【深層レポート】カンボジアをハブとする巨額資金洗浄網と「日本ルート」(連載 第2回 / 全15回)中央銀行の「公式発表」と地下への潜行
2025年12月3日——中銀による「完全排除」の宣言
事態は一つの区切りを迎えました。2025年12月3日、カンボジア国立銀行(NBC)はフイワン・グループの中核決済部門「フイワン・ペイ」の銀行ライセンスを剥奪していたと公式に発表しました。
発表によれば、実際のライセンス剥奪処分は2024年9月25日付で行われており、その後、商業省の監督下で清算手続きが進められ、2025年6月19日に完了したとされています。当局は「顧客への返金を含む全債務は処理済みである」とし、表向きの金融システムから同社を完全に排除したことを強調しました。
「そもそも認可していない」——暗号資産への鉄槌
今回の発表で特筆すべきは、NBCが暗号資産に対して極めて厳しい姿勢を改めて示した点です。
NBCは声明の中で、「現在、カンボジア国内において暗号資産関連サービスを提供することを認可されている銀行や金融機関は一つも存在しない」と明言しました。これにより、フイワンを含め、暗号資産を扱うあらゆる金融サービスは、最初から当局の認可外で活動していたことが公式に裏付けられました。
これを受け、カンボジアの各銀行は、顧客審査を厳格化し、暗号資産取引に関連する口座の凍結措置を進めると見られています。
「解決済み」の裏にある地下化
しかし、表のライセンス剥奪は、解決を意味しません。むしろ、活動は「完全な地下」へと潜りました。
これまで現地の日本語ウェブサイトでも、「秘密厳守」「5000ドル〜上限なし」といった条件で資金の現金化を謳うサービスが公然と宣伝されていました。顧客に対して「手数料や納税額への懸念」を解決すると謳い、「USDT(テザー)を米ドルでカンボジア国内の口座に即座に送金」「取引規模は5000ドルから上限なし」という条件を明記していました。この「上限なし」という条件は、不正資金の最終目標である追跡不能な匿名性の確保を可能にし、脱税資金の現金化および実質的支配者の隠蔽を助長するリスクを強く示唆するものです。
関係者の証言によれば、このサイトは単なる両替サービスではなく、日本国内で不正に得た収益を逃がす「脱出装置」として機能していた疑いが持たれており、運営者が政府高官への接待等を通じて保護を得ていたとの関係者証言も報じられています。
米国の制裁を受け、これらの表向きの宣伝活動は停止していますが、それは「廃業」ではなく、当局の監視が届かない地下経済への完全移行を意味します。特に当局が重大な関心を寄せているのが、各国の捜査機関の間で共有されている、「仮想通貨両替の日本人オーナー」に「後藤忠政氏の基盤を受け継ぎ、過去には現地で正規のマイクロファイナンス機関(MFI)の運営に関与していた」疑いがあるという情報です。「表の金融事業」で培った専門知識やスキームが、現在の不透明な資金移動に転用されている可能性が指摘されており、従来の暴力団対策の枠を超えた高度な監視が必要とされています。
※本稿は、公益目的の観点から、公開情報・報道・当局発表等に基づき、資金洗浄の実態と構造的リスクを分析・考察したものです。
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カンボジア太郎
@Cambodiataro
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