【博多 龍龍軒 お茶の水駅前店】偶然出会った博多ラーメンの名店
龍龍軒という存在
博多ラーメンの歴史を語るとき、必ず名前が挙がるのが「龍龍軒(ロンロンケン)」です。昭和30年代から40年代にかけて博多を中心に一世を風靡し、いわゆる“博多とんこつラーメン”を全国に広めた先駆的な存在でした。まだ長浜屋台の文化が強かった時代に、チェーン展開を進めて都市部へとその味を持ち込んだのが龍龍軒。東京にも複数の店舗を構え、豚骨ラーメンを知らない世代に強烈なインパクトを残しました。
偶然の出会い
私は関西生まれですが、母方の祖父母が九州出身ということもあり、どこか九州文化への親しみがありました。とはいえ学生時代、そんな背景を意識してラーメン屋を選んだことはありません。ただ、ある日、神田・お茶の水にあった「龍龍軒」にふらっと入り、濃厚なのにスルスル食べられるスープと、安くて頼みやすい替え玉にすっかり魅了されたのです。
当時はラーメンを“カスタムする”という発想がなく、張り紙でトッピングや追加の案内を見ても「高くなるからやめておこう」と思っていました。学生には100円の差も大きかった。でもその「ノーマル」こそが十分に完成されていたからこそ、私は繰り返し通い続けられたのだと思います。
龍龍軒の魅力
龍龍軒の魅力は、いくつかの要素が絶妙に重なっていました。
濃厚でありながら後味が軽く、ついつい替え玉を頼みたくなるスープ
学生にもやさしい価格帯、とくに安い替え玉システム
そして個性的な店主を含めた“店の空気”
東京で博多ラーメンが「特別な食体験」として受け止められていた時代、龍龍軒はまさにその入口となる存在でした。
失われた店を思う
今では東京から龍龍軒の看板は消えてしまいました。気づけばあの店の味も、麻原彰晃似とまで言われた店主の姿も、もう思い出の中にしかありません。もし今あの店が残っていたら、学生時代にはできなかった「トッピング全部のせ」に挑戦してみたい。大人になった今だからこそ楽しめる贅沢な食べ方で、再びあのカウンターに座ってみたかったと思います。
龍龍軒は、ただのラーメンチェーンではありませんでした。偶然出会った自分にとっては、故郷でもないのに“なつかしさ”を呼び覚ます、不思議な食の記憶です。そして今も、その懐かしさを胸に、豚骨ラーメンの匂いをどこかで探してしまうのです。



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