱ…れろ…ちゅぱ……っ」

ばぶふッ!!ぶりゅッ!!ぢゅッ!!びちッ!!

あぐぅぅッッ!!!ごぶッ!!!
 舐められる藍子、舐めるまどか、二人とも、緩んだ肛門から小刻みにガスが漏れ出している。
 そしてそれを受けるショウゴとケントの二人も、よくここまで保ったと言うべきだろうが、ついにその命が力尽きようとしている……。そのことを、まどかは鋭く感じ取っていた。
「…藍ちゃんっ、隠してないでお顔見せて? 藍ちゃんにも私のおっぱい触ってほしいの……っ」
 まどかは一旦乳首から口を離し、自分の顔を隠すようにかぶせている藍子の腕を優しく掴む。藍子は、すっかり蕩けるような表情で目を潤ませ、口の端からはたらりと涎を垂らしている。クールでポーカーフェイスな藍子からは想像できない、理性の吹っ飛んだ表情。まどか以外にはけして見せることのない雌の顔。
 それを目にしたまどかも、キュンッとした陰部から汁を滴らせる。普段は見られない藍子のエロティックな表情に、まどかもこの上ないリビドーを感じているのだ。
 そのまままどかに誘われ、藍子の左手は、まどかの乳房を支えるように掴む。藍子が指を思い切り開いてもこぼれ落ちそうなまどかのHカップバスト。その先端ですっかり硬さを増した乳首を親指で触る藍子。まどかは一瞬ピクッと反応しつつ、にまぁっと微笑む。
「んぅ……っ。エヘッ、気持ちいいよぉ、藍ちゃん……っ」
「…はぁ…はぁ……、…まどか…私のも………」
「分かってるって……♪」
 そうしてまどかも、左手で藍子の乳房を触り、乳首を刺激する。
 藍子の上にまどか、裸で身を重ね合わせ、左手で相手の乳房のやわらかさを感じ、右手で自分の陰部をくちゅ、くちゅ、と刺激しながら、何度してもし飽きることのないディープな接吻で気持ちを確かめ合う。
「藍ちゃん……、私と一緒にイこ?一緒にイって、一緒におならして、……一緒にコイツら殺そ? いい?いいよね?」
「…はぁ…、……い、いい……、…まどか…まどかぁ……大好き……っ」
「……ん…っ、…んむ……っ、…エヘヘ、私も、藍ちゃんだぁ〜い好きだよ♪」
「…ぁ…ん……、ぁ、ああぁ……っ、…ん…愛してる…ぅ……」
「……私も…、…んちゅぅ……、……愛してるよ……♪」
「あっ、あぁああ…ん……っ!まどか…っ、まどか…っ、まどかぁ……っ!」
「ん…っ!藍ちゃんっ、可愛い…っ、藍ちゃん可愛いよぉ……っ♪ ぁん、イっちゃお?ね?はぁん……っ♪」

すっっかああぁあぁああーーーーーーぁああああーーーーーぁああああーーーー………っっ!!!!!
ぶぅうッッふぉおおおおおおぉおぉおーーーーぉおーーーぉおおぉおおぉおぉおおおぉッッ!!!!!

むぎゅぐぎぃいぃいーーーーーぃいぃいいぃいッッッ!!!!!!
ふんぎゃあぁぁぁーーーぁあぁあぁあああぁあッッ!!!!!!

 事を終えた後――
 余韻を味わいつつ落ち着きを取り戻した藍子は、替えのパンティを履き、勢いで脱ぎ散らかしていた衣服を着てベッドの端に腰掛けていた。
 まどかの方はと言うと、まだ全裸のままベッドの上でゴロゴロ寝転がって起き上がらず、今日のエッチが終わるのを名残惜しそうに藍子の手の指をちゅぱちゅぱとしゃぶっている。
 彼女達の尻からは、ショウゴとケントは既にベルトによる固定を解かれ、取り外されていた。が、息はない。まどかが確認のために『ビリビリ君』のボタンを何度か押したが、ピピッピピッ、という電子音が鳴るだけで、もうピクリと動くこともなかった。無造作に床に転がった彼らの歪みきった死に顔は、今日の責めと、明らかにオーバーキルだった最後の一発がいかに惨たらしいものだったかを物語っている。
「エヘヘ、今日も藍子ちゃん、素敵だったね。最後に何回も私の名前呼んじゃって、すっごぉく可愛かったなぁ〜♪」
 まどかが言うと、藍子はほんのり顔を赤らめながら、まどかのことを流し目で軽く睨む。
「もう……、落ち着いた後に振り返らないでよね。冷静になってみると、結構恥ずかしいんだから」
 そう言ってから、藍子はくんくんと鼻を動かし、思い切り顔をしかめて手で鼻と口を覆った。
「……ッ、それにしても凄い臭い……」
 彼女の言う通り、室内、特にこのベッドの周りは、おぞましいほどの腐卵臭で包まれている。まともな人間であれば、間違いなく近寄っただけで絶叫して気を失うだろう。
 一方のまどかは、藍子とは対照的に、ベッドの上でその空気をスゥ〜〜ッと吸い込むと、満面の笑みを浮かべた。
「やだなぁ、これ、半分は藍子ちゃんのおならだよ♪」
 まどかにそう言われて、藍子も思わず吹き出す。
「ウフフッ、そうね。自分のことながら、もう人間の腸内環境とは思えないわね、私達」
「うん、同意っ!藍子ちゃんのお化けすかしっ屁、凄かったよ〜♪」
「まどかのもね。ホント、こんな可愛い顔してあんな怪物みたいな音出すなんて信じられないわ」
 そんなことを言い交わしながらクスクス笑い合う二人。
 先ほどまでの激しさが嘘のようにまったりとした時間が流れる中で、藍子は、
「さてと」
と言って立ち上がる。
「忘れないうちに『お薬』投与しないとね。死後1時間を越えると効果が発現しない可能性もあるから」
 今回使われるのは、彼らが「コカイン過剰摂取」で絶命したように死因を偽装する薬物。これを打たれた二人は、この後深夜、都内某所の古びたアパートの一室に運び込まれる。
 彼らが発見されるのは、遺体の腐敗が進み、顔に染みついた絶望的なまでの腐卵臭が誤魔化せるようになった数日後。彼らからの薬物反応、また偽装のためのコカインが入ったシリンジが転がっている状況などから、警察は彼らが自らの違法薬物の過剰摂取が死亡の原因と見なすだろう。
 死亡直前の足取りから、出会い系サイトで「謎の女性二人組」と会っていたことまでは判明するだろうが、その二人組の足取りは終えず、またラリって勝手に死んだ若者二人に時間をかけるほど警察も暇でもないため、そこで捜査は打ち切られることになる……
「藍子ちゃん、頼りになるな〜。私だったらうっかり1時間以上経っちゃってアタフタしそうだよ〜」
「確かにマイペースなまどかならあり得そう。やっぱり私がしっかりしてないとダメね」
「アハッ、そんな藍子ちゃんもベッドの上ではされるがままの子猫ちゃんだったけどね♪」
「恥ずかしいからもうやめてってば、フフフッ」
 また笑い合いながら、藍子は注射器で二人の男の腕に怪しげな色をした薬を注入する。
 この「謎の女性二人組」の存在は、こうしてけして明るみになることはない。

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