ヨハン・ノルベリ「資本主義が人類最高の発明である」
ヨハン・ノルベリの「資本主義が人類最高の発明である」を読みました。
結果的に社会主義的経済は人々を幸福にせず、自由市場と資本主義によって世界は豊かになってきたという事実を淡々と提示した一冊となってます。
やたら減税やら消費税廃止やらを唱えるカルト宗教的な人間をちらほら見かけますし、そういう書籍が結構書店に並んでるのはいかがなものかと思いますが、基本はこの本の通りかなと。
小さな政府と規制緩和
基本的に政府は介入するなというオーストリア学派のスタンスです。
ただ、他のオーストリア学派(タレブとかハイエク関連の人たち)と比べて口は悪くない感じですね。
個人的に印象に残った点は結構あるのであげてくと以下の通り(かなりインパクトのある項目が多い)。
- 資本主義は強欲な資本家をのさばらせるといわれるが、資本家は資本主義がもたらす選択の自由と競争で抑え込める。
- レーガン・サッチャー時代はその前から始まっていた。
- 市場経済はもっぱら競争と張り合いの話ではなく、協力と交換の話である。
- 資本主義は30年の間にそれ以前の3000年をあわせたよりも人間の生活条件を大幅に改善させた。
- 世界の分配不平等は、資本主義の分配が不均等だから生じる。それがたくさんあるところは豊かになる。なければ貧乏なままだ。
- 南米は非効率で保護された工業部門は企業が政治化して、結果的に汚職がさらに酷くなった。貧困率は下がっているが、最も自由なチリとペルーは経済的に成功している。
- アフリカは植民地に中央集権構造が作られた後独立して、その後も引き継がれているため、ウガンダやルワンダのような自由化進めた国がようやく成功しつつある。
- 経済自由度の高い国ほど国民は長生きで、もっとよい仕事を探し、新しい市場を見つけ、未来に投資する自由ほど人々の生活を改善するものはない。
- ベネズエラ、キューバ、中国、ロシアのように社会主義は蜜月→言い訳→あれは本物の社会主義じゃないで定式化される。
- 南アフリカは経済の奇跡がマンデラ→ムベキ政権で続いたが、左派のリーダーが新自由主義に反発して真逆の政策を実施したら、貧困率が上昇し始め、マイナス成長になった。
- 権威主義者は経済を救うよりも破壊する可能性が高く、ポピュリストの元首は国を20%貧しくする。
- 国が豊かであれば、それだけ人々の寿命も長く健康もよくなり、厚生のあらゆる指標が改善する。経済成長が高い社会の方が将来の脅威や災害リスクへの対応にも豊富な知識と技術能力の高さが有効活用できる。
- 「貧困者支援」や「共同富裕」を促進する各種政策はすべて全体的な経済成長を通じて実現していた。
- 自由市場はまず何よりも協力マシーンであり、それがあらゆる中央管理よりうまく機能するのは、それがはるかに多くの人々の知識、才能、創造量を活用するからだ。
- 1993年以来389回におよぶ経済危機すべてを検討すると、経済的に自由な国は任意の年に危機に合う可能性が30%低く、危機の影響もほかの国ほど深くはない。
- 労働時間の減り方は鈍っているが、工業化が一気に進んで以来、労働時間は西側世界で半減したし、ここ数十年でも減り続けている。
- 「中国製との競争」でアメリカ人の職と所得は増えている。
- iPhone1台の中国にお取り分は1.3%程度で、アメリカ人は高技能職を維持し、デザイン部品ソフト広告キャンペーンを実施できて大儲けできる。
- 資本家の仕事はとても生産的であり、それにより豊かになった人々の中で、分け前を最後までもらえなかったのが資本家だ。
- ピケティは王朝が残ると言ってるが、1982年のフォーブスの億万長者400人一覧でその相続人の内2014年に残っているのは69人程度で、残った一覧と脱落した人間を見て、その平均的な富の増加は2.4%というみすぼらしい結果で、S&P500に投資の3分の1でしかない。
- キャピタルゲインが所得に占める割合は1970年代依頼高まってはいるが、資本所有者のせいではなく住宅格で説明できる。資本所得の分布はミラノヴィッチの計算だと1975年以来アメリカとイギリスでは比較的安定している。
- 資本主義は消費者が資本家を監督する手段で、企業がウソをつくインセンティブは低い。
- 耐久性の低いものを選ぶのは、個人の懐具合と利便性、かける時間と将来開発への期待の間でそこそこのバランスが取れた行動だ。
- 人が気まぐれなのは、企業が儲けるためではない。私たちがきまぐれだからこそ、企業はそれで儲ける。
- SNSで政治的な極端化が進んでるといわれるが、アメリカはそれ以前から進んでいて、政治的な極端化が9か国中5か国でむしろ減少している(アメリカよりもインターネット利用率が高い国)。
- データは新たな「砂」であり、GAFAM最大の倨傲は「リアルな友人」
- 偉大なブレークスルーは決して政府の計画だの孤高の点差から生じるものではなく、にぎやかな知的エコシステムから生まれるもので、違った分野や活動の間で絶え間ない相互影響が生じなければならない。
- 国の産業政策はトレンドを後追いするだけで、公的支援はリソースを失敗から成功へと誘導する多くの本質的な仕組みを除去してしまう。
- 中国の戦略的計画が豊かにしたのは、中国共産党の嘘で、草の根資本主義を作り出し、改革プロセスすべてを動かしたのは一連の民衆反乱だった。
- 中国は毛沢東主義が復活していて、習近平の朝令暮改の経済政策になっている。中国を危険にしている専制主義は中国が京極になれる可能性を潰してしまうもので、中国は自由世界を妥当したいなら自由になるしかない。
- 気候変動に関する私たちの知識は向上しているので「脱成長」は答えではない。脱成長は人類にとって地球温暖化をなおさら危険にしてしまうので、温暖化に適応するためには反映と技術が必要。
- どの技術が成功するかを政治家が予測できなくてもかまわない。イノベーターや実業家たちがお金尾を儲けたがることをさえあてにできれば、ひとりでに進歩が起こる。
- リベラリズムと資本主義がもたらした歴史的な成果とは、人々に収奪的な集団を離れる自由を与え、とどまってほしいなら変わるよう要求し、あるいは自分のニーズや利益に最も適合した全く新しいものを創れるようにしたことだ。
- 経済的自由と主観的な幸福との間には強い相関があり、ほとんどの人の期待とは逆に低所得者ほどその関係が強い。
という感じで主張は小さな政府と規制緩和です。
個人的には大きな政府的な主張の補助的なものは特定産業に関しては必要になってるところはあるかと。
また、弱者支援も必要という考えですが、とくに欧米だけでなく日本でも問題ですが、そこに金使う必要あるんか?っていうところがあるかと。
で、それを取り仕切る側がコストとかの管理やら見積もりがとてもできるようではない。
だったらもっと自治体やらで雇って管理したら?というところがあるので、この本に書かれてる規制緩和や小さな政府も一理あるかと。
とはいえ、データがやや切り取った感じのところを持ってきてる感もあるので話6割くらいかと思いますが。
ともあれ大きな政府から小さな政府方面に行く流れもでてきつつあるので、読んでおいて損はない本だと思います。
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