車中泊生活の56歳「助けて」 朝まで働けどその日暮らし、“見えないホームレス”に物価高直撃【衆院選2026】
毎日のように届くSOS
東京都豊島区のNPO法人「トイミッケ」代表理事、佐々木大志郎さん(47)は、見えないホームレスの増加を肌で感じている。 佐々木さんらはコロナ禍の21年から非常食やモバイルバッテリー、連携するホテルの宿泊券、交通費が入った「緊急お助けパック」の配布を都内などで続けている。 受け取りは1人1回で、利用は22年度が125件だったのに対し、24年度は338件に増えた。 現在もほぼ毎日利用がある。 利用者の7割が20~40代で占められ、ほとんどが日雇いや「スキマバイト」などの仕事をしながら、ネットカフェや派遣先の寮を転々とする不安定な生活を送る。 佐々木さんは「物価高で住居や就労が不安定な人は確実に増加傾向にある」と指摘した上で、こう語る。 「働き盛りの世代がキャリアアップも見込めず、都合のいい労働力として調達され続けている現実があります。日雇い労働やスキマバイトなどは、条件が少しでもいい案件が『取り合い』になる。外国人に仕事を取られたと感じて『許せない』と口にする若者もいますし、スマートフォンで仕事を探しているうちに闇バイトに手を出すリスクもある。『現代の貧困』に苦しむ人が静かに増えていることには怖さを感じます」
消費減税で円安を招けば物価高の恐れ
高市首相は昨年10月の就任以来、物価高対策などの経済政策に最優先で取り組む考えを繰り返し表明してきた。 しかし、8日投開票の日程で衆院選が行われることになり、新年度予算を年度内に成立させることは難しくなった。 一方で、自民党は衆院選の政権公約で、飲食料品の「2年間消費税ゼロ」実現に向け、国民会議で財源やスケジュールなどの「検討を加速する」と明記した。 野党第1党の中道改革連合も食料品の税率ゼロの恒久化を掲げるほか、その他のほとんどの党も消費減税を主張する。 だが、巨額の税収が失われて財政不安が高まり円安が加速すれば、さらなる物価高を招く恐れがある。
「人として当たり前の生活させて」
前出の渡辺さんは「物価が上がっていることは仕方がない面もありますが、末端まで収入が上がらないと格差は埋まらないと思います。自分に努力が足りないところがあるとはいえ、一度道を踏み外すとやり直しがきかない世の中になっています。せめて国には、人として当たり前の生活ができる状態に戻るのを助けてほしい」と漏らす。 ポポロの事務局長、鈴木和樹さん(44)も「働いているのに生活に困っている人は多く、物価高が追い打ちをかけています。国によるさまざまな雇用対策が打たれてはいますが、一番大変な人たちには届いていません。見えないホームレスなどへの支援は市民団体がやっているのが現状です。これでは限界があるので、国が実態を把握し、現場に即した施策を一つ一つやってほしい」と訴える。
※この記事は、毎日新聞とYahoo!ニュースによる共同連携企画です。