純粋理性批判③

理性で徹底的に現実を吟味していくところにカントは注目する。理性とは脳の内に具わっている部分である。理性を駆使して性的欲求を抑えることも怒りを抑えることもまた大事な出来事である。カントは理性的判断を重視し、神ではなく理性に帰れ、と主張した。神を信仰する者が多い地方で、神ではなく理性に帰れ、と主張することは非常に勇気がいることであった。神を信仰することより己の理性を信じよ、と定言命法を唱えたのは、カントの理性主義が色濃くみられるところであります。理性主義においては論理的思考を尊重し、人間に先天的に機能・能力が具わっていると信じる立場を尊重する。理性を感性的判断よりも信じるべき指針であるとカントは考え、可感的世界より理性的世界を重視した。

そうした理性に触れる反駁的な機会の一端として、イギリス経験論の「我々の理性は単に経験の蓄積にすぎない」という言葉があります。経験したものしか科学は発展しない。理性的であっても経験しなければ虚無的な精神である。

大陸合理論として、経験して自律しなければ無意味になる。理性だけが絶対であり、それ以外は不確実で、理性という唯一確実なものには当然頼らなければならない。

大陸合理論は演繹法、イギリス経験論は帰納法を重視した。演繹法が推論であるのに対し、帰納法は共通点を見出すことである。例えば、カラスが百羽数えても黒色をしていた、としたら、推論では他のカラスも黒色をしているのだろうか、ということが導出できうる。全部のカラスを数えることは難しいが、だからこそ推論が重視される。演繹法は結論は常にありそうでない。推論という形で語らざるをえない。おそらくカラスはみな黒色をしている。このおそらくという語の使用や黒色をしているのだろうか、という語のだろうか、という語の使用に発展する場合がある。こうした推量形という発想に繋がるケースが加味されたい。

帰納法は共通点という原点的な事項を学ばせてくれる。1+3=4であることから、3+1=の答えも4であると帰納法で見出すことがある。1と3を入れ替えた左の仕様は、+足すものを変化させていない。ただ順序が違うだけで左の式の+足すものは同等である。とにかく何かしら共通点が見出される可能性が帰納法処理という。この共通点を見出すことにそれほど重要であると考えなかったのがカントである。共通点を見出すことはあくまで共通点どまりであると考えたのである。帰納法より演繹法が大事であると考えるのはどうしてか。帰納法という語の意味は、「カントよくない」という内容である。カントはこの意味を見据えていたに違いない。カントは「カントよくない」という意味を有する「帰納法」を忌み嫌って蔑んだのであろう。「演繹法」という語の意味は「カントよくないじゃないカントいい」「カントいいじゃないじゃない」「カント神」という三つ項目がある。カントは三つの意味を見据えて「演繹法」を説いたのだと思われる。アリストテレスの三段論法も演繹法と言われる。

人間はみな死ぬ(大前提)
ソクラテスは人間である(小前提)
故に、ソクラテスは死ぬ(結論)  以上三段論法。

★帰納法の展開
ソクラテスは死ぬ。
アリストテレスは死ぬ。
聖徳太子は死ぬ。

結論。人間はいつか死ぬ。

★演繹法の展開

いい選手が揃ってるチームは強い(大前提)
巨人にはいい選手が揃っている(小前提)
巨人は強い(結論)

こうした演繹法もあるため演繹法も舐められない点がある。カラスの全体が黒色をしているという結論(そうした正確な結論は未だに無いが)は演繹法であると主張するという誤解釈もみられる。カントは一向にカラスの全体が黒いと結論付けるのは演繹法ではないと述べている。演繹法はそうした全体が黒色であるという共通項を見出すわけではなく、こうした共通項は帰納法によって見出されることを留保しておきたいところである。

愛を受けたければ愛を理性で振る舞うことが、あるいは愛を理性で育むことが、愛を受ける一助となることをカントは考えていた。愛を理性で技術的に行使すること、愛することに責任を負うこと、この二つが愛の理念であり、個々人の愛の理念化となることを期待してやみません。

「愛するとは、否応なしに出会った苦しんでる人に、どこまでも、無限に、責任を負うことである」レヴィナスは言いました。レヴィナスの愛の理想的な理念は誰に受け入れられ、誰に語られうるのでしょうか。レヴィナスの、否応なしに、という文は否定的な要素が少しもないということであります。「出会った苦しんでる人に、どこまでも、無限に……」→責任を負うことである、という文は責任者の無限の責任と責任者全員が無限性の責任を負うことの可能性を仄めかす文であります。愛するとは、責任者全員にとって重いものとなる可能性があるということをレヴィナスは示したかったのでしょう。皆さんも愛を大切に。

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