リーダー育成 失敗が人間の幅を広げる
――次に人材育成についてお聞きします。仮に「乗る船」は増やせたとして、「船頭」はリーダーシップを発揮できるのかどうか。どうすれば、女性リーダーを育てられますか。
福田会長 人を育てるなんてぼくは分かんないけど、やっぱり体験しないと、難しいんですよね。『何々部長とは』なんて書いてあるものを読んだって、眠くなるだけ(苦笑)。
まずはやらせてみて「ありゃ」と思う失敗が、その人間の幅を広げていくんだと思うんですよ。ダメなやつは失敗を失敗と思わない。それが一番困るんであって、成長に失敗はつきもの。権限を委譲して仕事を任せることが大切だと思います。
上司は謙虚に女性部下の話を聞こう
――女性の部下を育成する管理職らにアドバイスはありますか。
福田会長 コミュニケーションの頻度や精度を高めるってことが、いろんなことを解決してくれる。ぼくはそう信じています。
何より必要なことは、部下の話をよく聞くこと。性差なく謙虚に聞くことが一番大切です。
そして、何か課題をキャッチしたら、それをどうやって誰のところに持って行って話をするか、そこをよく考えてほしいです。自分だけで抱えて(上司側が)落ち込んじゃってもダメだからね。
――上手に聞くヒントはありますか。
福田会長 1つ加えるなら、「会議体だと、なかなか語ることができない」という人もいるということ。ランチや飲み会のような場面で、思いがけず本音がポロっと出てくることがあるんです。それを謙虚に聞くことが、やっぱり必要です。
え? 難しそう(笑)? いやいや、構える必要はないです。結局、一人ひとりのことをちゃんと見ていくっていうことが大切なのかなと。「何事も、そんなに難しく考える必要はないよ」っていつも思っています。
自社健保設立、婦人科検診の補助拡充
――「自分の子どもを入れたい会社に」というのをずっと唱えていらっしゃいます。
福田会長 みんなに分かりやすいですよね。「こういう仕組みにしよう」と言うより、「自分の子どもを入れたい会社と思えるか」と言った方が、具体的に伝わるじゃないですか。
――2021年の自社健保設立も女性の活躍を下支えすることが狙いだそうですね。
福田会長 そもそも加入していた健康保険組合は男性中心の健保だったんですよ。
うちは社員の7割が女性でしょう? そのうえ、全国に事業拠点が散らばっています。地域によっては女性が日帰りで健診を受診できる病院がないとか、年齢構成の割に保険料率が高いとか合わなくなってしまったんです。自社健保になり、婦人科検診の費用補助も拡充できました。
2022年には健康経営推進室を設けました。2023年3月から女性が室長に就任し、健保の理事長と兼任しています。
女性に優しい労働環境とするのが目的ですから、生理による不調だったり不妊治療だったりについてマネジメント層の理解を深める勉強会なども開いています。女性向けの健康増進に役立つセミナーも好評らしいです。
女性の活躍「大欲でなく、当たり前のこと」
――改めて、上級管理職での女性比率3割の達成時期についてうかがいます。今期末となる2026年2月には達成できそうですか。
福田会長 どこのタイミングになるか、遅くとも2030年には実現しないと、と思っています。
――仕事の師と仰ぐ故・渥美俊一氏(1960年代にチェーンストア研究団体「ペガサスクラブ」を設立)から、1980年代に「大きな欲、『大欲』を持て」との薫陶を受け、感銘を受けられたそうです。「そうしないと社会的に認められない。誰もついてこない」と。女性の活躍推進を巡り、働きがいと働きやすさを高めようと様々な工夫をしてこられました。それでも事業での成長ほど劇的な進捗が見られないのは、女性の活躍が「遠大な望み」という意味の大欲で、それだけ難しいということですか。
福田会長 いやいや。女性の活躍推進は当たり前のことであって、別に大欲っていうほどのことじゃない。しなくちゃいけないこと。できることです。
個々の思いや志 経営層に届く仕組みづくりを
――最後に女性たちへ、生き生きと働くヒントをお願いします。
福田会長 日ごろの業務について、あるいは職場や会社について、皆さん、いろいろな思いがあると思うんです。
それがどんなに強い思いや高い志であってもですね、経営層に届くような仕組みづくりをしていかないと(実現は)難しいです。そんな視点も持ってみてください。
(聞き手は佐々木玲子、撮影は矢後衛)
セミナー
Seminar「日経BizGateイベントガイド」では、
企業が主催する法人向け無料イベント・セミナー情報をご紹介しています。