ずっといた神社
趣味で心霊体験や不思議な話を蒐集している私ですが、自身は霊感というものがてんでなく、特に変な経験はしてきませんでした。
しかし、やっと最近不思議なことを体験をしましたので、せっかくですしここで共有しようと思います。
体験したというよりは「体験していたことに気づいた」が正しいのですが、まぁとにかく……。
大学院生のころの私は心霊スポット巡りが好きでして、良さそうな場所があればふらっと立ち寄って写真を撮るなどしていました。
といっても真夜中に車で訪れて肝試しするような本格的なものではなく、真っ昼間に公共交通機関と徒歩で行ってすぐに帰ってくるというライトな心霊スポット巡りです。
ああいった人通りの少ない場所は(生きた)怖い人も寄りつくので、流石に夜一人で行くのは怖いんです。
そんな中、ちょうど3年前の真夏にとある廃神社を訪れました。
地元ではかなり有名なスポットで、噂にたがわず雰囲気もなかなかのもの。風の通り方が特殊なのか、大して山奥でもないのに鳥居をくぐった瞬間一気に空気が冷たくなったのを覚えています。
しばらく写真を撮りながら境内を散策しましたが、怖いというより「厳か」といった印象を受けた廃神社でした。
荒れて自然に埋もれそうにはなっているものの、神社としての存在感はしっかりと残っているというか、何というか人々からのリスペクトが感じられる場所でした。
ぶらぶらしていると空気にも慣れてきたので、私は今回の旅のメインディッシュを見に行くことにしました。
それが、草木に埋もれそうになっている汚い祠です。(場所の特定を避けるため、実際の「もの」とは異なる表現をしています)
その祠、廃神社の周辺にあるもののなかでもひときわヤバいものらしく、数々の逸話がありました。なんでも、近づいて神隠しにあった人もいたとか……。ワクワクしますよね。
しかし、そんな私の期待感は件の祠を遠目に眺めただけであえなく霧散しました。
あまりにも嫌な雰囲気を漂わせていたからです。
私に霊感などありませんでしたが、それでも祠が異様な存在であることがわかりました。むしろ、お化けとかそういったあやふやな存在は全く関係なく、ただただ生きた人間があの祠をあの状態のままで残してしまっていることへの罪深さというか、そういったところに強烈な違和感を感じました。
すぐに「もう帰ろうか」「そうだな、祠は諦めよう」といった流れでそそくさと帰路につきました。
ですが、後になって思い返してみるとこれは妙なんです。
私は一人で廃神社に行ったはずです。
それなのに、私は最後誰に同意を求めたんでしょう?
最後に私と一緒にいたのは誰だったんでしょう?
……と、ここまでは私のX(旧Twitter)でも簡単に紹介したのですが、この話にはまだ続きがあります。
廃神社で"誰か"と一緒にいたことを思い出した私は、これは良い怪談になるぞと話をまとめることにしました。これがつい先月くらいのことです。
当時のことを細かく思い出しながら状況を紙に書いてまとめていると、変なことに思い当たりました。
そういえば、帰りのバスも一人じゃなかった気がする……。
その後電車に乗ったときも、一人じゃなかった気がする。
最寄り駅で降りたときも、誰か一緒にいた気がする。
家にも、二人で帰った気がします。
その後の夕食も、隣に誰かいました。
お風呂も、一人で入っていないと思います。
夜は横に、何か寝ていたことを思い出しました。
次の日も、誰かと一緒に過ごしました。
その次の日も、一人じゃなかった気がします。
それかしばらく経っても、ずっと隣には誰かいたと思います。
大学院を出た時点でも、それがいなくなった記憶はないです。
関東にも、誰かと一緒に来ました。
社会人になっても、それはずっといた気がします。
そして、それらの記憶を思い返している「今」も、きっと……
「あーーーーーーーーーーーーーーーーーー…………」
突然、ため息のようなうめき声のような、あるいは風船から気が抜けるときのような低い声が、私の横にいた真っ黒で背の高い影から発せられました。
"それ"はかろうじて人の形をしているように見えましたが、顔にあたる部分に目鼻はなく、ただ孔のような口だけが額から顎まで縦長に空いていました。
次の瞬間"それ"は消え、自室に私だけが残されました。
おそらくそれは、3年ぶりに私へ訪れた完全な"ひとり"だったんだと思います。
それ以来、その影は現れていませんし、誰かが一緒にいるという感覚も記憶も、もうありません。
以上がつい最近あった、初めての不思議な体験です。
こんな体験、二度としないことを願っています。
(終)


コメント
2凄いですねえ
凄すぎる
確かにすごいです。