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期日前投票所が「混んでいるのに投票率が低い」のはなぜか、背景にある投票事務の負担増 #エキスパートトピ

選挙コンサルタント・政治アナリスト
写真:アフロ

2月8日投開票の第51回衆院選で、各地の期日前投票所に長蛇の列ができています。鹿児島市役所では最大1時間待ち、広島市では前回比約1万人増と報じられる一方、総務省の中間発表では期日前投票率は前回同時期比0.47ポイント低下の5.59%にとどまります。戦後最短日程で会場確保が困難な上、入場券の発送遅延で宣誓書記入や選挙人名簿との照合に時間がかかり、1人あたりの処理時間が増加していることも混雑の要因です。

ココがポイント

急きょ選挙が決まったため手狭な会場しか確保できず、待ち時間が増えている
出典:南日本新聞 2026/2/5(木)

急な解散・総選挙となったため、投票所の入場券の発送が遅れてまだ届いていない自治体もあることが、投票率が低下した要因の1つ
出典:NHKニュース

「期日前投票宣誓書」と書かれた紙に自分の氏名や住所、生年月日を記入する。受付の職員に渡すと選挙人名簿と照合され
出典:熊本日日新聞 2026/1/31(土)

エキスパートの補足・見解

今回の衆院選で各地の期日前投票所が混雑しているにもかかわらず、中間時点の期日前投票率が前回を下回っているのは、一見矛盾しているように映ります。しかし、この現象には明確な構造的理由があります。

第一に、当日投票所が全国約4万4千カ所あるのに対し、期日前投票所は約6千カ所にとどまるという箇所数の圧倒的な差です。有権者1億人超に対してこれだけ少なければ、利用者が増えなくても体感としての混雑は当然起こります。

第二に、戦後最短の16日間という超短期日程のため、自治体が会場を確保できなかったケースが相次ぎました。鹿児島市では通常使用する講堂が確定申告会場に充てられ、狭い会議室での対応を余儀なくされています。

そして第三に、入場券の発送遅延が1人あたりの投票処理時間を押し上げています。通常であれば入場券のバーコード読み取りで瞬時に本人確認が完了しますが、入場券が届いていない有権者は宣誓書への記入や、職員による選挙人名簿との手作業での照合が必要となり、1人あたり数分の追加時間が生じます。

つまり、混雑は(少なくとも現時点では)投票意欲の高まりではなく、受け皿の不足と手続き負荷の増大・投票事務の負担増が原因といえます。

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選挙コンサルタント・政治アナリスト

1988年生まれ。青山学院高等部卒業、青山学院大学経営学部中退。2010年に選挙コンサルティングのジャッグジャパン株式会社を設立、現在代表取締役。不偏不党の選挙コンサルタントとして衆参国政選挙や首長・地方議会議員選挙をはじめ、日本全国の選挙に政党党派問わず関わるほか、政治活動を支援するクラウド型名簿地図アプリサービスの提供や、「選挙を科学する」をテーマとした研究・講演・寄稿等を行う。『都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ』で2020年度地理情報システム学会賞(実践部門)受賞。2025年度経営情報学会代議員。日本選挙学会会員。行政書士。

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