患者は激減、お医者さんは高齢化…閉院する開業医が続出、10年で123カ所 鹿児島の地域医療が崩壊の懸念

2026/02/04 11:58
診察をする枕崎こどもクリニックの中園伸一院長=1月15日、枕崎市
診察をする枕崎こどもクリニックの中園伸一院長=1月15日、枕崎市
 鹿児島県内で開業医の閉院が相次いでいる。県医師会では、会員の開業医が10年間で123カ所減少。医師の高齢化やスタッフ不足、診療報酬改定など多くの要因が挙がる。人口減少も進み、「このままでは地域医療が維持できなくなる」と関係者は頭を悩ませる。

 「年齢や体力的に今だと思った」。枕崎こどもクリニック(枕崎市)の中園伸一院長(75)は話す。昨夏、29年間続けた医院を今年2月末で閉院すると決めた。10年前は1日60人ほど訪れた患者も、現在は半減。「人口減少は予想していたが、思った以上に減り、増える見込みがない」と声を落とす。

 中園院長は閉院によって、小児の医療難民が増え、若い世代の転出が増える可能性を危惧する。「赤字が続き収入の保証もない。できれば存続させたかったが、採算が取れない」

 県医師会によると、2015~24年に県内123の診療所が閉院し、減少率は10.8%。医師会別では肝属郡医師会が37.5%と最も高かった。県医師会会員の開業医の平均年齢は64歳。医師の高齢化や継承も課題となっている。

 県医師会が25年2月に実施した調査では、今後の事業継承について55%が未定と回答した。「診療報酬が上がらない中、人件費の上昇、患者数の低下で経営状況は悪化。子どもに継承させていいのか不安」「医療経営に未来があるのか」などの声が上がったという。

 物価や人件費高騰による赤字が続く中、多くの医師が訴えてきたのが診療報酬の改定だ。全体の改定率は14年から6回連続マイナスで、経営に大きな影響が出ていた。

 今年6月からの新改定率は、全体が2.22%と12年ぶりのプラス改定となった。県医師会の大西浩之副会長は「明るい話だが、物価上昇に追いついていない」と指摘。「赤字幅は減っても厳しい状況は続くだろう」と話す。

 人口減少や開業医の高齢化が進めば、閉院はさらに広がり、病院の再編・統合や機能分化などが求められる。大西副会長は「地域医療が継続できる方法を、行政や地域、各郡市医師会が協力して考える必要がある」と語った。

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