イスラエル映画『YES』が照らす10.7以後のイスラエル@東京フィルメックス
イスラエルのナダヴ・ラピド監督の新作『YES』は、イスラエル社会が過去2年余で体験した“精神的なの揺れ”を、一本の映画として結晶させたかのようだ。作品の根にあるのは、イスラエル建国期の精神を象徴する古い“友情の歌”である。戦友同士の連帯を静かに讃えたはずのその歌が、2023 年 10 月 7 日以降の状況のなかで、意味を裏返され、社会の中で不穏な力を帯びはじめた。その「ゆがみ」こそ、ラピド監督が本作で照射する核心だ。
主人公のコメディアン、Y の姿は、そのゆがみを体に受けた者のひとりとして描かれる。冒頭、彼はゴージャスなクラブのステージで、観客の歓声を浴びながら軽妙に笑いを操る。だがその軽さには、どこか“音階のズレ”のような違和感が潜む。
ここから先は
518字
この記事のみ
¥
100
みなさまからのチップ、歓迎しております~さらに充実した情報発信のため、活用させていただきます~



購入者のコメント