海辺のテントで沈黙を聴く…イラン映画『ノアの娘』と静かなイラン
イラン南部、ペルシャ湾に浮かぶ島。この静かな島で、ひとりの若い女性がテントを張り、潮風と静寂に身を委ねる。彼女は海辺で年配の女性と語り合い、脈を聴くという不思議に静かな技術をめぐって対話する。また、やはりキャンプに来た男性とも印象的な会話を交わす。テーマは、生と死。
何か劇的な事件が起こるわけではない。やがて彼女は荷をまとめ、テヘランへ帰っていく。それだけの物語だ。
イランというと、しばしばテヘランの喧噪を思い浮かべる。交通の渋滞、クラクション、排ガスにまみれた都会の空気。だがジャラライアン監督作品『ノアの娘』の舞台である南部の島、おそらくゲシム島は、そうした雑踏とは正反対の、静寂そのものの世界である。ここでは、沈黙が支配し、波や風が何かを語る。映画はまるで、その静けさ自体を一つの登場人物として扱っているかのようだった。
ノアに娘がいたなら…沈黙の預言者
ここから先は
992字
この記事のみ
¥
100
みなさまからのチップ、歓迎しております~さらに充実した情報発信のため、活用させていただきます~



購入者のコメント