【中東シネマ俱楽部】青は熱い色であり、不穏な色でもある...『アデル、ブルーは熱い色』
『アデル、ブルーは熱い色』は、ひとりの若い女性が、街で出会った「青い髪の女性」に強く惹かれていく物語である。筋立てだけを追えば、これはきわめてオーソドックスな恋愛映画だ。実際、本作は長らく「レズビアンの恋愛を赤裸々に描いた作品」として語られてきた。
しかし、この映画の核心は恋愛そのものにはない。アデルとエマの関係が観る者に強い印象を残すのは、それが情熱的だからではなく、恋愛が避けて通れない社会的条件――階級、文化、出自の違い――を、ほとんど説明なしに露わにしていくからである。
教師として慎ましく生きるアデルと、芸術家として自己表現を当然のものとするエマ。二人の関係は、愛が深まるほど、静かに歪み始める。本作はその歪みを、事件としてではなく、生活感覚のズレとして描き続ける。そこにこそ、『アデル、ブルーは熱い色』が単なる恋愛映画にとどまらない理由がある。
ここから先は
1,694字
この記事のみ
¥
100
みなさまからのチップ、歓迎しております~さらに充実した情報発信のため、活用させていただきます~



購入者のコメント