新作かなわず 惜しむ声 広島出身映画監督 長谷川和彦さん
26年2月3日
傑作「青春の殺人者」「太陽を盗んだ男」を30代にして世に送った映画監督、長谷川和彦さんが1月31日、80歳で亡くなった。原爆を題材に3作目となる新作を撮る構想もあっただけに、訃報に触れたゆかりの人々からは惜しむ声が相次いだ。
「いつも広島愛丸出しだった」と懐かしむのは、2023年6月に広島フィルム・コミッション職員として長谷川監督のロケハン(新作のための下見)に同行した西﨑智子さん(59)。「広島への思いの強さを感じた」
ロケハンでは母校の皆実小、翠町中を経て広島大付属高(いずれも広島市南区)へ。長谷川監督は講堂で「生徒会長だったから、ここで何度も話した」と得意そうに演台に立った。「自伝的なストーリーにされるのかなと思ったが、今思えば人生の振り返りのためだったのかも」と西﨑さん。翌年、長い台本が届いた。
中国放送アナウンサーで映画監督の横山雄二さん(58)は「とても繊細な人だった。信用した相手には自分を見せ、こちらの情熱も見ている。俺と心中できるか、と覚悟を試すようなところがあった」と振り返る。
忘れられないのは長谷川監督が口にする「怖いんだよ」という言葉だ。「自分の作品に対する評価や期待が高く、どんどん神聖化されていく自分に苦しんでいたのではないか」と推し量る。
広島国際映画祭で長年司会を務めるパーソナリティーのキムラミチタさん(51)は14年、長谷川監督の新作のアイデアを出し合うプロジェクトの進行役を任された。「まるで存在自体が映画のよう。一緒にいた時間は映画の中にいるような気持ちがした」。自身も新作を待ち続けていたファンの一人。「本人が一番見たいと思っていたはず。残念で仕方がない」(渡辺敬子)
(2026年2月3日朝刊掲載)
評伝 胎内被爆 広島への熱量に
「いつも広島愛丸出しだった」と懐かしむのは、2023年6月に広島フィルム・コミッション職員として長谷川監督のロケハン(新作のための下見)に同行した西﨑智子さん(59)。「広島への思いの強さを感じた」
ロケハンでは母校の皆実小、翠町中を経て広島大付属高(いずれも広島市南区)へ。長谷川監督は講堂で「生徒会長だったから、ここで何度も話した」と得意そうに演台に立った。「自伝的なストーリーにされるのかなと思ったが、今思えば人生の振り返りのためだったのかも」と西﨑さん。翌年、長い台本が届いた。
中国放送アナウンサーで映画監督の横山雄二さん(58)は「とても繊細な人だった。信用した相手には自分を見せ、こちらの情熱も見ている。俺と心中できるか、と覚悟を試すようなところがあった」と振り返る。
忘れられないのは長谷川監督が口にする「怖いんだよ」という言葉だ。「自分の作品に対する評価や期待が高く、どんどん神聖化されていく自分に苦しんでいたのではないか」と推し量る。
広島国際映画祭で長年司会を務めるパーソナリティーのキムラミチタさん(51)は14年、長谷川監督の新作のアイデアを出し合うプロジェクトの進行役を任された。「まるで存在自体が映画のよう。一緒にいた時間は映画の中にいるような気持ちがした」。自身も新作を待ち続けていたファンの一人。「本人が一番見たいと思っていたはず。残念で仕方がない」(渡辺敬子)
(2026年2月3日朝刊掲載)
評伝 胎内被爆 広島への熱量に