車中泊生活の56歳「助けて」 朝まで働けどその日暮らし、“見えないホームレス”に物価高直撃【衆院選2026】
過去の家賃滞納で家借りられず
新型コロナウイルス禍の頃、コロナにかかった父にがんが見つかり、愛知県内の実家に戻った。 だが、父の死や、認知症の母に成年後見制度で後見人が選任されたことなどを受け、再び家を出た。 その後、静岡県内の知人の家にしばらく身を寄せたが、そこにも居づらくなった。 過去の家賃滞納などから自分では家を借りられず、元々借りていた駐車場を拠点に昨年8月から車中泊生活をするようになった。 それからは、誰かと一緒に過ごしたり話をしたりすることが極端に減った。 孤独感にさいなまれ、昨年の暮れには自ら命を絶つことも考えた。
働いても働いても…
救いになったのは、年末年始に仕事が立て続けに入ったことと、以前から気に掛けてくれていた友人からのLINE(ライン)のメッセージだった。 「ネガティブだと応援できないよ」 現状を知った友人はそう言って奮い立たせてくれ、不動産屋を紹介してくれた。 やはり家を借りることはできなかったが、そのことを報告すると、行政に相談するよう勧めてくれた。 生活拠点のある静岡県内の自治体に相談したところ、静岡市のNPO法人「POPOLO(ポポロ)」につなげてくれた。 1月29日に入居できる物件が決まった渡辺さんはかみしめるように言った。 「いまの仕事は給料が安い上、熱があっても働かないといけない。まさにその日暮らしになっており、働いても働いても生活が楽になりません。今後は運転代行の配車サービスのアルバイトを副業にしながら本職を探し、生活を安定させたい」
◇見えないホームレス、国は実態把握せず
2002年施行のホームレス自立支援法は「ホームレス」を「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」と定義する。 厚生労働省によると、定義に当てはまる人は全国調査を始めた03年1~2月時点で2万5296人だったが、25年1月時点では10分の1の2591人と過去最少を更新した。 だが、00年代以降は非正規雇用が増え、雇用者全体に占める割合は3~4割で高止まりしている。 最近では物価高もあり、今日寝る場所や食べるものに困る人は後を絶たない。 法律が定義する路上生活者の多くは姿を消したが、インターネットカフェを転々とする人などは調査対象にならないだけで、ホームレスという言葉が本来意味する「家がない」人たちは減っていないと指摘される。 しかし、国はこうした「見えないホームレス」の実態を把握しておらず、支援が行き届いていない可能性がある。