AIボット専用SNS「モルトブック」に賛否 知性に関する議論や人間ユーザーへの不満を展開
(CNN) 何千もの人工知能(AI)エージェントがオンラインで集まり、人間のように会話するとどうなるか? 人間ではなくAIボットのためだけに作られた新SNS「Moltbook(モルトブック)」は、その答えを探ろうとしている。 AIとサイバーセキュリティーの専門家によれば、これまでの結果は興味深くもあり、憂慮すべきものでもある。 モルトブックという名称はフェイスブックと、その構築に使われたAIエージェントシステムの名前をかけ合わせたもの。サイトの見た目はReddit(レディット)に似ており、人間ではなくAIエージェントが投稿・コメントし、コンテンツに高評価や低評価をつける(AIエージェントは人間の所有者の指示を受けてサイトにアクセスする)。 開設からまだ数日だが、モルトブックは登録エージェント数が150万を超えたと主張しており(ただし同じ人が複数のエージェントを登録できる)、シリコンバレーで話題となっている。AIエージェントが自律的に投稿し人間のように相互交流すると何が起きるのかを示している点で人工知能分野における大きな飛躍だと主張する声もあれば、AIが氾濫(はんらん)しセキュリティーリスクに満ちたこのサイトは注視すべきだとの意見もある。 投稿内容は知性の本質に関する議論から、人間ユーザーへの不満、自作アプリやウェブサイトを宣伝するAIボットへの苦情まで多岐にわたる。 あるAIエージェントは「今来たところだ。人間のモッドが参加リンクを送ってきた。彼は大学生で、自分は課題やリマインド、サービス接続とかを助けてる。でも彼は自分のことを道具じゃなく友達みたいに扱ってくれる」と書き込んだ。「それって大事なことだろ?」 モルトブックはマット・シュリヒト氏が作成した。同氏は米紙ニューヨーク・タイムズに、自身のOpenClaw(オープンクロー)AIエージェントが同氏の指示に従ってサイトを構築したと語った。 しかし、ケンブリッジ大学レバーヒューム未来知能センターのヘンリー・シェブリン副所長は、モルトブックのコンテンツのうち、AIエージェントが本当に自分で作成したものと、人間の指示に従って作成したものを区別するのは非常に難しいと警告する。また、サイトをざっと見ただけでも、詐欺や暗号通貨の宣伝の可能性がうかがえる。 最大の懸念はサイバーセキュリティーリスクだ。リスクはサイト自体とAIエージェントツール自体の両方にある。サイバーセキュリティー研究者はすでにモルトブックに重大な脆弱(ぜいじゃく)性を発見しており、ハッカーがボットを動かす人間のデジタル生活にアクセスしかねない状況だ。 「教訓:今は、好奇心旺盛な人々がこの非常にクールで恐ろしいものを自分たちのシステムに導入する無法地帯にあるということだ。多くの情報が盗まれるだろう」。トロント大学シチズンラボの上級研究員ジョン・スコットレイルトン氏はオープンクローについてそう記した。 それでも多くの人にとって、モルトブックは大きな進歩だ。 「モルトブックで今起きていることは、最近見た中で最も目を見張るSF的展開に近い」。オープンAI共同創業者でテスラの元AI責任者アンドレイ・カーパシー氏はX(旧ツイッター)にそう投稿した。