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音楽生成AIに未来を感じない4つの理由

最近、色んなところで「Sunoを使えば誰でも作曲できる」「AIで音楽を作って副業にしよう」といった発信をよく見かけるようになりました。

確かにSunoやUdioといった音楽生成AIは、ワンクリックで「音楽っぽいもの」を作ってくれる面白い技術だし、「音楽制作の敷居が下がった」と感じる人がいるのも理解できます。

しかし、音楽制作を仕事としてやっている自分の立場から見ると、この流れには大きな違和感を覚えざるを得ません。

なぜなら、今の音楽生成AIでは作品とは言い難いレベルのアウトプットしか得られないからです。そして、そこに「副業」や「商用利用」まで持ち出すのは、明らかに現実を見誤っているとも思います。

この記事では、そうした音楽生成AI副業論に対して、なぜそれが成立しないのか解説します。

誰が語っているか

僕は、2019年にLogicを手に入れ、2021年からDTMを本格的に始めて今年で4年目になります。
この4年間で、自分の作品としてオリジナル楽曲を30曲以上(シングル11作、アルバム3作)を単独でリリース。さらに、企業や個人に向けて提供したBGM・歌ものなどの制作も累計100曲以上やってきました。
最近はこんな曲を制作しました⬇️

いくつかの楽曲はSNSやYouTube動画の他に地上波のテレビ番組でもBGMとして使用されて、最近だとインディーゲーム作品、商用CM、芸能関係の仕事もいただいて、今は自分の音楽で得たお金だけで機材を買える程度には収益化に成功しています。

音楽制作+生成AIの使い方、利用スタンスはこちらの記事でも話しました⬇️

音楽生成AIで副業論が成立しない4つの理由

1. 商業利用はリスクしかない

「音楽生成AI曲で不労所得!」という話もありますが、現実には著作権の不明瞭さが問題になります。

例えばSunoの生成音楽は学習データも不透明で、誰に権利があるか不明瞭なものも含まれます。

多くのストック音楽系のプラットフォームでは生成AI曲のアップロードを明確に禁じており、出自や制作過程が不明な音源は基本的に審査で落ちるか、後から削除対象になります。

2. 「Spotifyで稼ぐ」は無理筋

配信サービスにAI生成楽曲を登録しても、現実には誰にも聴かれず終わるのが大半です。仮に聴かれても、配信プラットフォームがAI生成と判定してBANするリスクがあります。実際にSpotifyではBoomyによる生成音源が大量に削除された事例もあります。

3. 音楽知識ゼロ=自由、ではない

「音楽の知識がなくても自由に作れる!」という声もありますが、それは「何が良いか」も判断できないまま生成されたものを受け入れるしかない、という不自由さでもあります。

音楽は、知っていれば知っているほど深く作れるし、良し悪しもわかるものです。知識がないまま生成することは、逆に非常に「受動的」な行為です。

音楽生成AIは能力のない人間に能力を与えてくれるわけではありません。

4. 生成AI曲には「責任」がない

音楽作品とは、「誰が」「なぜ」「どんな思いで」作ったかが問われる表現です。Sunoでできるものは、それらの責任や背景がすべて欠落した「音の羅列」です。人の心を動かす音楽に必要なのは、音を並べることではなく、意図と文脈です。

例えば、ドラマや映画、ゲームのサウンドトラックは芝居やシナリオでの感情変化に合わせて音楽がつくことが当たり前です。生成AIにはそれができない。だから人間のことを理解していない単なる音の塊でしかないと思います。

今の音楽生成AIは「商業に乗れない」

生成AIによる音楽が「収益につながらない」理由の根底には、著作権と信頼の問題があります。

商業利用の世界では「誰が作ったか」「どこから学習されたか」「権利関係はクリアか」といった情報が明確でなければ、企業や配信プラットフォームは採用できません。これは倫理の問題ではなく、ビジネスリスクの問題です。

たとえばAudiostockでは、審査時に制作プロセスや権利状態が問われます。Epidemic SoundやArtlistも、契約作家との直接契約によってクリーンな著作権構造を維持しています。生成AIはそこに「不明瞭さ」を持ち込むため、そのままでは「信頼できる素材」として流通できないのです。

つまり、現状のAI楽曲は、「聴く」だけなら問題ないが、「使う」となると使えない、この二重構造が存在しています。

これを乗り越えるには

  • 著作権法を中心とした法改正

  • 音楽業界としての経済構造の変革

  • 一般社会・消費者の理解

これだけのハードルを超えることが必要です。

しかも、これらの課題は音楽におけるAI活用という産業全体で取り組むべき問題であって、Sunoのようなスタートアップ一社で解決できるスケールではありません。

なので僕には音楽生成AIは詰んでる未来しか見えないのです。

クリエイティブを弱者のセーフティネットにするな

「音楽生成AIで副業」という発想の裏には、「音楽なら誰でもできそう」「学ばなくても、努力しなくても、形にはなる」という甘さが見え隠れしています。

noteでも「ブラック企業で働いて鬱になって退職した、でも音楽生成AIで稼ぐ道を見つけた」的な話がちょいちょい目に入ります。

けれど、本来クリエイティブという営みは、そうした逃げ道として成立するものではありません。

表現とは、意志であり選択であり、覚悟の現れです。それを「誰でも副業できる簡単ツール」として扱い出した瞬間、音楽は作品ではなくただの音に成り下がります。

「誰でも」「簡単に」「楽して」稼げるクリエイティブな仕事はこの世にありません。楽して稼いでるように見える人は、その手前でその楽さを築き上げるための大量の努力と試行錯誤があるんです。

音楽生成AIに価値があるとしたら?

そのうえで、AI音楽に意味がないとは思いません。むしろ以下のようなツールとしての使い方には価値があると思います。

  • 作曲のアイデア出し(構成や雰囲気のスケッチ)

  • サウンドの参考資料としての活用

  • SNS向けの一発ネタや演出素材(今現在Sunoすげ〜って言ってる人の大半はここに対して言ってますよね)

  • 音楽初心者が「音楽を考える入り口」として使う

AIは表現者の「補助輪」にはなりますが、それに乗っかるだけで「表現者になった気になる」のはかなり危険な幻想です。

Sunoでできるのは「プロンプトを入れて、出てきた音を選ぶ」だけです。それは作曲ではなく、選曲に近い行為です。コードも、メロディも、構成も、自分の意図では動かせません。

しかも生成される曲の内容は、たいてい既存のジャンルや雰囲気をなぞっただけの「音楽風素材」でしかありません。

ここまでをまとめると、Sunoは音楽家の代替にはなれず、せいぜい「音楽っぽい何か」を生み出す遊び道具にすぎない、というのが僕の現時点の評価です。

誰でも使えるツールだからこそ、使う側の姿勢が問われます。

AIに使われるな、ダセえぞ

「AIで誰でも作曲家になれる」という幻想は、結局のところ「作品の本質」を理解しないまま、ツールの機能に惑わされている状態です。

本気で音楽に関わりたいなら、AIをうまく使う前に、自分自身が何を表現したいのかをまず考えるべきです。AIはその表現を助けてくれますが、表現そのものにはなりません。

そして、「作曲家」「クリエイター」と名乗るなら、その音に責任を持てるか? 意図を語れるか?が問われるということも忘れてはいけないと思います。

追記)この記事の続きを書きました⬇️


このnoteは、音楽活動に悩むミュージシャンや作曲家に向けて、
僕自身が考えたこと、試したこと、そして選んだ道を共有しています。

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コメント

13
Amazing
Amazing

音楽生成AIも、使い方ではないでしょうか? 自分で作詞作曲して、編曲だけ生成AIに任せる。そのアレンジを元にして、自分で再アレンジしつつ、ボーカルのみデモテープに利用するとかね。

AI=駄目と簡単に非難するのではなく、うまくAIを利用して制作を効率化したり、クオリティーアップさせる方法はあると思います。

これまで、2DCG・3DCG・アニメ・ゲームにおいても同じような道を辿ってきましたから、いかに法的問題をクリアして使いこなすかが問われる時代になるはずです。

はい、記事内では「音楽生成AIに価値があるとしたら?」という章で、そういった趣旨の話をしてます。

moron発見機
moron発見機

AIイラストを無分別に批判している絵師(笑)と同じニオイが😂
つまるところ言いたいのは
「僕が努力して手に入れた技術をワンクリックで上回るなんて許せない!」でしょ?

AIに嫉妬するな、ダセえぞ?😎😎😎

まあ、記事の序盤で答えでてますよね
「今の音楽生成AIでは」
まさにその通り。AI技術は日進月歩。あっという間に人間作と聴き分けがつかなくなります。
だから、確実にAI曲の需要も供給も増えますよ。現に商業ベースでも、インディーゲーム等ではAI曲の利用が増えていますよね。
でも、それって悪いこと?粗製乱造?
むしろ良いことじゃないです?
だって「本当に価値あるモノ」の価値が、さらに高まるんですよ?
例えば、どれだけ画像生成AIの品質が向上したとしても
新川洋司先生や安彦良和先生の絵の価値は失われません。
それは「0から1を生み出せる」からです。
どれだけLoRA学習で精巧に真似をしても、現状のAIに0→1は不可能ですから、結果として「ホンモノ」のクリエイターの価値は相対的に上昇しますよね。
だから、あなたが本当に価値ある作品を生み出すクリエイターなら、こんな予防線張る必要ないんです😂

seg
seg

>つまるところ言いたいのは
「僕が努力して手に入れた技術をワンクリックで上回るなんて許せない!」でしょ?

ここで多分勘違いされていますね。
この方は、AI利用自体は否定されていませんよ?
むしろこの方自身がAI利用の当事者です。
記事内のリンクの別記事で利用していることを明言しています。
利用している上で今の段階ではそのレベルにはない、という話をされている訳ですね。

もちろん今後AIのレベルも上昇するでしょうが、多分この方自身もそのレベルアップの恩恵を享受してさらにレベルアップしますよ?

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Epic Vanguard名義で、メロディックベースを軸にシネマティックなサウンドを融合したサイバーファンタジーEDMを制作。アニメ・ゲームなど物語性のある映像世界と親和する、ストーリー性のある楽曲を描いています。 ご連絡・詳細 ▶︎ https://www.ochi.work/
音楽生成AIに未来を感じない4つの理由|ochi [Epic Vanguard] / サイバーファンタジーEDM
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