異例の反省表明、「男が男を引き上げる」
――2024年2月期の統合報告書に、こんな一文を寄せられました。「女性の優秀さを昔から痛感しながら、女性の管理職への引き上げが遅れてしまったことを反省しています」。その「遅れ」が起きた要因は何だった、とみていますか。
福田会長 「なぜ、本部長クラスに、こんなに女性が少ないんだ?」っていつも言うんですけどね。男が男を選んでるんですよ、やっぱりね。
これは、直すのがなかなか難しい。
現場はどうしても、自分にとって「伝えやすい、動かしやすい者」を部下にしたがりますから。もちろん、何事にも例外はあり、性別だけでなく個性や人の相性は様々です。ただ、概して言えば、男が女性を部下にするっていうのは、結構大変といえば大変なんですよ。
(妊娠・出産はじめ)ライフイベントも違いますしね。いまの時代、下手(へた)したらセクハラ・パワハラなんてなっちゃいますから、誤解が生じないようにと思いのほか神経を使うこともあるでしょう。
状況を変えるには、トップが思いをきちっと伝えていかなければいけない、と思っています。
「業務の仕組みの基礎」 つくってくれたのは女性社員
――それで、2019年から議論を開始して、女性登用の目標を立てたのですね。2020年にはサステナビリティ定例会議が始まり、女性取締役による「リーダーシップ講演会」を開催したり、女性の部長・室長による「パネルディスカッション」を実施したりと女性の登用に向けた具体的な取り組みが始まったと聞きます。
福田会長 女性の優秀さは、よく分かっています。たとえば、当社で情報システムの導入を最初に決めたのは、女性社員です。
彼女は1980年代のバックヤードの責任者。物流や情報システムの分野で、当社の業務の仕組みの基礎をつくってくれました。競争力強化につながる基礎をもたらしてくれた彼女に、感謝しています。
いまも、新入社員研修あるいは、新卒採用では女性の方が優秀ですよ。あ、これは、ぼくの偏見かな(笑)。
――「女性活躍の土壌づくり」として、2020年からの最初の3年は、上級管理職の女性を増やすことに力を入れたそうですね。そして、2023年には、どの部署にどんな女性のリーダー候補がいるか、全社的に可視化する仕組みを整えたとか。
福田会長 サステナビリティ推進室長も女性で、上級管理職の一人です。彼女が人事と連携しながら、後の上級管理職候補をプールできるようにパイプラインを整える努力をしてくれています。
ただ、「この人は優秀だけど、どうだろう」と協議しているときにポンとポストを与えられるかっていうと、なかなかそう簡単にいかないところもありますね。
船頭を増やすには「乗る船」を増やすことも大事
――とおっしゃるのは?
福田会長 ずっと同じ組織だったら、いま、活躍してくれている40代や50代の男性の部長、執行役員らがいるわけです。
ダメな役職者なら替えればいいけれど、そうじゃないのに「女性に替えます」としたら、おかしなことになってしまう。彼らだって彼らなりにがんばっているのだから、「なんで?」と。
――打開策はありますか?
福田会長 事業を拡大してチャンスの場をつくっていくのが、マネジメントする側の責任だと思っています。組織をもっと広げなかったら、目標通りの女性の登用にもならないわけです。
過去は「乗る船が足らなかった」。30を超えるマルチブランドというけれど、もう少し細かく部門を設けていたなら、(ポストが創出されて)船頭さん、つまり役職者により早く女性たちを登用できたのかもしれません。
「縦社会」だけでなく「横」も広げたい
――ポストを与えるためのポストづくりとならない、「乗る船」を上手に増やす方法はありますか。
福田会長 たとえば、1つのブランドが大きくなると、どうしてもそこで縦社会みたいになっていくんですよね。
だから、いま、グローバルワークの年間売り上げが500億円を超えてきているけど、「もう少し、横に広がらないの?」と折に触れて、言っています。
そういう意味では、アンドエスティ(and ST、2024年11月末時点の会員数は約1920万人で、ワコール、ヤーマンなど他社とも協業するファッション通販サイト。社内から事業を独立させる形で子会社アンドエスティが運営)の方向性は良かったのかなと。
「横」を志向しているので、事業としてもいろいろな可能性がありそうです。
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