ノルウェー現地では何が問題視されているのか エプスタイン文書と王太子妃
公開されたエプスタイン文書で、ノルウェー語で「王太子妃」と検索するだけでも、900件以上のデータが検出される。王妃となることが確実視されていたメッテ=マリット王太子妃が、性犯罪者と交流していた。
交流があったことはノルウェーで数年前に判明しており、王太子妃は弁明していた。
だが、今回新たに公開された文書では、メールの内容が露わとなっており、ノルウェーの王太子妃と王室は、ノルウェーのメディアや国民に意図的に正直に語っていなかったことが明らかとなった。
ここで、現時点で問題となっていることをいくつかまとめる。
性犯罪で有罪判決を受けた人物と、王太子妃が親密なやり取りを続けていた
ジェフリー・エプスタイン氏とのメール内容は「相手を誘惑しているかのようで」「親密だ」とノルウェー現地で言われている。
- 2008年 エプスタイン、少女への性犯罪で有罪判決。
- 2011年 ビル・ゲイツの顧問ボリス・ニコリッチの紹介で、王太子妃とエプスタインが接触。メールのやり取りが始まり、王太子妃はエプスタインを検索して「よくない印象だった」と書く。
- 2012年 パリや女性についての私的なメールのやり取りが続き、オスロで会う予定も示される。
- 2013年 王太子妃がホーコン王太子を紹介したいと伝え、フロリダのエプスタイン宅に4日間滞在。以後も面会や朝食の予定が記録される。
- 2019年 エプスタイン再逮捕後、拘置所内で死亡。
- 2019年 王太子妃、接触を認め謝罪。
- 現在 両者のメール内容が文書公開で明らかになり、王太子妃は再度謝罪。
息子マリウスにヌード写真を送ることについて相談
2012年、王太子妃は「15歳の息子に裸の女性の写真を勧めるのは“不適切”か」とエプスタイン(性犯罪者)に尋ねた。
「15歳の息子に、サーフボードを持った裸の女性2人の写真をウォールペーパーとして提案するのは、母親として不適切でしょうか?」とメールには書かれている。
「彼らに決めさせて、母親は関わらないほうがいい」とエプスタインは答えた。
「この家では、決めるのはママです」と王太子妃は書いている。
王太子妃には2人の息子がいる。このやり取りの時点で15歳とされるのは、現在、性的暴行も含めて38件の罪で起訴され、裁判が進行中のマリウス・ボルグ・ホイビー氏である。
「背景を十分に調べていなかった」という過去の釈明と、「自分で検索して“よくない”と書いていた」事実の食い違い
「もし彼の犯罪行為の深刻さを知っていたなら、私は決してエプスタインと関わることはありませんでした。私は彼の過去をもっと詳しく調べるべきでした。そうしなかったことを後悔しています」
2019年に王太子妃がノルウェーメディアに放った言葉だ。
この2019年の王太子妃の言葉は「偽りだった」「嘘だった」と、ノルウェー現地では解釈されている。
なぜなら、新たに公開されたエプスタイン文書で、エプスタインのことを「グーグル検索した」と王太子妃が自らメールしているからだ。
しかも「あまりよくなかった」という英語の後に「: )」がある。
これはノルウェー語のメールのやり取りでも頻繁に使用される「笑顔」を意味するスマイルマークだ。
この笑顔の記号が含まれていることは、事態の深刻性を理解していない、王太子妃の低い判断能力を示しているとして、他国メディアでも注目されている。
王太子妃がグーグル検索した当時はすでにエプスタインの性犯罪が知られている。その情報が目に入らなかったなんて、ありえないだろうと、「少女たちへの性犯罪歴を知っていても、そのまま交流を続けた」ことが衝撃を与えている。
信頼ベースとされる北欧社会で、王太子妃が真実を正直に語っていなかったことが、なにより現地では否定的に受け止められている。
王太子妃の高位後援を解消する団体も
王室メンバーは公務の一環として、いくつもの団体を高位後援している。
メール文書が公開された直後、Sex og samfunn(セックスと社会)団体は、王太子妃との高位後援の解消を発表。この団体が授与する「性にまつわる偏見や恥の意識を取り除くことに貢献してきた」人に贈る「恥知らず賞」を王太子妃は高位後援していた。
まだすべての事実はわからないが、それでも「同賞の価値観と相容れない」と団体が声明を発表。
ほかにも、協力継続を再検討している団体が複数あることが報じられている。特に、性や子どもと関わりのある団体ほど、「王太子妃との関係をどうするのか」をノルウェーメディアに問われている。
ノルウェー首相が王太子妃を批判
「王太子妃が『判断が甘かった』と述べたが、それに私も同意する」
これはストーレ首相のコメントだ。ノルウェーの首相が王室メンバー、しかも未来の王妃となる人物にこのような言葉を向けるのは、極めて異例である。
王室は組織として機能しているのか
今回の文書公開をきっかけに、ノルウェーのメディアや国民の関心は、王室という組織そのものに向けられている。
情報共有ができていないのか?
ホーコン王太子は、王太子妃とエプスタインとの接触について、いつから、どこまで把握していたのか。
王室チームや将来の国王である王太子が、こうしたリスクを伴う交友関係を知らなかったのか。
それとも知っていたが、問題視されることはなかったのか。
リスク管理が徹底されていない?
王太子妃には常に警備や補佐官が付き、公私を問わず一定の管理体制のもとに置かれているはずだ。
性犯罪で有罪判決を受けた人物との接触を、王室スタッフの間で把握していなかったのか。
あるいは把握していながら、止めることができずに、自由にさせていたのか。
王室は個人の判断にどこまで委ねているのか。
説明責任をなぜ果たそうとしないのか?
2019年当時、王太子妃は接触を認め、謝罪している。しかし今回の文書公開によって、その説明が不十分であることは明白で、北欧が大切にする「公開性」「透明性」「信頼構築」の価値観とはかけ離れている。
事実がいずれ明るみに出る可能性がある中で、なぜ王室として、より正確で踏み込んだ説明を行わなかったのか。
国の情報が漏れていたのではないか?
エプスタイン文書では、王太子妃がエプスタイン邸宅を訪問する際、自身の電話番号を伝えていたことも確認されている。通信がハッキングされていた可能性を指摘する声もあり、王室や国家に関わる情報管理の観点にも及んでいる。
未来の王妃となる人物が、これほど性犯罪者と接触していた事実。
その過程で、王室は何を把握し、どのような判断をしていたのか。
王室は組織として機能しているのか。
マリウス・ボルグ・ホイビー被告の裁判が進行中ということもあり、王室は記者会見をしていない。
沈黙期間が長いほど、国民との間で築き上げられてきた信頼は下がる一方だ。
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