日銀が実施した生活意識アンケート(昨年12月)によると、1年後の物価が現在と比べて「上がる」と答えた人の比率は86%だったという。前回9月調査の88%からは低下したが、インフレが続くとみる消費者が多い。

 しかし、実際の物価見通しはやや異なる。こうしたアンケートではバイアスがかかるが、それは調査対象者が食料品ばかりを意識しているからだろう。

 そもそもインフレ率は高水準ではない。23日に総務省が公表した昨年12月の消費者物価指数(前年同月比)では、総合が2・1%、生鮮食品を除く総合が2・4%、食料品・エネルギーを除く総合が1・5%、食料品が5・1%、エネルギーが▲3・1%だった。

 特に物価基調を示す食料品・エネルギーを除く総合は1・5%であり、インフレ目標2%にも達していない。また傾向についても、前月に比べてそれぞれ0・8、0・6、0・1、1・0、5・6ポイント低下している。なお、日銀が昨年12月に公表した短観においても、物価は上がるのではなく、横ばいとなっている。

 また、23日に閣議決定された26年度の経済見通しでも、物価について「消費者物価(総合)上昇率は、食料価格の上昇幅が前年度から縮小するとともに、総合経済対策によるエネルギー価格の抑制効果も物価を押し下げる一方、需給バランスが改善する中で、基調的な物価は押し上げられ、1・9%程度となる」と記されている。

 これで、総合は、2022年度3・2%、23年度3・0%、24年度3・0%(以上実績)、25年度2・6%(実績見込み)、26年度1・9%(見通し)となり、低下傾向ははっきりしている。なお、国債市場から予想される今後10年間の平均的なブレーク・イーブン・インフレ率についても、22日現在で1・9%程度となっている。

 ちなみに、25年度ではなく、25年でみると、総合3・2%であるが、OECD(経済協力開発機構)34カ国中11位で、突出して高いインフレ国ではない。

 さらに、今回の衆院選で、与党と中道改革連合は期間は異なるが、食料品の消費税ゼロを公約を掲げている。どちらが勝っても目先の食料品価格は下がる。ただし、食料品や他の消費が増えて、その後の全体の物価が多少上がる可能性はある。それでも、物価の低下傾向に大きな影響はなく、せいぜい横ばい程度だろう。

(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

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