「チェックリストがあるのに止まる設備」と「リストから制御設計まで落とし込める設計者」の差
■ 若手時代、1出力で500万円の損失を出した理由
「とりあえず動かせ!」
そう言われて調整中のソフト上で強制出力を行いました。
「タンッ!(シフト+エンターキーオン)」
「ブォーン! ガッシャ―ン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
目の前で私の5倍はあろうかという大型のロボットが乗った
単軸スライダが動きだし、その先のロボットとぶつかり大破しました。
「owata」
とか思う暇もなく、頭が真っ白と表現できるのはあとにも先にもこの時だけかもしれません。
結局その一瞬で、500万円のライン損失を生みました。
センサ誤検知により誤動作、停止、ワーク破損。
復旧に丸2日を要しました。
(徹夜しながらの作業。工場長ににらめつけられながらのソフト設計もこれが最初で最後でした。)
当時はまだ「チェックリストをしっかり埋める」ことが仕事だと思っていました。
でも、そこに、制御設計者としての“想像力”と“リスク変換力”が決定的に足りていませんでした。
■ チェックリストとソフト設計は地続きである
多くの現場で、チェックリスト作成とソフト設計が分断されています。
そもそもチェックリストなんて無いよというところも多々あることがこれまで300社以上の方と個別面談してきて見えてきました。
実際には、チェックリストで想定したリスクが、
PLCのどの制御構造・命令構文に対応すべきかを
設計者自身が把握できていなければ、チェックは意味を成しません。
たとえば
- 同時に動かないはずの2軸が、同時に動いてワークが落下した チェックリストには「同時動作の確認」と書かれていたのに、 実際のソフトには排他制御が書かれていなかった
- 割込み処理の途中で装置が止まり、次に進まなくなった 観点表には「割込み処理の確認」とあるのに、 ソフトでは割込後のフラグ初期化や復帰条件の分岐設計が抜けていた
- 異常品が良品として次工程へ流れてしまった チェックでは「異常×特殊モードの組合せ」まで見ていたはずが、 実装側では異常判定がモード遷移でリセットされる構造になっていた
- センサの誤検知で設備が何度も止まった 「チャタリング対策済」と書かれていたが、 ラダーでは極小タイマ設定のままで、ノイズを拾っていた
このように、チェックリストに書いてあることと、PLCソフトで実際に設計されていることが一致していない。
これが、現場トラブルの根本原因のひとつです。
チェックリストを作るとき、そこに書かれた一つひとつの観点は、
本来「制御設計でどう表現するか?」「ラダーでどう組むか?」という問いとセットでなければなりません。
■ 「チェックリスト」と「制御ロジック」の乖離が現場を止めます
たとえば、こんな“ありがちな設計ミス”に心当たりはありませんか?
- SET命令だけ書いて、RESET条件を忘れていた
- 割込み処理の中で、使用フラグの初期化をしていない
- モードごとの例外処理が抜けていて、異常フローで止まる
- 良品と不良品の判定条件が、ソフト内で曖昧なまま
これらはすべて、チェックリストに挙げたリスクが、制御設計に反映されていなかったことが原因です。
つまり「リスト化はしたけれど、制御には活かせていない」状態です。
■ チェックリストは、リスクを論理的に見える化するための必須設計ツール
制御設計者の視点で見れば、「リスク」とは漠然とした不安ではなく、
「どんな状態で、どんな入力や出力が交わり、どんな例外が発生しうるか」という組み合わせの問題です。
これを簡潔に表すと
リスク = 状態 × 入力 × 出力 × 例外
チェックリストとは、こうしたリスクのパターンを事前に言語化し、制御設計に落とし込むための辞書のような存在です。
■ 現場が止まるか動き続けるかは、たった1接点で決まる
観点表(チェックリスト)を作るときに、まず意識すべきなのは
「この観点は、ソフト設計でどう表現されるのか?」という視点です。
一方で、制御設計をする側に必要なのは
「この動作は、過去にトラブルの原因になっていないか?」という
逆参照の視点です。
PLCソフトは、単なる命令の羅列ではありません。
設計思想を“動作”として表現する手段です。
だからこそ、設計者の意図が抜けたロジックは、
たとえ命令としては正しくても
- 製品破損
- ワーク流出
- 設備停止
といった現場の重大トラブルを引き起こします。
まとめ
設計とチェックの往復が、現場を止めない仕組みを作る
- テスト観点表は「制御ロジックに変換されて初めて意味を持つ」
- チェック項目ごとに、「この観点はどの命令や分岐で担保されているか?」を説明できる設計を目指す
- 過去トラブルを“リスト”として設計に落とし込むことが再発ゼロへの道 最初は工数がかかりますがかならずあなたや組織を助けることになります。ぜひ頑張って構築してみてください。 またそのあたりの相談も私のスクールでは教えていますので、ぜひご興味ある方は固定ポストを除いてみてください。
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