如月千早の放つ輝き、アイマスへの落胆 武道館単独公演「OathONE」
如月千早の放つ輝き
如月千早 武道館単独公演「OathONE」を両日現地で見届けました。
如月千早という人間が歩んできた道のりを知っていれば、ただ大きな会場でソロライブをするというだけではない重みを鑑賞した人も感じていたのではないかと思います。
彼女にとって自分の存在証明だった歌。孤独や苦しみや絶望を乗り越え、人と分かち合うことを知り、誰かのために歌えるようになった千早の生き生きとした歌声・姿はとても輝いていて、千早や765プロの未来すら明るく照らしているようでした。
具体的に言うのであれば千早のパフォーマンスは彼女自身を感じさせる力強さ、伸びやかさ、繊細さ、優しさで、この上なく素晴らしく、新曲「輝夜」は彼女にとって1つの到達点である「細氷」とは真逆の形で今の如月千早を描いていたと思います。聴いた人を圧倒する歌声ではなく、優しく語りかけるようで自然と耳を傾け聴き入ってしまう新境地の歌声でした。ステージや演出もここまでのことができるのかと驚かされるもので、運営スタッフの方たちの本気の想いを感じると共に、「ああ、これからのアイマスは何を見せてくれるんだろう…!」と、今後のアイドルマスターへの期待も高まりました。
アイマスへの落胆
それほど素晴らしい公演だったのに、私にはどうしても理解できないことがあります。
「どうして如月千早は765プロ以外の事務所の曲を歌ったのか」
公演二日目は一日目のセットリストとは違い他ブランドのメイン3人、所謂信号機の千早と同じ青(蒼)のポジションのアイドルのソロ曲のカバーが披露されました。同じ765プロの最上静香の楽曲を歌うのはよく分かります。後輩として加入した静香は千早にとって同じように歌を追い求める仲間であり、時には、全力を出し合える相手です。自分を慕い、自分のようになりたいと言う静香の存在は千早の中でも小さくはないでしょう。では、他のアイドルは?
「私には家族のように大切な仲間たちの他に、トップを目指すたくさんのライバルであり、兄弟や姉妹のようでもあるアイドル達がいます。今日はそんなみんなの曲も覚悟を持ってカバーさせていただきました。」
これは公演終盤の千早の言葉です。なるほど、そういう想いだったのか。感動的だ。
なんて受け止められるわけないだろう。誰なんだ、千早にこう言わせたのは。
他事務所のアイドル達をライバルはまだしも、兄弟姉妹と思えるだけの交流があっただろうか?ポプマスやツアマス?876や961や0936の曲はないけどLOSTとGR@TITUDEでカバーしたことになっている?他事務所の曲は自分の持ち歌や765の他のアイドルの曲より念願の舞台で歌うのに相応しかったのか?と疑問は尽きない。
これらの疑問の答えになる事実は分かっています。
「如月千早はアイドルマスターというコンテンツのキャラクターである」
自分が知っている範囲(765プロ)においてMRライブではアイドルマスターという単語は初期のMRライブ公演タイトルに含まれたことはあっても、公演中はもちろん、公式サイトでも極力使われず、アイドルたちは実在する存在のように扱われていたはずです。今回で言えば武道館に掲げた公演看板に「アイドルマスター」の文字が一見無いように見えるくらい極小さくしか記されていないって改めて考えてすごいことです。そして、アイマスライブ終演後の定番「アイマス最高!」コールもこれまでほとんど起きていませんでした。(武道館初日はあったな……)
「アイドル達を1人の人間として存在させたい」
これは近年のアイマス、特に「PROJECT IM@S 3.0 VISION」になってから明確な指針の1つです。
こうなったのはPが望んだからというだけでなく、運営側にもアイドルを愛し、心の底から応援したいと思う人たちが多かったからでしょう。実際に様々な媒体でスタッフの方たちのアイドルへの想いは語られていて、武道館公演への一連の流れを見てもそれは強く感じられます。
まず、千早本人の記者会見で武道館公演が発表され、THE FIRST TAKE出演、ファミ通での如月千早特集、さらに公演後の特別番組。どれもアイドルマスターというゲームのキャラクターだと言うことを抜きに成立していました。何も知らない人であればこれらを見てもアイマスにたどり着かないかもしれません。
運営がそういう強い想いを持って、ブレない姿勢でいてくれたからこそアイドルの存在を自分の中だけでなく多くの人と共有できていたように思います。
それだけに、武道館公演という千早にとってこれ以上ない存在証明の場で「アイドルマスター」という概念をはっきりと意識させるような選曲とMCには本当に落胆させられました。公演後に公開されたセットリストではよりそのことを強調にするように各ブロックの題名に曲をカバーした他ブランドのアイドルたちの名前の漢字が使われています。( https://x.com/imas_official/status/2015360166858989859 )
運営も考えに考えた末の決定でしょう。如月千早というアイマスの代表キャラクターが自分自身を持ってコンテンツの歴史やブランドの繋がりを体現した(ように見せる)というのは、ある視点においてはとても感動的で、会場も沸き上がっていました。
ただし、それは如月千早を1人の人間ではなくキャラクターとして存在させることにほかなりません。
運営がビジネスを優先したとは言いたくはないです。千早を人として存在させることよりも、アイマスそのものへの愛情が上回ってしまった、Pたちを喜ばせたかったのだと思います。その引き換えに、千早は人ではいられなくなってしまった。
今思えば予兆はありました。THE FIRST TAKEのXアカウントに投稿されたインタビュー動画の中で千早は「初めはたった1人で始めたアイドル活動も 今は仲間 妹や弟たちと一緒に活動させていただいています」と発言しています。( https://x.com/The_FirstTake/status/1998952715016351784 )
このあまりにもメタな発言をする千早を私は素直に受け止められません。それだったらいっそのこと「私たちアイドルマスターは20周年を迎えました。他のブランドのアイドルたちは妹や弟のようで~」とキャラクターに徹した千早が出てきてくれた方が納得できます。
人間としての千早に他の事務所のアイドルたちの曲を歌わせる、大切に想っていると言わせるのは感動や盛り上がりの最大化の手法としては見事でした。けれど、アイドルたちを人間として存在させたいと思う時に絶対に大事にしなくてはいけないものが失われてしまったと思います。こういうのはせめて7月の全ブランド合同xRライブIWSFでやってほしかった……
終わりに
落胆はしたものの本当に素晴らしい公演でした。私が問題視している楽曲カバーにしても楽曲そのものはとても素敵なもので会場で酷くがっかりしながらもどの曲もいい曲だなと思っていたのは本当です。
もしも、また、千早や765プロアイドルが武道館に立つ機会があれば私は足を運びます。なぜなら彼女たちのことが大好きだから。
彼女たちがキャラクターだということは言うまでもありません。けれど、彼女たちは生身の人間と同じように、時にはそれ以上に私に感動をくれた存在です。これからもPとしてプロデュースしていきたい、ファンとして応援したい気持ちは変わりません。
まとまりのない文章になりましたが終わりにしましょう。結局、自分が大切にしたい、大切にしてほしいことはこれなんだろうな


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