中道、大幅減の情勢に「パニック」 支持者らに葛藤 反転攻勢へ躍起

大久保貴裕 国吉美香

 2月8日投開票の衆院選(定数465)で、中道改革連合が公示前勢力(167)から半減する可能性があるとの報道を受け、中道に衝撃が広がっている。党名の浸透、重点区へのテコ入れ、組織票固めなどで反転攻勢をかけるが、結果次第では党の存続が危ぶまれる事態になりかねず、危機感が募る。

 朝日新聞の情勢調査では、自民党、日本維新の会の与党は300議席超をうかがい、中道は議席半減の可能性もある。中道の複数の幹部も、激戦となっている。中道の若手は焦りを募らせる。「新党をつくらない方がましだったのでは。パニックだ」

 保守色の強い高市政権への対抗軸を打ち立てようと立憲民主、公明両党の衆院議員で結成した中道。与野党に分かれて対立してきた過去を乗り越えられるかが課題だ。

 立憲出身の野田佳彦共同代表は2日、広島3区の街頭で声を張り上げた。「昨日の敵が今日の友にならないと、中道のうねりをつくれない。その象徴が、広島3区だ」。公明代表だった中道の斉藤鉄夫共同代表は2024年衆院選まで同区で議席を維持し、自公連立政権の中核として立憲候補とぶつかり合った。野田氏は演説後、記者団に「(斉藤氏の)応援団のみなさんには葛藤があると思う」と語り、一枚岩になりきれていない現状を認めた。

 選挙戦が終盤にさしかかり、無党派層に中道の存在を浸透させると同時に、基礎票固めに力を注ぐ。関係者によると100以上の「重点区」を設定。公明の支持母体・創価学会と、立憲の支援団体・連合のフル稼働による組織票で追い上げを図る方針だ。特に各小選挙区に1万~2万票あるとされる公明票を固められれば接戦を制することも可能だと期待する。

「気持ちがついてきていない」

 苦戦の理由は他にもあるとの見方が出ている。

 立憲出身の中道幹部は、支持者から「公明や創価学会と組むなら応援できない。ポスターも貼れない」と冷ややかに言われた。この幹部は、穏健保守の取り込みも視野に「リベラル」から「中道」へシフトしたことに「支持者の気持ちがついてきていない」とし、「情勢調査での無残な数字は、立憲支持層が離れていることも一因だろう」と分析する。

 中道は、公明出身者を比例名簿の上位に登載する代わりに、立憲出身者が小選挙区で公明側の支援を受ける戦略をとる。小選挙区での敗北が重なった場合、中道の議員構成は公明出身者の比率が高まり、「立憲色」が薄まる可能性がある。

 野田氏は公示前勢力から議席を減らせば進退を判断する考えを示すが、選挙結果しだいでは、執行部の責任問題にとどまらない。ある幹部は「大敗すれば中道のかたまりが消えてしまう」と危機感を抱く。

 昨夏の参院選で政権批判票の受け皿として伸長した国民民主党と参政党も、支持拡大に躍起となる。

 参政の神谷宗幣代表は3日、仙台市で記者団に「党員らの熱量は高いが、無党派層に伝わっていない」とし、反グローバリズムを訴えて支持を呼びかける考えを示した。

 参政は、保守色の強い高市政権とは政策ごとに協力する姿勢を示していた。しかし、神谷氏はこの日、「自民がしっかり議席を取るなら、我々はいらない。自民党の政策のダメな部分をたたいていく」と述べた。

 国民民主の玉木雄一郎代表は2日、仙台市での街頭演説で「年収の壁」引き上げなどの実績をアピールし、「正しい目的地に最短ルートで到着するように、きちんと指し示すナビになりたい」と訴えた。ただ、国民民主の幹部は「自民への批判票が我々に来ていたが、今回の衆院選では自民に戻っている感じがする」と懸念する。

中道改革連合の現状

【反転攻勢に向けて……】

・党名浸透

・連合、創価学会の組織票固め

・重点区へのテコ入れ

・党幹部の地元張り付き

【大敗すれば……】

・共同代表を含む執行部の退陣

・立憲民主、公明両党の参院議員や地方議員の中道への合流の機運低下

・比例名簿上位の公明出身者の当選により、中道内の公明出身者の比率増

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この記事を書いた人
国吉美香
政治部
専門・関心分野
国内政治、沖縄など
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    秦正樹
    (大阪経済大学准教授=政治心理学)
    2026年2月4日10時32分 投稿
    【視点】

    それにしても,朝日情勢調査(FNNも同様の数字でしたが)の影響は大きいなと感じます.中道改革連合を結党する際に想定された「最も恐れていた事態」が起きているということのように見えます.朝日情勢で中道が70議席代という数字を報じたことで,もしかしたら終盤情勢はやや変わってくるかもしれません. (野田氏が昨年の代表選の際に「中道保守をめざす」といったときからずっと同じコメントをしていますが)立憲が中道に寄れば両方から支持が得られるという理論上の計算はあるにせよ,実態は自民・国民・維新・参政という人気者と直接対峙しなければなりません.しかし,立憲はリベラル層を独占してきたわけです.つまり.良い時も悪いときも数十年付き合ってくれた「常連さん」を置き去りにして,レッドオーシャンの「御新規様」を狙いに行けば(しかも党のブランド力が弱いのに)こういう状況になることは予測できたはずです.端的に,政治的な意味でのマーケティングが下手すぎるのではと感じます. 記事にもあるように,また私が仄聞したところによれば,(元々の予定に加えて情勢が厳しいことも踏まえて)この月曜から創価学会は本格的に「テコ入れ」をしているようです.108の選挙区を重点選挙区としてフル動員していくとのことですし,連合サイドもさらなる引き締めを図り,組織票をさらに固めていくことでしょう. 朝日新聞の記事にもあったように各種データを見ると,公明支持者の半数近くは,小選挙区で中道(旧立憲候補者)に入れるべきかどうか未だ悩んでいるようです.また,立憲支持者の中でも,特に創価学会への忌避感から投票先を悩んでいる人もいると思われます.こうした層が最終的にどういう決断をするのかで,選挙結果を変えうる票が動きます.その意味でいえば,公明支持者を(せめて自公連立時代の7割程度まで)動員し,それに組合票を乗れば,接戦区での逆転の可能性は十分にありえるでしょう.ですから,野田代表がそれに期待する気持ちはよくわかります(やや他人任せな感はありますが…). 今の情勢では,上澄みはあっても,さすがに現有議席を維持することはほぼ不可能そうです.そうすると,野田共同代表の以前の発言通り,辞任を主とする責任問題に発展するでしょう.そのとき,新たな代表が立憲側になるのか,それとも割合的に大きな影響を持つ公明側になるのか,これもまた見ものです

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