2025年度の個人向け国債の発行額が1月までに約4兆5253億円となり、6年ぶりの高水準という。市場金利の動きに連れて、国債の利率が上昇し人気が高まっているそうだ。
NISAで投資できるのは原則として上場株式、ETF、REIT、投資信託などであり、国債は対象外となっているにも関わらずだ。
1990年から直近までの10年国債では平均利回り1・7%、標準偏差1・8である。同じ期間について、銀行10年定期を見るとどうだろうか。平均利回り0・9%、標準偏差1・7となる。ほかの期間の国債と銀行預金の間でも、国債利回りのほうが銀行預金金利を上回っており、信用力の高い金融商品のほうが利回りが低いという金融理論に反する驚くべきデータだ。
国債が優れた金融商品にも関わらず、そうした情報が表に出てこないのは不思議だったが、ネット時代でようやく個人が知るようになった。これまでは、銀行は自らの預金金利が低すぎることが知られずに、お客に預金を提供し、その預金をお客に売らない国債で運用すれば簡単に利ざやが稼げたが、今後はできなくなるだろう。
政府も国債の有利性を宣伝しない。そもそも国債を政府は目の敵にしている。国債残高が大きく財政が危ないとも宣伝している。マスコミは相変わらず国債を減らすべきといっている。
一般国民が国債を買うには銀行や証券会社らの金融機関からしかできないのも不思議だ。銀行は預金、証券会社は株を一般国民に勧めるので、国債を勧めたくない。しかも、国も国債を勧めないので、一般国民の知らないところで、国債は銀行が持っている。
筆者は、大蔵官僚時代に新種の国債開発に関わったが、その一つに物価連動国債がある。これは、米英では標準的な商品であり、元本がインフレ率に連動するので、一般の債券ではできないインフレヘッジ機能がある。筆者の中でも最高傑作であるが、それを持っている人はほとんどいない。
こんな国債を一般国民が入手するためには、国債をNISA対象(非課税)とするとともに、政府が国民向けの直販サイトを作ればいい。かつては直販サイトは不可能だったが今やマイナンバーで簡単だ。ちなみに、アメリカでは政府の直販サイトがあり、物価連動国債も、その他の国債も金融機関を経由せずに個人が直接・簡単に買える。しかも、地方税は非課税となっている。
(たかはし・よういち=嘉悦大教授)