薬をよく飲む先生 前編
後編→ novel/21447853
薬物ダメ、ゼッタイ。
先生が苦しんで、それを見て生徒が苦しむシチュ大好きなんだァ……
ということで先生におくすり飲めたねさせました。
美味いか?罪悪感と生徒の涙に塗れた薬は美味いだろうなぁ?
最近忙しすぎて小説書けておらず…ちまちま書いてたらこんなことになっちゃった…マジでテストとか滅ばないかな…現実にもアロプラがいてくれたらどんなに良かったことか……
クオリティはお察しください。
本当はミカとかおじさんとかリンちゃんとか一人一人書きたいんだけどね…
コメントやハート、フォローは私の生きる糧です。いつもありがとうございます。してくれたらペロロ様がキスしに行きます。
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シャーレの執務室。
カロカロと振りながら、瓶を見つめる先生がいた。
銃撃戦が当たり前のこのキヴォトスにおいて、外から来た人間が生きるのにはスーパーアロナちゃん!の助けや大人のカードがあるとはいえ、命がいくつあっても足りない世界だ。
それを補うためには薬が必要不可欠だった。
クラフトチェンバーで作る時もあればブラックマーケットで仕入れたものもあり、
効果は痛み止めといった物から生徒を助ける為の身体増強剤、常に『先生』である為の精神安定剤はもちろんのこと、身体の細胞の成長スピードを速めるかわりに脳への負担が物凄くかかる重い副作用を持つ物まであった。
副作用。
それはどんどん重なって、どんどん重くなって身体を蝕んでいく。それに加え、薬に身体が適応してるのか今では普通の量の薬では全く聞かず、人の2〜3倍は飲まなければならなかった。
”グッ…ングッ”
誰もが「ヤク中なのか?」と心配になる量の精神安定剤を飲む。これでも減った方だ。副作用は少しの依存性とめまいとあったが、新しくブラックマーケット製の物なので信用出来ない。
”ゴクッ、ゴクッ……ふぅ、毎回飲むのも骨が折れるな…”
瓶の裏の説明文をなぞる。
”副作用…ね……今回は何もないといいけ、ど……”
めまいがするのと同時にはれやかな気分になる。このふわふわとした感覚は…どうやら『はずれ』を引いてしまったらしい。
甘い毒が脳に回って、時期に支配される。
”あ、あ、、あへは、ははははは、はははははははははは!”
”せいとたちがこんなにいっぱい!!!うれしいなあ!!”
”あぁぁははははははは!へへふへふふふふふふふはふふふ”
”はははははは…は……”
”ウッ……プ…”
吐き気が背中を伝う。
次第に効果が切れ、気分が沈んでいく。
……最悪だ…これじゃあヤク中と何ら変わりない。『先生』であろう者がこんなのじゃ、生徒に顔向けできない。
第一、ここはシャーレだ。もしかしたら盗聴されているかもしれないし、生徒が既に来ているかもしれないのにこんな醜態を晒すのはよろしくない。
あの子たちにとって、いつでも頼れる『大人』でありたい。そんな大人の導く手が薬で震えているなんて……笑えない冗談だ。
瓶を拾おうとしたその時、執務室のドアから音がした。
ガチャ…
「先生……」
”ユウカ………”
そこには血相を変えた一人の少女、ユウカが居た。
ユウカは時間があればシャーレに来て家計簿まで付ける、少し変わった、太ももが魅力的な生徒だ。
なにか忘れ物でもしたのだろうか。
”こんな遅い時間にどうしたの…?”
「そんなことはいいんです!!」
”………やっぱり見てたか…ごめんね、こんな姿見せちゃって。失望されたかな?”
心配かけまいと少しおどけてみせる。
「……っと……よって……さい」
”…え?”
「先生はもっと私たちに頼ってください!!!」
「もう先生が倒れただとか薬でボロボロになってる様子だとか、もう嫌なんです!!!私だけじゃない!!ノアもコユキもリオ会長も…キヴォトス中の生徒があなたを心配してるのに!!!!」
目いっぱいに涙をためて彼女は言う。
”……ごめんね…”
「……心が疲れたなら言ってください。身体が痛むのなら言ってください…あなたを支えたい生徒が何人いると思うんですか?」
”…それはユウカも?”
「…そ、そうですよ…/// だからもう無理しないでください。」
静かに彼女は先生を抱きしめる。そこにいるかを確認するように。優しく強く抱きしめた。
”そっか、ありがとう。”
”…でもそれは出来ない約束だ。”
「どうして!!!?」
”……私が『先生』だからだよ”
いつも傍にユウカにはその意味が痛いほど分かる。
生徒のためなら多少の無茶も構わず、文字通り血を飲んででも這いずってでも生徒に寄り添うと決めた先生の決意だった。
「…ぐぅぅぐぐぐ……」
”……ごめんね、でも心配かけるようじゃ元も子もないから、薬には頼らず、これからはユウカに頼ってもいいかな…?”
「は、はい!もちろんです!!」
あんまり頭をグリグリされると痛いのだけど、やらかした事が事なので甘んじて受け入れる。
待ってほんとに痛い
”ユ、ユウカさん……?”
「撫でてください」
”……へ?”
「撫でて!ください!!!」
”はっ、はい!”
…相当怒らせたのだろう。この後2時間撫で続けた。
数週間後
”はぁ、はぁ…”
シャーレに帰ってきた先生はすぐ棚のビンを取り出し、その中の物を水も飲まずに五、六粒飲み込む。
”ングッ…ゴホッ、ゴホッ。”
手が震えているのが分かる。そこにあったのは先生なんかではなくただの薬物中毒者だった。
薬物に一度手を出すと脳がその形を記憶するようにがっちりと依存してしまう。そうなったら身体が壊れるまで沼に沈んでいく、ましてやキヴォトス外の人間がキヴォトス人向けに造られたそれを飲んでしまったのだから効果は絶大だろう。
”…あぁ…あははは……はは、ははは…”
快楽も楽しかった景色も回らなくなってきた。足りない
視界が歪む。たりない、たりない、たりない
タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。タリナイ。
私がわたしで無くなっていく。先生でありたいのに身体が脳がそれを拒否するように瓶に手が伸びてしまう。
嗚咽混じりの声が漏れる。
”……誰か…助けて……”
「もちろんです。先生。」
”…セリナ…?”
いつ入ってきたのだろう。とぼんやり思う。頭が痛くてしょうがない。さっき何を言ったんだっけ
「先生は十分頑張りました。あとはお休み下さい。」
首にビリッと痛みが走る。セリナの笑顔を最後に意識を闇に手放した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「第九回キヴォトス代表定例会議を始めます。」
サンクトゥムタワーが支配され、空が赤に染ったあの日から定期的に各学園の代表が集まり会議をする、というものが開かれた。実際、それのお陰で事前に事件を防ぐことができたり、自治区の行き来がスムーズになったりなどが可能になった。そういう訳で今からまた会議が始まろうとしていた。
「お忙しい中、各学校代表生徒の皆様お集まり頂きありがとうございます。」
サンクトゥムタワーの一室。そこでリンを始め、ユウカ、ホシノ、ヒナ、ナギサ、トモエ、ニヤ、キサキ、カンナなど多くの生徒が机を囲んでいた。
「今回の議題は………」
「……」
「勿体ぶらずに早く言ってください!私達も暇じゃないんです!」
「まぁまぁ、ゆっくりやろうよ〜あせってもいい事ないよ〜?」
「…コホン……落ち着いて聞いてください。」
「先生が薬物を定期的に摂取していることについてです。」
「「「「「「!?」」」」」」
「まって、そんな…嘘でしょう?」
「ヒナさん、これは紛れもない真実です。実際、数日前、セリナさんがその様子を目撃しており、医師によりますと身体が内外がボロボロで手の震えや頭痛など依存性の症状も出ていて危険な状態だと」
「…先生は今どこに…?」
「トリニティの救護施設の方にミレニアムの方々の力も借りて治療を進めています。」
「ナギサが決めたの…?」
「いえ、連邦生徒会としての判断です。あそこは設備が揃っていますから。」
「現在はミネさんが救護に当たっています。」
「しかし……トリニティにゲヘナの風紀委員長が居るというのは…」
「ナギサ、そんなのは関係ない。今すぐ案内して。」
「にはは〜そうですねぇ、容態も気になりますし、負担にならないように少人数で分けて会いに行きましょう。」
「…無理はしないでと言ったのに………」
不安、焦燥、悲しみ渦巻くまま、生徒たちは立ち上がり病室へと歩みを進めた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
病室
”はぁ、はぁ、はぁ………”
脂汗が額を濡らし、息も荒く眠り続ける一人の大人がいた。まるでアリジゴクに落ちたアリのように眠りながらももがき苦しんでいる。
そんな先生の汗を拭いて、額に冷たいタオルを被せる。
ミネが今できるのはそれしか無かった。
「………もどかしい…」
「お辛いでしょうに……」
手を握る、強く強く壊れてしまわないくらいに。
ガラララ
「…失礼します。」
「リン様、ナギサ様…」
「ミネさん、先生の容態は?」
「点滴を打っておりますが未だ目覚める様子はなく、薬の副作用が思ったより強く脳のダメージが…少ないと言えど後遺症が残る可能性もあると……」
「…そうですか…」
「先生………」
二人はミネの横の椅子に腰掛け、先生をじっと見つめる。
「……私だって心配なんですよ…こんなに、こんなになるまで、なんで黙ってたんですか………」
「……ミカさんが心配してましたよ先生、こんなに生徒を悲しませてるんですから、早く…起きてくださいよ……」
”…………リンちゃん…?”
「…へ?せ、んせい?」
最初に目に入ったのは泣きじゃくってボロボロになった顔のリンだった。先生が目を大きく見開く。普段あまり感情を見せない二人が大粒の涙を流して泣きじゃくっているのは凄く珍しい。意識が虚ろなまま何があったのかと訪ねようとしたその時、三人が先生の体に抱きついた。
「うぅ……よがっだでずぜんぜぇ……」
その時初めて自覚する、己の犯した罪がどれほどのものかを。ガンガンと痛む頭を振ってぼんやりした意識を目覚めさせた。
”………また心配かけちゃったね。ごめん。”
「ほんとですよ…いつも無茶ばっかり……」
続けてミネが少し怒気を孕んで言う
「………いつからですか?」
”えっと……このタイプを服用したのは3週間くらい前かな?
「…他にもあるってことですよね」
「一命を取り留めましたがそのくらい危ない状態にあったんですよ…」
道標のなる先生であろう者が薬で命を失うなど、笑えない冗談だった。己の不甲斐なさに心底嫌になる。
「不躾ですが、何故このようなことになるまで?」
それから先生は全てを話した。
キヴォトスで生きていくには薬が必要不可欠だということ。薬の副作用が重なって来ていたこと。ブラックマーケットで買った物がたまたま『はずれ』であったもの。それに身を溺れさせてしまったこと。
結露が滴る窓を眺めながら、ポロポロとこぼすように話した。
「そう、だったんですね…」
「次からは薬が必要な時は言ってください。適切な物を用意します。連邦生徒会も全面的に協力いたしますので。」
涙の跡はあるものの、流石、連邦生徒会長代理と言うべきか、落ち着いた様子でリンは応えた。
「トリニティも可能である限り協力します。」
「………だから、もうブラックマーケットなんかじゃなく、私たちをもっと頼ってください…」
ナギサが先生の手を握りながら言う。その手は冷たく、自分の犯した罪を改めて噛み締める。
”わかった、ありがとう三人とも。”
”こんなことはもう二度と犯さないよ、約束する。”
その言葉を聞いて少しばかり安心する三人。先生は今まで約束事は絶対に守ってきたのだから。きっと、いや必ず先生はこの約束も守ってくれるだろう。
ふと先生が扉の方に目を移す。
”あとそこの子達もおいで。”
「あはは☆やっぱりバレちゃったか〜」
「うへ〜流石だね先生〜」
ぞろぞろと数人の生徒が入ってくる。病室が少し狭く感じるくらいには居たようだ。
「……ほんとに心配したんだから…」
「大丈夫よね?その、後遺症とか…」
”うん、大丈夫だよ。心配かけてごめんね。”
真っ黒で吸い込まれるような瞳が真っ直ぐヒナを刺す。あぁ、ほんとにこの人はずるい。さっきまでの渦巻くモヤモヤが嘘のようにすっかり無くなってしまったのだから。
「先生!私もすっっっっっっっっごく心配したんだから!」
「おじさんもどうにかなっちゃう所だったよ〜……」
”いや…ほんと……ごめん…”
いくつかの生徒の目にハイライトがなかったのはおそらく気のせいだろう。そう信じたい。
気づけば日が沈みそうな時刻になっていた。
先生は、病室の端っこで顔を伏せている生徒に未だに謝ることが出来ていなかった。
本当は真っ先に謝るべきなのは彼女に対してなのに、だ。
”…ごめん、みんな。少し彼女と二人きりにさせてくれないかな”
”今日はもう遅いし気をつけて帰ってね。”
皆も先生の意を汲んでくれたらしく、数分後、病室には一人の生徒と一人の先生の二人きりになる。さっきまでの光景が嘘かのように静寂が流れ、少しして、彼女に声をかけた。
”ユウカ”
「………っ…!!!」
ユウカが先生を潤んだ目で見つめる。強く握っていたのか服には皺が寄っていた。
先生が腕に刺さっていた点滴をちぎってベットから立ち上がって、ユウカに近づく。
そして強く優しく抱き締めた。
”本当に!本当に本当に……!…すまなかったっ…!!!”
心の底から謝罪する。どれほどの思いだったろう、どれほどの心配をかけただろう、それは先生には計り知れなかった。
『もっと私たちに頼ってください!!!』
彼女が己のことを思って言ってくれたあの言葉を踏みにじった。それは先生や大人以前に、人としてしてはいけないことだ。
「…ぅぅぅぁああああああああああ!!!!!」
「うわぁぁぁあぁああああああああああああああ!!!せんせいのばかぁあああああああああああ!!!!」
”本当にごめん。あれだけ心配してくれたのに…”
「だよっでっでいっだじゃないでずがあああああぁぁ!!」
”……償いにはならないかもしれないけれど、私のできることなら何でもする。”
「…じゃあ、これからずっと私が先生を管理します。」
”……え?”
「……先生は何を言ってもまた無理をしますよね?」
”それを言われちゃうと…”
「なら私がお世話すればいいんです。目の届くところでずっと……」
”…………あんな事を言った手前申し訳ないんだけど、せめて1週間だけ…”
ギュゥゥゥ
”イダダダダダ!!!わ、わかった!1ヶ月!薬の副作用が切れるまでお願いしてもいいかな…?”
「…分かりました。」
「但し、覚悟しておいて下さいね…?」
”今日はもう遅いから、また明日に…”
「……は?」
”ヒェッ”
”で、でもここトリニティの病院だし…追い出されるよ?”
「…しょうがないですね。」
”ご、ごめんね…”
「じゃあ先生、また明日お願いします。」
”うん、また。”
扉が閉まる。
もうすでに窓の外の日は沈んでおり星が光っていた。
意識を失う前のことを思い出す
”助けて…か”
『……誰か…助けて……』
あれは本音だったのだろうか。本当はずっと救いを求めてたんじゃないか。なら私…いや、僕は……
「先生?」
”ハッ…!…セリナ……”
「点滴が取れてますよ。まったく、無理ばかりするんだから…」
ベットに戻り、セリナに点滴の針を刺してもらう。
彼女の目には濃い隈があり、また迷惑を掛けてしまったと分かる。あの日だって真っ先に来てくれたのはセリナだった。
普段も忙しいであろうに、己のためにいつでもどこでも駆けつけてくれる。それに甘えていることに気が付き、また罪悪感が背中を撫でる。
”いつも迷惑ばかりかけてごめんね。”
「なら普段から無理しないでください!」
”…そうだね。肝に銘じるよ。”
痛む頭を掻いて、心電図の跳ねる音を聞きながら目を伏せる。
セリナに少し眠ることを伝えて、体をベットに沈ませる
多くの罪悪感と後悔を抱きしめ、あの時と同じように意識を闇に手放した。
早く続きをもらえないと僕がこの小説の先生みたいになるのでください