退職代行「モームリ」事件、「紹介料」偽装を提案か 弁護士ら書類送検
退職代行サービス「モームリ」を巡る弁護士法違反事件で、退職希望者の紹介を受けた弁護士側が、対価として支払う「紹介料」の支払い名目の偽装を提案していたことが5日、警視庁への取材でわかった。同庁は、弁護士らが金銭の支払いについての違法性を認識していたとみて調べている。
同庁保安課は同日、モームリの運営会社「アルバトロス」(横浜市)から依頼者の紹介を違法に受けたとして、弁護士法人「オーシャン」(東京・港)代表の梶田潤弁護士(45)、弁護士法人「みやび」(同)代表の佐藤秀樹弁護士(48)と男性事務員(43)、および両弁護士法人を弁護士法違反(非弁提携)容疑で書類送検した。
書類送検容疑は2024年7〜10月、アルバ社が無資格であるのにもかかわらず報酬目的で、同社側から退職を希望する依頼者について、法律事務のあっせんを受けた疑い。
同課は法人としてのアルバ社についても、同法違反(非弁行為)の疑いで書類送検した。いずれも、起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。同課によると弁護士ら3人は任意聴取に対し、いずれも容疑を認めているという。
弁護士法は、弁護士が無資格者から報酬目的であっせんを受けることも「非弁提携」として禁止している。
同課によると、アルバ社は法律事務が生じる可能性がある退職希望者には弁護士法人を紹介。梶田弁護士はアルバ社側から紹介料を要求された際に、弁護士法違反になる恐れがあるなどとして、同社が提携する労働組合への賛助金として支払うことを提案していた。
佐藤弁護士らも同様に、広告業務委託費などとして支払うことを提案し、契約を交わしていたという。
同課は組合活動や業務委託には実態がなく、弁護士法人からの送金は依頼者の「紹介料」にあたるとみて捜査。弁護士らが支払いを違法と認識しながら、隠蔽目的で偽装していたとみて調べている。
オーシャンは23年2月〜25年3月に約110人の紹介を受け約180万円、みやびは24年5月〜25年2月に約120人の紹介を受け約190万円をそれぞれアルバ社側に支払っていた。いずれも、退職希望者から1人あたり費用として原則5万5千円を受領。約3割にあたる1万6500円をアルバ社側に送金していた。
みやびは5日、日本経済新聞の取材に「コメントを差し控える」と回答した。
同課は3日、報酬目的で依頼者を弁護士らに紹介したとしてアルバ社社長の谷本慎二容疑者(37)ら2人を弁護士法違反(非弁行為)容疑で逮捕した。2人は「弁護士法違反になるとは思っていなかった」と容疑を否認している。
非弁行為と非弁提携の罰則について、弁護士法はいずれも2年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金と定める。双方とも法人の両罰規定があり、社員らが違反した場合には法人にも300万円以下の罰金を科すとする。
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