安倍政権考

街頭演説とヤジ メディアは首相演説をどう報じたか 選挙妨害も容認?

これらの記事では、あたかも街頭演説でヤジを飛ばすことは「当然の権利」かのように扱われている。だが、公職選挙法225条1項2号は演説の妨害を「選挙の自由妨害」と刑事罰の対象としている。個人のヤジが該当する可能性は低いだろうが、集団で演説が聞き取れないほどの妨害行為を行った場合は同法が適用される可能性がある。

首相の演説中のヤジを容認するかのような報道は新聞のみならず、テレビ番組でも散見された。

「これね、安倍さんがヤジに弱いんだと思いますよ。安倍総理が」。10月9日に放送されたテレビ朝日系情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」で、テレ朝の社員コメンテーター、玉川徹氏は公示日前の首相の遊説日程が公表されなかったことをこう皮肉った。

番組出演者から首相にヤジをすることが「正しいか」と問われた玉川氏は「選挙妨害ではないんじゃないですか?」と答えた。

このような選挙妨害を促すような報道を続けるメディアへの抗議として、神奈川県の著述業の50代男性らは「おい、テレ朝 偏向報道は犯罪なんだよ!」といった言葉を並べたプラカードを作り、首相の街頭演説先に出かけて聴衆の中で掲げた。

当初は飲み仲間の数人で始めたが、参加する人が増え出し、最終日の演説時は約50人になったという。男性は「ヤジなどの選挙妨害は犯罪なのに、それを正当化するメディアが許せなかった」と振り返った。

いつからか、首相の選挙期間中の演説はヤジを飛ばしてもよい場所のように扱われてきた。選挙妨害を肯定するような報道が影響しているのだろうが、一部メディアの報道姿勢に疑問を呈する人も出てきている。今後も同じような報道がされるのであれば、メディアは聴衆から偏向を指摘され続けるのではないか。

(政治部 今仲信博)

選挙の自由妨害罪

選挙運動のルールを定めた公職選挙法の225条に規定されている。同条1項2号で「交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀棄(きき)し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害したとき」としている。違反行為をした場合は、4年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金を定めている。

会員限定記事

会員サービス詳細