「冤罪救済に背を向けた」再審見直し、法制審案に反対の弁護士ら会見

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二階堂友紀
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 刑事裁判をやり直す再審制度の見直しを検討してきた法制審議会(法相の諮問機関)の部会は2日、法務省が示した要綱案の採決を行い、賛成多数でとりまとめた。反対票を投じた弁護士らは、このままの内容で法案を成立させてはならないと批判し、国会での修正を訴えた。

 2日の部会終盤、部会長の大澤裕・早大教授が採決を宣言した。議決権のある委員(部会長除く)のうち、賛成は刑事法学者や検察官、裁判官ら10人、反対は弁護士3人。要綱案は多数決でとりまとめられた。

 今回の議論は、死刑が確定していた袴田巌(いわお)さん(89)が2024年9月に再審無罪とされたことから動き出した。法務省はもともと後ろ向きだったが、見直しをせざるを得ない状況になった。

 法相が昨年3月に見直しを諮問し、4月から部会での議論が始まった。後半は月2~3回という異例のペースで進み、会議は計18回に及んだ。

 採決で反対票を投じた弁護士らは、部会終了後に記者会見した。

 再審弁護に取り組む鴨志田祐美弁護士は「冤罪(えんざい)被害者の救済に背を向けた内容。改悪と言い切っていい」と総括。裁判官時代に袴田さんの再審開始決定を出した村山浩昭弁護士は「再審事件がどれだけ過酷な状況にあるか、最後まで理解してもらえなかった。とりまとめ通りに(法案を)成立させることはあってはならない」と国会での修正に期待をつないだ。

 弁護士らはこれまでの部会で、要綱案の証拠開示規定では「無罪につながる証拠が埋もれる恐れがある」と指摘。再審開始決定に対する検察の不服申し立てを禁じなければ「救済の遅れを正せない」と訴えてきた。

 とりまとめ文書には「附帯事項」として、証拠開示の範囲が不当に狭くならないよう期待する、検察の不服申し立てが慎重に行われるよう望む、といった文言も付記された。議決権のない幹事として参加してきた田岡直博弁護士は、附帯事項が無視されてきた過去の事例を挙げ、「どこまでの意味があるか、これまでの経過からも明らかだ」と突き放した。

 日本弁護士連合会日弁連)はこの日、「冤罪被害者の救済を今まで以上に困難にしかねない内容を含んでいる」などとして要綱案に反対する会長声明を出した。

「巌は救われないと思う」

 昨年の部会では、袴田さんを支え続けた姉・秀子さん(92)が「巌が頑張ってきたことを人間として考えて」と訴えた。だが法制審の結論が見えてくると、「最初から私たちの言葉なんて眼中になかったんじゃないか」と落胆を口にした。

 この日の会見に同席した秀子さんは「(要綱案の内容では)巌は救われないと思う。あとは議員連盟を頼るしかない」と国会への期待を語った。

 超党派の国会議員連盟(会長=柴山昌彦自民党政調会長代理)がまとめた法案は、検察の不服申し立て禁止を明記し、証拠の目的外使用を禁じないなど、政府法案の方向性と隔たりがある。今後は、与党審査や国会審議でどこまで修正されるかが焦点となる。

法制審案への賛否

<賛成>池田公博・京大院教授▽宇藤崇・同志社大教授▽川出敏裕・東大院教授▽後藤真理子・慶大院教授▽酒巻匡・早大院教授▽平城文啓・最高裁刑事局長▽江口和伸・東京地裁部総括判事▽佐藤淳・法務省刑事局長▽宮崎香織・東京高検検事▽重松弘教・警察庁刑事局長

<反対>鴨志田祐美弁護士▽村山浩昭弁護士▽山本剛弁護士

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この記事を書いた人
二階堂友紀
東京社会部|法務省担当
専門・関心分野
法と政治と社会 人権 多様性