小林竜司死刑囚(41)が自殺。アンタッチャブルな拘置所の状況と、執行を待ち続ける「精神的拷問」とは?
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その一方で、その内省や苦悩を言語化し、他者と共有する機会はきわめて限定されている。面会や交流が厳しく制限された環境では、思考は内向化し、反芻され、不安や絶望感が強まりやすい。 小林死刑囚の死因や、死亡に至るまでの精神状態の詳細は、現時点では明らかになっていないし、今後も明らかになることはないだろう。 しかし、彼の場合も、死刑確定後の長期的拘禁がもたらす心理的影響を考えれば、拘禁反応、不安、後悔、孤立、絶望といった要因が重なっていた可能性は否定できない。
これは個人の問題というよりむしろ、制度が人に与える影響として捉えるべき事象である。 ■国際的視点から見た日本の死刑 刑確定後に長期間、不確実な状態で拘禁されることについては、国際的に深刻な人権問題として繰り返し指摘されている。 国際人権B規約(自由権規約)や被拘禁者処遇最低基準規則(マンデラ・ルール)、さらには国連人権委員会や国連特別報告者の報告などでは、長期間にわたり執行を予告されないまま拘禁される状況が、非人道的または品位を傷つける取り扱いに該当しうると繰り返し指摘されている。
欧州では、死刑制度を廃止している国が大半であるが、過去には「死刑囚が長年にわたり執行の不安にさらされること自体が精神的拷問に近い」という議論が展開されてきた。 欧州人権裁判所の判例でも、拘禁の態様や期間が被拘禁者に過度な精神的苦痛を与える場合、それが拷問または非人道的・品位を傷つける取り扱いに該当しうるとの判断が示されてきた。 これは、死刑の是非とは別次元で、国家の拘禁権限が人の尊厳を侵害していないかを問う重要な視点である。
拘禁の長期化とともに、日本では死刑囚の高齢化も進んでいる。長期間執行されないまま年を重ね、70代、80代となる死刑囚も存在する。 そうなると、医療費がかさみ、拘禁にかかるコストも重大である。医療費は全額税金で賄われ、死刑囚1人当たり1年で数百万円もの税金が投入されている。さらに、認知症が進行している高齢死刑囚も少なくない。 加齢に伴う身体疾患や認知機能の低下、精神疾患の併発が見られるケースでは、「そのような状態にある人に死刑を執行することの意味は何か」という根源的な問いが突きつけられる。
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