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ハイラックス(hyrax)を最初にイワダヌキと名付けた人は誰なのか?

くまちゃんです。

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みんなはハイラックスって好き?
ハイラックスはアフリカを中心に生息している動物だよ。
写真や動画を見てもらった方が早いね。

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ケープハイラックス

こういうサツマイモみたいなずんぐりしたフォルムがとってもキュート、何もわかっていないような、すべてをわかっているような、曖昧な佇まいがいいよね。
このハイラックスなんだけど、分類は『イワダヌキ目ハイラックス科』なんだ。

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イワダヌキ…っていうけど、あんまりタヌキっぽくないよね。
ちなみにイワダヌキ目に分類されるのはハイラックス科のみ。専用席ってこと?
ここでふと疑問を持ちました。

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くまちゃん、この疑問を調査してみました。
今回の調査は「国立国会図書館デジタルコレクション」(以下、「デジコレ」と表記)と「J-STAGE」(主に国内論文の全文検索が可能なデータベース)で進めていくよ。
使用する検索キーワードは「岩狸」「イワダヌキ」「Cape Dassie」「Cape Hyrax」「Procavia capensis」など。


まず、現在のハイラックスの分類名称の現状を整理してみよう。

田隅 本生, 哺乳類の日本語分類群名,特に目名の取扱いについて —文部省の“目安”にどう対応するか—, 哺乳類科学, 2000, 40 巻, 1 号, p. 83-99, 公開日 2008/07/30, Online ISSN 1881-526X, Print ISSN 0385-437X, https://doi.org/10.11238/mammalianscience.40.83,

この論文が、現状を俯瞰するのにちょうどよい感じでした。
論文の内容を参考に、主要なハイラックスの「目名」をまとめました。
こんな感じです。

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昔は「ひずめうさぎ類」なんてものもあったんだね。
また、日本哺乳類学会が2018年12月に公開した、『世界哺乳類標準和名目録』でも『イワダヌキ目』という表記になっているよ。
色んな分類の仕方があるけど、概ね現代は国内にイワダヌキ類(目)が定着しているという理解でよさそう。


『デジコレ』で検索して、最古の「イワダヌキ」を探していきます。

捜査の中で、以下のものが見つかりました。

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柴田昌吉 著『附音插図英和字彙』,日就社,1873. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2938261 (参照 2024-12-18)

この時点(1873年)では『Hyrax 獣名(ケモノノナ)』とあり、イワダヌキと呼ばれてはいません。
近い年のもので、他の記述も見てみましょう。

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ブロムメ 著 ほか『動物学』下,博物館,明7.11. (1874)国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/832780 (参照 2024-12-18)

この本だと「岩兎属」ってなってるね。ヌルっとしたイラストがかわいい
1870年代の時点では、「岩狸」とは呼ばれていなかったという解釈で良さそう。


「デジコレ」を探していたら昭和2年(1927年)の『動物学精義』という本にこんな記述を発見。

「ハイラックス」類の項目に、「本目には現存するものとしては唯「ハイラックス」Hyrax(飯島博士は岩狸と命名す)と称する一属あるのみである」

恵利恵 著『動物学精義』各論 下巻,目黒書店,昭和2. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1176015 (参照 2024-12-15)

あっさりと命名者が判明してしまった…!
飯島博士って人がHyraxを岩狸って命名したんだって。

「飯島博士」ってどこかで見たような…
そうだ! 最初に参考にした論文『哺乳類の日本語分類群名,特に目名の取扱いについて』で名前が出てきてた。

”動物学”関係の図書には名著として長年にわたり影響を与えつづけた本が何冊かあった。(略)②飯島魁著『動物学提要』

田隅 本生, 哺乳類の日本語分類群名,特に目名の取扱いについて —文部省の“目安”にどう対応するか—, 哺乳類科学, 2000, 40 巻, 1 号, p. 83-99, 公開日 2008/07/30, Online ISSN 1881-526X, Print ISSN 0385-437X, https://doi.org/10.11238/mammalianscience.40.83,

つまり、「hyraxを岩狸と名付けたのは飯島魁氏であり、氏の著作である『動物学提要』とともに広まった」と考えてよさそう。
これにて調査終了!

…と思ったら、それよりさらに昔に、「岩狸」という言葉を使っている本を見つけてしまった。

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横山又次郎 編『化石学教科書』中巻,富山房,明28.(1895) 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/831231 (参照 2025-08-08)

1895年に刊行された、横山又次郎氏による『化石学教科書』中巻に「岩狸」というキーワードが登場してる。

ただし、こちらは化石学(古生物学)の文脈みたい。
ちなみにこの横山又次郎という人はDinosaurを初めて「恐竜」と和訳した人(!)らしい。化石学のめちゃくちゃ偉い先生だ!!


これらの調査結果をまとめます。

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  • 化石学においては、横山又次郎がhyraxを「岩狸」と初めて表現した。(1895年)

  • 動物学では、飯島魁がhyraxを「岩狸」と『動物学提要』において命名し、同書によって世に広まった(1918)

網羅的に探せているわけではないので、あくまでも現時点の結論です。
もし、新事実をご存知の方がいたら、お知らせください。

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今回は好きなことを、好きなようにやってみました。
じゃあ、またね。

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