生活の奥にあるものを撮る映画監督…パレスチナ人・ジュマーナ・マンナーア
数日前、山形国際ドキュメンタリー映画祭でジュマーナ・マンナーア監督の『魔法が私に流れ込んでくる』を観た余韻が、まだ自分の中で静かに続いている。作品そのものについては前回のnoteに書いたが、映画を観終わった後、「この監督は何を見ている人なのだろう」という問いがわいてきた。作品論を越えて、作り手そのものへの関心が残ったのは久しぶりだ。
鑑賞後に名前を検索してみた。パレスチナ出身、現在はベルリンを拠点に活動、映像とインスタレーションを行き来するアーティストでもある――しかし、略歴を読んでも何か大事なものには触れられていない気がする。むしろ経歴より興味深いのは、「作品の作られ方」かも知れない。
マンナーア監督の映画には、表には見えにくいものを掘り起こし、別の文脈へ接続し直すような視線がある。例えば『魔法が私に流れ込んでくる』は音楽の映画だが、ミュージックドキュメンタリーとはまるで異なる。彼女にとって音楽は主題というより入口であり、そこから生活史、記憶の層、土地との関係性が立ち上がってくる。
もう少し知りたくなって、他の作品を探してみた。すると、東京外国語大学で『採集する人々(Foragers)』という作品が上映されるという情報にぶつかった。マンナーア監督の別の作品だ。まさかこんな近いタイミングで、彼女の作品に触れられるチャンスがあるとは。
UFS Cinema パレスチナ映画特集『採集する人々(Foragers)』
2025年10月25日(土)15:00〜
東京外国語大学 アゴラ・グローバル プロメテウス・ホール
調べてみると、題材は「野草の採集」だという。これはよく考えるとマンナーア監督らしいテーマかも知れない。彼女の関心は、「生活がいかにして土地とつながり続けているか」「文化がどのようにして受け渡されるか」ということにある。派手なドラマではなく、持続する営みを撮る映画監督だ。
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