欧州

2025.05.15 08:00

英国「オンライン安全法」をウィキペディアが提訴、「編集者を危険にさらす」と反発

Robert Way / Shutterstock.com

また、今回の法的異議申し立てでは、ウィキメディア財団はWikipediaがほかのカテゴリー1のサイトとは根本的に異なると主張している。ソーシャルメディアサイトと比べユーザーのリスクが低く、広告掲載、個人データの販売、営利目的の運営は行っていない。ブラッドリー=シュミーグは、「ほぼ完全に寄付によって資金を賄っている非営利団体にとって、厳格な報告およびコンプライアンス義務はリソース上大きな課題となる」と述べている。

「これら義務を果たせないと罰金を科されたり、さらにブロックされたりするリスクがあるため、英国のユーザーはウィキメディアプロジェクトでコンテンツを作成したりアクセスしたりできなくなる」。

ウィキメディア財団は、これら事態を避けるためにカテゴリー1への指定にあたっての基準の明確化を求めている。そのひとつには「コンテンツ推薦システム」の定義の見直しが含まれている。現行の定義では、「コンテンツに影響を与えるアルゴリズムがサイト内に存在するだけで、カテゴリー1に指定される可能性がある」と同財団は述べている。コンテンツの充実を目的とした機能、例えば誤りを早期に発見しやすくするために新規記事を一覧表示する機能や、翻訳が必要な記事をボランティアに提示する機能が「コンテンツ推薦システム」に該当すると解釈される可能性があるという。

インターネットの規制当局、英国情報通信庁(Ofcom)による最初のカテゴリー指定判断は、今夏にも行われる見通しとされているが、ウィキメディア財団はこの審理の迅速化も求めている。

「オンライン安全法本来の趣旨が、『インターネットをより安全なものにする』ことと考えると、我々が今、ウィキペディアのボランティア編集者のプライバシーと安全を守るために戦わざるをえないというのは、極めて残念なことだ」とブラッドリー=シュミーグは述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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2024.05.11 16:00

英当局がSNSの監視を強化、「子供へのレコメンド」も規制対象に

Shutterstock.com

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英国の通信・放送分野の規制機関のOfcomは米国時間5月8日、ソーシャルメディア企業に対し、有害コンテンツを子どもに推奨するアルゴリズムを止め、以前よりも強固な年齢チェックを導入しなければならないと警告した。

Ofcomは、オンライン安全法に基づき、子どもたちを保護するための40以上の対策案を発表した。

これらの対策案には、子どもがサイトやアプリそのものにアクセスできなくする可能性も盛り込まれており、ユーザーにパーソナライズされたレコメンドを提供するアルゴリズムを用いたシステムについても、新たなルールが設けられる。レコメンドを使用するサービスは、子どもたちのフィードから最も有害なコンテンツをフィルタリングし、その他の有害なコンテンツを目につきにくくする必要がある。

ソーシャルメディア企業はまた、コンテンツの監視の仕組みを改善しなければならない。その詳細は、明らかにされていないが、子どもにとって有害なコンテンツに対しては、迅速な対応が求められる。大手検索サービスは、ユーザーが子どもだと思われる場合に、「オフにできないセーフサーチ設定」を導入し、最も有害なコンテンツをフィルタリングしなければならない。

「プラットフォームは、若者が実社会で経験するような年齢チェックを導入し、オンライン上で有害なコンテンツを提供するアルゴリズムに対処しなければならない」と、英国の科学・イノベーション・技術大臣のミシェル・ドネランは述べた。

この規制は、以前からソーシャルメディア企業への規制強化を求めていた全英児童虐待防止協会(NSPCC)からも歓迎されている。同協会のピーター・ワンレスCEOは、「オンライン安全法と効果的な規制の両方が、子どもたちが安全にオンラインの世界にアクセスし、探索できるようにするための取り組みで極めて重要な役割を担っている」と述べている。

しかし、過去にオンラインでのトラブルが原因で死亡した2人の子どもの両親たちは、協議の欠如と変化のペースの遅さに、自分たちが「軽んじられている」と感じたとスカイニュースに語った。一方、デジタル権利運動家も満足しておらず、表現の自由を推進する団体のオープン・ライツ・グループは、この提案は言論の自由とセキュリティの両方を脅かすと警告している。

同団体のエグゼクティブ・ディレクターのジム・キロックは、「大人たちは、コンテンツにアクセスしないことで、彼ら自身の表現の自由を制限するか、データ漏洩やフィッシングサイトから生じるセキュリティリスクの増大に身をさらすか、という選択を迫られることになる」と述べている。

「また、海外のプロバイダーのなかには、このような厳しい措置に従うくらいなら、英国からのアクセスを全て遮断するところもあるだろう」と彼は続けた。

キロックはさらに、「セクシュアリティや性自認、ドラッグなどのデリケートなトピックに関連する教育的な素材も拒否される可能性も懸念している」と付け加えた。

Ofcomによれば、この対策案に関する協議は7月17日まで実施され、最終的な声明と文書は来年春に発表される予定という。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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2023.09.23 09:30

英国の「子供をネットから守る法律」が非難される理由

英国のミシェル・ドネラン技術長官(Photo by Dan Kitwood/Getty Images)

英国のミシェル・ドネラン技術長官(Photo by Dan Kitwood/Getty Images)

英国議会は9月19日、インターネット上の有害コンテンツを取り締まるオンライン安全法案(Online Safety Bill)を下院で可決させた。この法案は、児童の性的虐待コンテンツ(CSAM)などの有害コンテンツを規制するために提案され、約2年間をかけ審議が進められてきたものだ。

英国情報通信庁(Ofcom)によって施行されるこの法案は、違法なコンテンツを削除し、未成年の子どもが有害なものを目にするのを防ぐことを求めている。

「私たちの常識的なアプローチは、オフラインで違法なものはオンラインでも違法であることを明確にするものだ」とミシェル・ドネラン技術長官は述べている。

この法案は、違反した企業に最大で全世界の年間売上高の10%の制裁金を科す可能性がある厳しい内容で、さまざまな企業から反発を受けている。特に議論を呼んでいるのが、利用者のプライベートなメッセージに有害コンテンツが含まれていないかどうかの監視を、アプリの運営元に義務付け、違反した場合は巨額の罰金を科すという点だ。

英国の消費者団体Which?や、児童虐待防止協会(NSPCC)などは、この法案を歓迎しているが、WhatsApp(ワッツアップ)やSignal(シグナル)などの暗号化チャットアプリの運営元は4月にこの法案を早急に見直すよう求める書簡を発表していた。彼らが特に問題視しているのは、この法案がエンド・ツー・エンドの暗号化を破り、人々の個人的なメッセージを無差別に監視する道を開くことになるという点だ。

「英国政府は、個人的なメッセージすべてを安全にスキャンすることは不可能だと認めたが、将来的にテック企業にそれを強制する権限をOfcomに与えた」と、プライバシーと表現の自由を擁護する団体のオープン・ライツ・グループ(ORG)のキャンペーン・マネージャーのジェームズ・ベイカーは述べている。

「この法案は、ジャーナリストや内部告発者、DV被害者らに害を及ぼす可能性がある」と彼は主張している。

一方、電子フロンティア財団は「規制当局が、暗号化されたサービスに危険なバックドアを作ることを要求する権利を主張するなら、我々は暗号化されたメッセージングサービスが英国から撤退することを期待する」と述べている。

WhatsAppの責任者のウィル・キャスカートは7日のX(旧ツイッター)の投稿で「WhatsAppは決して暗号化を解除しないし、そのような脅威に対して警戒を怠らない」と主張していた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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2024.04.27 13:00

2023年、ネットの「児童ポルノ」が過去最多に 英監視団体が報告

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英国のオンライン監視団体インターネット・ウォッチ・ファンデーション(IWF)は米国時間4月23日、昨年はネット上での児童の性的虐待が、記録された範囲で「最も激化した年」だったと警告した。同団体は、性犯罪者が児童に強要して作成した露骨なコンテンツが急増中であることを指摘し、ハイテク企業やプラットフォームに迅速な対応を求めている。

ネット上の児童の性的虐待コンテンツの特定と削除を支援するIWFによると、2023年に発見されたこの種のコンテンツを掲載したり告知したりするウェブページの数は、過去最高の約27万5600件に達したという。

同団体が発見したこれらのサイトのほぼすべて(92%)には、「被害者がウェブカメラ越しに性的行為を行うよう強要されたり、脅迫されたりして作成されたコンテンツ」が含まれていたという。

IWFによれば、このデータは、世界の50以上の報告サイトから寄せられた約40万件の報告を分析した結果得られたもので、前年から8%増加していた。また、これらのウェブサイトの約33%は、オランダでホストされており、約15%が米国でホストされていたという。

IWFのアナリストによれば、3歳から6歳の児童の自作の性的コンテンツが約2400件発見され、その大半は女児だった。このことは、性犯罪者が家庭内のデバイスを使用して幼い児童をターゲットにするケースが増えていることを示しているという。

IWFは、ハイテク企業やプラットフォームが、英国のオンライン安全法のような厳しい規制が発効するのを待つのではなく、より強力なセーフガードを実施するために「直ちに行動を起こすべきだ」と述べている。

一方、生成AIは、子どもたちへのより大きな脅威になりつつあるとIWFは警告している。2023年に同団体は、人工知能(AI)で生成した児童の性的虐待の画像を含む51のウェブページを発見したが、そのうちの42のページの画像は、本物と見分けがつかないほど精巧なものだったとしている。AIを用いたコンテンツは、現状ではまだ少ないが、今後は急増することが予想されると同団体は述べている。

IWFはまた、児童から送られた写真を「ヌード化」するためのツールを使用することを性犯罪者に奨励するマニュアルをダークウェブ上で発見したと述べている。「このことは、性犯罪者らがAI技術をこのような目的のために使用することを互いに助言し、奨励していることを示す初めての証拠だ」とIWFは述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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