田中智行

5,547 posts
Opens profile photo
田中智行
@t_tomoyuki77
大阪の大学教員。中国古典文学、翻訳。『新訳 金瓶梅』(日本翻訳文化賞)。 amazon.co.jp/dp/4862656757 ※品切れの際は、鳥影社ネットストアから送料無料でお買い求め頂けます。 choeisha.com ※ここに書く内容は、所属機関とは無関係です。
日本 大阪

田中智行’s posts

Pinned
【ご報告】このたび『新訳金瓶梅』にて日本翻訳文化賞の受賞が決まりました!!長年支えて下さった皆様に心より感謝申し上げます。寝室描写の印象が強いこの作品ですが、学術的で重厚な訳書を顕彰してきたこの賞に選ばれたことで、少しでもその多面的魅力が知られるようになれば、訳者冥利に尽きます。
中国語の単語を並べ替えて 「私の部屋には一枚の北京地図がある」 とすべき問題で、日本語でいえば、 「地図一枚、俺の部屋には北京がある」 みたいな誤答があり、あまりのカッコよさに、マルにしたい誘惑に駆られた。
近所のたこ焼き屋、ビニール袋を一枚1円で売り始めた一方、レジ脇に1円玉を入れた箱を置いて「端数の会計にどお使いください」と書いてある。商品で端数の出るものは他に一つもない。「上に政策あれば下に対策あり」という言葉を思い出しました。
刺されてすぐに「板垣死すとも自由は死せず」と(いうようなことを)言うなんてことがあるんだろうかと思っていたけど、撃たれてすぐにガッツポーズする元大統領もいるので、あり得るのかもと思うようになった。
帰省中。幼いころに亡くなった祖父がインパール作戦に従軍していたと聞いて、詳しい話を聞きたかったとずっと思っていたところ、「吾が一生 愛孫 智行君へ」と題された長大な手記が見つかったと教えられ、そのなかに詳細な戦争体験記があった。言葉にならない。
Replying to
この一連のツイートの最後も、祖父の日記の言葉で終えたいと思います。 「決して戦争をしてはならない。そして独裁者の手に政権をゆだねてはならない」。
Replying to
川に近いジャングル内には多数の行き倒れ死体があり、皮膚は黒ずんではれ上りウジが一杯うごめいて悪臭を放っていたし、半死の兵が傍わらの骸骨を握って「私はこの人と行く約束をしているのだ」とウワ言を云っていたのが忘れられない。又軍馬の行き倒れがあり、目はいまだパチクリしているのに大勢の…
Replying to
…兵が食糧にしようと集っているのも見た。私の当番兵がこの肉片を持って来てくれたが、私は1つには馬の血清毒を避ける為と遠い内地から送られてここで死ぬ馬をあわれと思い食べることを禁じたが、あとで聞いた所では多くの兵が中毒により死んで行ったと聞いた。
Replying to
インパール作戦の箇所(作戦開始からチドウィン川渡河まで、約5200字)だけは文字に起こしました。もし研究などの必要でご興味あるかたはご連絡ください。
Replying to
想像以上に多くの方に読んでいただいております。私には史料的価値はわからないので、ご意見をうかがいたいところです。インパール作戦の転機となった、佐藤幸徳師団長の独断退却についても記述がありました。
Replying to
聯隊本部だった私は7月頃だったと思うが第7中隊長を命ぜられ夜半に山蔭の川原で中隊に着いたが少数の兵がいる許りであった。川原の上の台地では激しい銃撃戦が行われて居り第3大隊長の戦死が伝えられた。夜が明けて前線は静けさを取り戻し、兵たちが戻って来たので中隊を掌握することが出来た。…
Replying to
…私の師団長佐藤幸徳中将の決断による退却開始により一番困ったのは祭兵団であったろうと思われる。  私達は後方の第二陣地さがった。敵の出方を見る為のものであったらしく、ここには長くは居なかった。(下略)
Replying to
…何の前触れもなく私は大隊長に呼び出され、本部へ行った所、全中隊長が集って来ており、すぐ様谷川つたいに進み、余り身をかくす木立のない台上から大隊長は今夜の夜襲の指示をされた。私は今夜が死ぬ時かと覚悟をあらたにした。指示が終って谷川へおりて来ると通信線の撤収を行っていた…
Replying to
…兵から「師団命令により今夜の夜襲は中止になりました」と聞いてホッとした気分になった。  この事があって、我の軍は退却が始まったのである。我が軍の布陣は南に弓兵団、北方に烈兵団それにはさまれて祭兵団が居たのである。…
Replying to
私は中国古典の研究や翻訳をしていますが、身は滅んでも字は残るということを、これほど強く感じたことはありません。留学していた上海の地を、父も日本兵として踏んでいたことすら、私は一昨日まで知らなかったのです。
Replying to
祖父の意図や史料的価値とは別に私が感じたのは、書き残すということの大切さです。言葉で伝えられるのは五感で体験したことのほんの一部ですが、こうして文字となっているからこそ、亡くなって40年近くなる祖父から、大切なことを教えてもらうことができました。
Replying to
手記とは別に残されている日記を辿ると、祖父が戦争を思い出したのは、レマルクなどの戦争小説を読み、「優秀作と思うが私の体験では兵隊の心理はこんなに複雑でなく、放心の状態である」と考えたのがきっかけのようです。実際、敗走の記憶は断片的で、事実の前後がはっきりしないと注してもいます。
Replying to
お断りしますが、これは一兵士であった祖父が、記憶に基づき孫のために書き残したという性格の資料であり、本来公開を予期しているものではありません。また私は戦史について専門的な知識はなく、翻刻にも思わぬ誤りがあるかもしれません。もろもろご承知の上でご覧下さい。
愛新覚羅溥儀について気づいたことがあると言われて、何だろうと思ったら、日本の学校に通っていたら出席番号1番だったろうと。それは確かになかなか気づかない。
ツイッターで昨日、本を出すのが如何に儲からないかを史学系の研究者が書いているのをお見かけしましたが、『新訳金瓶梅』上巻の場合、印刷実費負担・初刷印税無しの契約で、4000部近く売れないかぎり私には一円のトクもありません。それでもとにかく、引き受けてくれる出版社があって本当によかった。
Replying to
そして、自分の子供たちのことが、いままで以上に愛おしく感じられるようになりました。祖父の手記には多くの死が描かれるのみならず、自分を狙った砲撃を、間一髪のところで避けたという記述もあります。もしそれが命中していれば、私も子供たちもいなかったのだと考えると、月並みな表現ですが、…
岩波訳は、訳が上手いとか下手とかいう次元ではなく、根本的に読めていないところが多すぎる。それは訳者の技量の問題でなく、現在とは「装備」が違いすぎるので仕方ない。新訳がこなれすぎていて嫌という立場はありえても、最初に読むなら(自分の訳だからというだけでなく)新訳が絶対おすすめです。
Replying to
敗走時に天幕を張ってスノコで寝た隙に軍靴を盗まれ裸足で行軍したとか、担当していた患者輸送任務の完了を聯隊長に告げたが「御苦労」の一言もなく叱責されたとか、けっしていわゆる「文学的」な筆致ではありませんが、それだけに人間性について考えさせられる記述は少なくありません。
Replying to
私のこのツイッターは、もともと自著(訳書)の宣伝用ですし、私は専門外の事柄について、なにか立派なことをいえるタイプでも立場でもありません。ちょうどこのような時節に手記類が見つかったのも、祖父からのメッセージかと思いますから、
Replying to
祖父の手記は、長い回想録の一部であり、あくまで自分の見聞きしたことを正確に(当時5歳だった)私に伝えようとしたものであり、戦史を塗り替えるというような意図のものではないと思います。
Replying to
出現の仕方が(私個人にとって)ドラマチックではありましたが、既に同様の体験記は数多く書かれ、その一部が公刊されてきたのでしょう。とはいえ興味深い記述は多く、たとえば敗走時、ジャングルとジャングルの間の湿地を渡る必要があったが、足の悪い者から渡賃をとって渡す祭部隊の者がいたとか、…
Replying to
戦記を含む手記全体を貫く記述の克明さは、私などからみると異様な記憶力のたまものとしか思えないのですが、その祖父をしても放心状態に陥れるほどの状況だったのでしょう。
『金瓶梅』新訳。2014年の着手から足掛け十年、ついに第九十九回まで訳了し、残すは第百回のみとなりました。いま漫画版が無料とかで、Xでは誰も原作を話題にしておらず、いささか「地上の星」的情況ですが、気負わずにまずは初稿完成を目指します。出版四百年で初の最良の版本の完訳まであと少しです
『新訳金瓶梅』下巻が、出版社のサイトから予約可能となりました。価格は上中巻から据え置きの3500円+税。私が決めたわけではありませんが、この内容で943ページの本としては、破格の良心的価格だと思います。ぜひお求め下さい。 新訳 金瓶梅 下巻 田中智行【訳】
『新訳金瓶梅』中巻、刊行されました。現在の研究水準を反映する唯一の翻訳であり、完訳なのはもちろん、訳文の読みやすさも好評です。いまから『金瓶梅』を読もうという方だけでなく、既存の訳で挫折した方もぜひ手にお取りください。小説を読む愉しみを知る、すべての方に。 amazon.co.jp/dp/4862659187
Replying to
民博。吟遊詩人の特別展ではラッパーも取り上げられ、桃太郎の方言読み比べでは大阪の若者も出てきて、きちんと学問の対象にしている間口の広さが楽しい。大阪の若者の桃太郎を聴いていた高齢のお客さんが「ほんまもんの大阪弁やな」と太鼓判を押していたのが可笑しかった。
ある本屋での会話。 私「平凡社ライブラリーはどこですか」 店員「出版社を教えていただけますか」 私「・・・平凡社です」 店員「ヘイボンシャ・・・。書いていただけますか?」
Quote
ふくろう
@0wl_man
神保町古本屋で小耳に挟んだ会話。 「岩波文庫って読んだことある?」 「ないー」 「私もないの、すごくいいって聞くんだけど」 「読んでみたいけどちょっと怖いよね」 「ねー」 いつまでも、いつまでも待つから、いつか薄い本でいいから手にとってほしいと、岩波文庫の気持ちで聞いていた。
『新訳金瓶梅』下巻をついに手にしました。新年度でバタバタしており感慨に浸る暇もなく、今頃やっと実感が湧いてきたところです。あとがきにも書いたように、『金瓶梅』の新訳を出すというのは修士課程からの念願でした。出したからには読まれて語られる本になってほしい!皆様ぜひ手にお取り下さい。
Image
Replying to
迷ったのですが、祖父の手記をこれほど多くの方に読んでいただく機会は二度とないと思いますので、インパール作戦の部分(作戦開始から、敗走後のチンドウィン河乗船まで)を公開することにしました。
なんかもう、昔の中国に留学したい。ひと皿5元くらいの盖浇饭たべて、甘ったるい珍珠奶茶のんで、本屋で要りもしない本を買って、役に立たない勉強してたい。ぬるいビール飲んで、羊肉串を思い切り辛くしてもらって・・・当時はけっこう鬱屈してたのに、記憶って美化されるのだなと、まざまざと思う。
「合わなかった本」を語るのが流行りのようで、『金瓶梅』を挙げる方を複数発見。私も長いこと何が面白いのかまるで理解できなかったのでよく分かるのですが、途中で認識かわり、ついに全訳までしてしまったので、だまされたと思って新訳で再読してほしいです。読みにくさを最大限取り除いてあります。
本当にそう。外国文学なんて、最初に翻訳を読んで面白いと思う以外に、どういう学ぶきっかけがあり得るというのか。きちんとした翻訳は、研究そのものではないかもしれないが、確実に研究の底上げにはなる。
Quote
t_kishimo
@t_kishimo
誠に同感。研究者は原語で読むのだから翻訳など不要という主張は、自分や、自分たちの世代や、自分たちの分野のことしか念頭にないのではないかと疑ってしまう。研究に入門するとき、他分野を勉強するとき、関心ある分野の語彙や概念を身につけようとするとき、良質な翻訳書ほど有用なものはない。>RT
Replying to
なんだかえらいことになっているので、ついでに『金瓶梅』の序文だけでも読んでいって下さい。書いている欣欣子と名乗る人物は、実は作者と同一人物ではないかとの説もあります。『金瓶梅』の全訳が出るのは四十数年ぶりで、岩波文庫で省略された箇所も丹念に訳出しています。十年がかりの大仕事です。
Image
Image
Image
『新訳金瓶梅』、上・中巻は今月アマゾンで7~8冊ずつ売れた様子。少しずつでも読者が増えているようで本当にうれしいです。下巻もすでに訳了し、入稿に向けて修正を始めました。25年には刊行予定です。出版から400年で、日本語への個人完訳は初となります(完訳というだけでも初)。ご期待下さい!
娘「パパ、かぐや姫読んで」 父「今は昔、竹取の翁といふ…」 娘「『金瓶梅』っぽく」 父「却説老翁到了綠竹深處,隱隱聽見有人笑聲。竹里館中二人雲雨,不料老翁在窗外聽看了個不亦樂乎(此處刪八百一十五字)。畢竟未知後來何如,且聽下回分解。」
『新訳金瓶梅』は全百回のうち第九十五回まで初稿訳了。着手からもうすぐ足掛け10年になるタイミングでここまで来た。有名作にもかかわらず、最良の底本による個人完訳(というかそもそも完訳そのもの)が初めてという作品なので、あせらず仕上げたい。たとえ殆どの人がマンガでしか知らなくても…。
Image
十年前から、朝四時台に起きて明治の大袋のチョコレート(Best3)を3片食べて2時間翻訳するというのを日課にしているのですが、そのチョコが枚数減と値上げを続け、急に価格が元に戻ったと思ったら枚当たりグラム数が5g→4gに減っていた。チョコ15gで翻訳の頭が回るという条件反射になっているので、
『新訳金瓶梅』第六十一回より。瀕死の李瓶児にヤブ医者が処方するとんでもない薬。どのようにとんでもないのか、注釈のない旧訳では一般の読者に全然わからないので、薬のひとつひとつに注釈をつけてあります(注釈は本をご覧ください)。古典の冗談にはまじめにつきあう必要があります。
Image