みんなで道南に水族館がある未来を描く|道南EXPO!2025レポ⑧
『地域の未来なんて知ったこっちゃある?』
地域の未来をジブンゴトにして考える多彩なセッションと、
全国で活躍する実践者たちのリアルな声が集まった『道南EXPO!2025』
この2日間に交わされた言葉や想いから、
どんな道南の未来が描かれたのか。
今回は「みんなで道南に水族館がある未来を描く」の様子を
現在はLocal Revolutionでインターン生として地域課題に取り組む
松野日胡さんがレポートします🌱
■みんなで道南に水族館がある未来を描くとは?
レポーターは、Local Revolutionインターン生として今回のトークセッションの函館水族館構想の歴史についてまとめました、松野日胡(まつのかこ)です!
「みんなで道南に水族館がある未来を描こう」とは?
道南地域の人全員が、「誰の為」、「何の為」、「どのような形で」の水族館が道南にあるべきか、自分事として考えられることを目的に
同じ目線で同じスタート地点から第一歩を踏み出せるよう、“道南“、”水族館“について参加者と共に「はこだて水族館」がある未来を探る”0歩目“のセッションです。
2025年から始まる水族館構想「はこだて水族館プロジェクト(仮)」
まず前提として、本セッションの主役は、モデレーターと、パネリスト、そして、参加者の皆さんです。
もちろん今読んで下さっているあなたも参加者です。
さあ、当日のトークを一部ご覧ください!!
▼登壇者をPick Up!!▼
〔一般社団法人Local Revolution〕
◯Moderator:岡本啓吾さん
シエスタハコダテ統括責任者、Gスクエアセンター長、道南サミット代表。
道南のすべての人が点と点ではなく、線、さらには面で構築される街の未来を拓くべく、熱く活動している。
◯齊藤亘胤さん(以下、ノブさん)
優しい未来に繋がる“仕組み”を創るエシカルシェフ。
北斗市でエシカルレストランPokke dishを経営。地元食材と社会課題に着目して一つのプレートで表現したり、他レストランのメニュー提供を行ったりしている。
◯齊藤いゆさん(以下、いゆさん)
おさかな専門シンガーソングライター、魚の変態。
海の表現者として“おさかな”を多くの人に届けるため、幅広く活動している(泳いでいる)。はこだて魚育プロジェクト代表として、保育園~大学までの海洋教育を実施している。
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◯早坂亮佑さん
北海道教育大学函館校3年
高校2年生で北海道函館市初上陸。函館漁港を歩く足元のすぐそばを泳ぐイカに感動し、道南の海の身近さに魅了される。去年(株) Rootsを立ち上げ、漁網アップサイクル事業を運営。(ヤドカリが好き!)
◯佐々木勇人さん
北海道大学大学院水産科学院、海洋生物資源科学専攻、博士後期課程1年。
兵庫県出身。バイオロギングを使用したホッケ/サケマスの養殖を研究している。
◯インタビューにご協力いただいた方々
・元函館市役所職員 櫻井さん
・漁業者 熊木さん
・一般社団法人海藻文化振興会 布村さん
・北大水産学部長 都木さん
・幼稚園理事長 福島さん
・就労支援施設kaede施設長 佐々木さん
・FFIアレサンドロさん
・株式会社ブリッチプロダクション 菊地さん
・函館市衆議院議員 逢坂さん
■当日のトークを一部お届けします!
#道南の海の課題とは?
道外で育った早坂さんからみた道南の海の課題についてお話していただきました。
早坂さん:道南のみならず全国では、海の観光は海鮮丼のような水産物の「消費」に焦点が当てられがちだが、漁師が負担している漁網の廃棄問題といった課題はあまり知られていない現状がある。海の魅力と課題の両方に光を当て、包括的に考えていく必要があると思う。
#水族館の役割とは?
では、そもそも水族館の意義とは何なのか。
佐々木さんより、日本動物園水族館協会(JAZA)が掲げる役割について説明していただきました。
佐々木さん:水族館の役割は、4つ。
・種の保存
・調査研究
・教育・環境教育
・レクリエーション
さらに2025年から規定された新方針では、生き物のウェルビーイングだけでなく、来館者や職員の幸福、水族館がある地域の幸福、ひいては地球環境の保全活動への貢献も目指す場であると説明していただきました。
#食の観点から見た水族館とは?
少し視点を変えて、食の面から水族館を考えます!ノブさんより、「生態系を食べる責任を伝えるレストラン」というアイデアが出されました。
ノブさん:道南で獲れた持続可能な魚、館内では魚を育てた水で野菜を栽培するアクアポニックスの導入。温暖化による魚種の変化も受け入れ、新しい郷土料理を創造する。これにより、見る、食べる、学ぶ、再生するという命の循環をレストラン内で表現し、食を通して海の未来を考える場所を目指すことが可能。
#水族館が与える効果(考察)
魚の変態、いゆさんが考える水族館が与える効果について説明していただきました。
いゆさん:水族館は「自然と人をつなぐきっかけ」
地域を学び、地域愛を育む場所。「ヒト・モノ・コト」と言われる世の中で、水族館は特別な存在。「ヒト」や「モノ」がその場からなくなっても、水族館での体験や記憶、「コト」はずっと残り続け、世代をこえて受け継がれていく。その“コトが回遊(循環)する力”が水族館の効果だと考えている。
# 他地域のすぎょい!水族館事例
さらにいゆさんからは全国の水族館の事例を四つに分類して、お話しいただきました。
①新設型(0から建てた大型水族館、公園一体型など)
(ex.八景島シーパラダイス、沖縄美ら海水族館、国営アルプスあづみの公園あづみの学校)
②ビルイン型(ビルテナントを利用、都市水族館など)
(ex.サンシャイン水族館、AOAOSAPPORO)
③再利用リノベ型(廃校や店舗などを水族館に転用)
(ex.市立室蘭水族館、むろと廃校水族館)
④まちづくり型(まち全体を水族館に見立てた新たな形)
事例はないものの、街全体を一つの水族館と見立てる「まちづくり型」の可能性を提示していただきました。
#実は過去何度も函館市に水族館が建設されようとしていた!
岡本さん:1951年の北海道立水族館の誘致失敗から始まり、70年代の開発計画頓挫、80年代の「湯の川マリンパーク」構想断念、90年代から2001年にかけての「アクアコミュニティ構想」の中止など、度重なる計画の歴史背景がある。
これらの計画は、民間企業の協力確保の失敗、他の大規模事業との競合、バブル経済の崩壊、事業採算性の問題、景観問題、市の財政健全化方針への転換といった複合的な要因で断念に至った。直近では、官民連携で事業費30億円の具体的な構想が練られたが、これも2006年8月31日に建設断念が発表され、以来約20年間、新たな構想は生まれていない。
これらの背景から、水族館構想において以下の二軸が重要と考えられる。
1.行政主導ではない民間+市民主導の水族館構想
2.持続可能
ここまではあくまで導入です!
#参加者が考える「はこだて水族館」
公開キックオフ会議開催!!!
来場者、オンライン参加者へ、公開アンケートで3つの質問(①水族館はあった方がいいか、否か,②なぜあったほうがいいのか、なぜなくてもよいか,③道南にどのような水族館があったらいいか)が、投げかけられました。その後、市民、企業、教育、行政など、さまざまな分野の来場者が4~6人のグループとなって、三つの質問について意見をグループディスカッションを行いました。
Q1,「水族館はあった方がいいか、否か。」
Q2,「なぜあったほうがいいのか、なぜなくてもよいか」
Q3,「道南にどのような水族館があったらいいか」
グループワーク後、代表者四人の方に意見を述べていただきました。
①:YES
水族館はあったほうがいい。ない方が変。という全員一致の意見であった。
イカがどのように獲られているかなど、知る機会が少ない。水族館であれば、説教臭くなく地域の海や生物を学び、地元の子供たちに函館という素晴らしい街に誇りを持つきっかけとなるのではと考えた。
②:YES-NO
水族館の新設には反対。コストや生き物を閉じ込める点に懸念がある。なので、水族館よりも、漁師の船や水上アスレチックなど、自然の中で学べる機会を設けるべきと意見がでた。
③:YES
子供たちの学びの場、水産高校や水産大学実践の場、そして町の誇りとなり、観光客誘致による経済効果も期待できる。単に観るだけでなく、体験し、成長できる水族館が良いと考えた。
④:YES
子供たちの教育や、単純に好きだからという意見があった。大規模なものではなく、市の財政に合った「身の丈にあった」水族館が良いと考えた。
□参加者の率直な声は?
行政、漁業者、研究機関、教育、福祉、民間、市民など多様な立場の方から公開インタビューを実施。皆さんの本音を伺いました!
◎元函館市役所職員 櫻井さん:1997年に緑の島での水族館計画を担当したが、具体的な計画がなく、多くの関係者から「魚は食べるもの」という意見もあり、断念した。しかし、子供たちに夢を与えるため、水族館や科学館のような施設は真剣に考える必要があると思う。
◎漁業者 熊木さん:水族館建設に強く賛成。タッチプールなどの活動で子供たちに海のことを伝えており、実際に本物の魚に触れた子供たちの笑顔や効果を実感している。
◎北大水産学部長 都木さん:個人的に水族館や科学館は必要。経済性も重要だが、いゆさんが提示した「街中全体が水族館になる」というまちづくり型のコンセプトに可能性を感じる。街の様々な場所で、海に関する多様なことを学べる「リビングラボ」のような仕組みは面白いと感じた。
◎幼稚園理事長 福島さん:水族館の設立を支持。魚育プロジェクトで、子供たちが本物の魚に触れた時、普段見せない輝きを見せたことから、本物に触れる体験の重要性を感じ、触れる場所が函館にあるべきだと感じた。
◎就労支援施設kaede施設長 佐々木さん:福祉の観点からも水族館は有意義。福祉が「声なき声」を拾う仕事であるように、水族館も魚たちの声(環境)を伝える役割を担い、次の世代の人々に繋ぐ活動が必要と考える。
◎FFIアレサンドロさん:水族館をつくることには反対。だが、自然と人間が共存し、未来の世代や子供、地域社会が一体となって自然を体験、誰もが一緒に自然に触れ、議論、学ぶ機会があるべきだと思う。
◎函館市衆議院議員 逢坂さん:個人的には水族館の設立に賛成。だがそれ以上に、設立に至るまでのプロセスを公開、市民で議論を重ねること、「作ること」ではなく、「作るまでにどのような議論をするか」が最も重要だと考える。
■「はこだて水族館プロジェクト(仮)」の第一歩
実行委員会設立 11月27日(いい船の日)
「どんな水族館あるべきか」、「そもそも水族館あるべきか」、「どんな手段で進めていくか」など、オープンに議論する場です。
(オンラインでも配信予定)
*はこだて・・・函館近郊、道南地域の意
今回募集しました「はこだて水族館アンケート」はGoogleフォームでまだまだ皆さんの声募集中。
詳しいアンケート結果は、「はこだて水族館プロジェクト」公式インスタグラムでご参照ください。今後の進捗についても、時々浮かび上がります(投稿更新します)ので、ぜひご覧ください!!
□私がセッションを通じて感じたこと
福島さんより、本物の魚と触れる機会が重要とのお話を受け、海の街はこだてだからこそ、地元の本物のさかなと触れ合う機会が必要だと感じました。
その理由は、大きく分けて2点。
1点目は、函館市の保育園の魚育プロジェクトのサポートをした際、海の街はこだてと言われているのに、子どもと海が遠い位置関係にあることを知ったからです。印象的だったのは、サメの映像を見た園児が「海ってこんなに広いんだ」と目を輝かせていたことが驚きでした。これほど海に囲まれているのに、です。
2点目は、函館高等支援学校料理教室に同行した際、「水族館に行ったことがない」、「近くに水族館あったら行くのに」と話した生徒がいたことです。歴史ある海の街であるのに、水族館に馴染みのない人がいることに衝撃を受けました。
私は千葉県出身で、小・中学校の学校行事で鴨川シーワールドや葛西臨海水族館を観に行った経験があります。
いま考えると、近くに水族館があるという環境は特別なものだったと感じています。
また、導入の部分で、いゆさんから「まちづくり型水族館」という水族館の新たな形の提案があった際、参加者の目の色が変わった瞬間が印象的でした。都木さんも街全体が水族館というコンセプトに賛同していらっしゃいました。
街全体を水族館と捉えたとき、海の街はこだてには、既にヒト・モノ・コトの地域資源が多く揃っていると感じています。
街全体「まちづくり型水族館」を体現できる未来が描けてしまう。この新たな形を提案、そして共感が生まれることは、海の街はこだてだからこそだと考えています。
しかし、地元で育った人ほど、地元の素敵な魅力に気づきにくいとも感じています。
【私の想い】
本セッション内容が全て伝わりきらなかったとしても、ここまで読んで下さった読者の方が、自分の街に、はこだてに、「どんな水族館があったらいいのか」考えるきっかけになっていたらうれしいです。
【さいごに】
「あなたは、初めて行った水族館を覚えていますか?」
「水族館にどんな思い出がありますか?」
▼この記事を書いた人
松野日胡 -Kako Matsuno-
日本大学生物資源科学部1年、Local Revolutionインターン生
千葉県出身、東京都在住。
普段大学では、食品に関する経済学を主に学んでいます。
8-9月には福田海産(函館市)にて、商品開発のインターンに参加。日々の生活やインターンの最中、道南で出会う人全員と言わんばかりに魅了されてしまいました。だって、ヒトの為になにかをしたい、その思いを紡ぎたいという人が交差しまくっていますもん!
道南に秘められた価値をもっと知りたい、伝えたい、そのような思いで活動しております。


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