中国共産党と台湾の国民党、9年ぶりフォーラム 台湾独立に反対

北京=小早川遥平 台北=高田正幸

 中国共産党と台湾最大野党・国民党関係者が経済交流などを協議する「国共フォーラム」が3日、9年ぶりに北京で開かれた。中国側は経済協力の強化を持ち出し、台湾の民進党政権を牽制(けんせい)。国民党側は副主席が訪中し、親中的な姿勢を打ち出す鄭麗文(チョンリーウェン)主席と共産党の習近平(シーチンピン)総書記との会談の実現へ布石を打った。

 中国政府で台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室(国台弁)の宋濤主任は開会式で、中台双方が一つの中国に属することを確認したとする「92年コンセンサス」を堅持し、「台湾独立」に反対するとした上で、「経済交流協力を促進する政策措置を打ち出していく」と述べた。

 国民党の蕭旭岑副主席は「両岸(中台)の人民はともに中華民族に属する。互いに協力して中華振興に尽力すべきだ」と呼びかけた。「92年コンセンサス」の堅持と「台湾独立」反対も訴えた。

国際環境も追い風に

 フォーラムは2006年に始まり、12回目。国民党が与党だった15年には当時の朱立倫主席が訪中に合わせて習氏と会談。16年に台湾で民進党が政権に就き、国民党内でも対中姿勢に慎重な意見が出る中で同年11月を最後に途絶えていたが、国共両党のシンクタンクが主催する形で復活した。

 中国側には「独立派」と敵視する民進党の頼清徳(ライチントー)政権にさらなる圧力を掛ける狙いがある。中国国営中央テレビがフォーラムを「出発点」と表現するなど、中国側はこれを機に、国民党との連携を強める構えだ。

 国台弁の報道官はフォーラム開催を発表した1月28日の会見で「平和や発展、交流を求めるのは(台湾)島内の主流な民意だ」と発言した。頼氏の支持率が低迷していた状況を生かそうという狙いが透ける。

 さらに、トランプ米大統領が通商交渉に配慮して強い対中批判を避けていることや、欧州やカナダの首脳が米国への不信を募らせて相次いで訪中していることも、中国が頼氏を牽制する上で追い風になっている。

 中国側が強調するのは、この10年間で大きな差のついた経済面の協力の台湾へのメリットだ。ただ、中国側の主張には政治的な思惑が絡む。

 国台弁の報道官は同日の会見で、中国の高速鉄道の運行距離が5万キロを超えたことが台湾で話題になっていると問われ、「平和的統一は台湾の経済社会に巨大な機会をもたらす。台湾同胞は中国式現代化の発展の成果を共有し、繁栄と安定の明るい未来を迎えるだろう」とも答えた。

過度な接近に懸念も

 一方、国民党主席の鄭氏は中国が台湾への軍事面や経済面での圧力を強める中、親中的な姿勢を打ち出し、昨秋に選出された。

 国民党が蕭氏の訪中を公表した1月28日、鄭氏は党の会議で「大陸(中国)はわれわれの肉親だ。骨肉の争いはできない」と語った。国民党側からフォーラム再開を「始動させた」と語り、「平和の創造者」としての党の立場を強調した。

 鄭氏が選出された背景には、中国に融和的な党員の支持があったとみられ、国共の交流は支持層へのアピールとなる。鄭氏は習氏との会談にも意欲を示している。

 ただ、中国への警戒感が高まる中で、共産党への過度な接近は今後の選挙で不利に働くという懸念は国民党内にもある。フォーラムで政治的な議題を扱わないことを党幹部は強調してきた。

 与党・民進党は国民党の動きを批判する。政権が提出した1兆2500億台湾ドル(約6兆2千億円)の防衛特別予算は、国民党など野党勢力の反対で立法院(国会に相当)の手続きがまったく進んでいない。頼氏は3日の記者会見で「中国の脅威に直面している状況で、予算も審議せず、国共(両党)の協力だけを進めることは危険だ」と訴えた。

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この記事を書いた人
小早川遥平
中国総局
専門・関心分野
中国社会、平和、人権
高田正幸
台北支局長兼香港支局長
専門・関心分野
台湾、香港、中国、反社会的勢力