【独自調査】生成AI“止まらぬ進化”―選挙での“巧妙な”フェイク拡散どう防ぐ?SNS大手5社に聞く“偽・誤情報”対策【それって本当?】
Q、生成AIを使って作られたフェイク動画について、最近では一般のユーザーが真偽を確認することは極めて難しくなっているという指摘もあります。特に今回の衆院選では生成AIを使用した精緻なフェイク動画もさらに増えることが予想されますが、どのようなものを想定し、どのように対策されますでしょうか
【Google】YouTubeにアップロードされるすべてのコンテンツは、AIを使用して生成されたものであるかどうかにかかわらず、YouTubeのポリシーの対象となります。これらのポリシーは、プラットフォーム上のすべてのクリエイターに対して一貫して適用されます。
YouTube のコミュニティガイドラインでは、かねてより有害な誤った情報や偽情報を禁止しています。また、ユーザーに誤解を与え、深刻な危害を及ぼす重大なリスクをもたらす可能性がある、技術的な操作や改変が加えられたコンテンツを削除しています。これには、AI ツールを使用して作成されたコンテンツも含まれます。コンテンツが改変または合成されている場合は、視聴者にそれを知らせるようにするアップデートも行いました。
具体的に以下のことを動画投稿者に要求します。実物のように見えるコンテンツについては、改変または合成されたメディア(生成 AI を使用したものを含む)で作成したコンテンツであることの開示を求めます。選挙関連のコンテンツもこれに該当し、一貫してこの情報を開示しないクリエイターに対する措置も検討します。例えば、実際に起きていない出来事をリアルに描いた生成AI動画や、実際にやっていない言動を載せたコンテンツなどが含まれます。
動画の説明欄に、コンテンツの一部が改変または合成されていることを示すラベルの追加を求めます。選挙など、デリケートな話題に関する特定の種類のコンテンツについては、動画プレーヤーにより目立つラベルを表示します。YouTube は、クリエイターが改変や合成が行われたコンテンツを動画内で使用している場合、クリエイターが自ら開示を行うことを期待していますが、開示が行われていない場合でも、特に、上述した取り扱いに注意を要するトピックがコンテンツで取り上げられている場合、動画にラベルを表示することがあります。
一貫してこの情報開示を行わないクリエイターは、コンテンツの削除やYouTube パートナー プログラムへの参加停止、またはその他の罰則の対象となる場合があります。自身の顔や声が模倣された AI 生成コンテンツや、その他合成コンテンツ、改変コンテンツの削除をリクエストするためのプライバシー侵害の申し立てを行うこともできます。
【LINEヤフー】Yahoo!ニュース、LINE NEWSは信頼できるパートナーと契約し記事を配信しているため、偽・誤情報が入り込みにくい環境となっていますが、選挙関連に限らず、仮に偽・誤情報が確認された場合にはパートナーとのコミュニケーションや非表示対応を行っています。また、生成AIによって作られたコンテンツについて、パートナーにはAI生成である旨の注記を表示し、ユーザーに誤解を与えないよう配慮することを求めています。
さらに、ユーザーからの通報を通じて、偽・誤情報に迅速に対応できる仕組みも整えており、外部からの指摘も活かしています。今後も技術の進化に応じて、対策の高度化や外部機関との連携を進め、信頼性の高い情報環境の維持に努めてまいります。LINEオープンチャットでは、個別の動画についてカスタマーサポートなどへの申告があった場合には、フェイク動画であることが確認され次第、ガイドラインの基準に従って削除措置を行うことがあります。
LINE VOOMでは、レコメンド面においてユーザーにリスクが発生する内容など、影響が大きいと思われる投稿に関しては、必要に応じて然るべき措置を実施します。また、傾向次第では特定のキーワードでの優先的な積極監視も強化します。
【Meta】Metaには安全とセキュリティに取り組む人員が約40,000人おり、誤情報や虚偽情報の拡散を抑制するため、AIなどのテクノロジー活用に加え、コンテンツレビュワーも用いてコミュニティ規定に反する不適切な投稿を見つけ出し削除しています。コンテンツレビュワーは日本語を含む、80以上の言語のコンテンツをチェックし、またコミュニティからの報告に対応しています。
【X】生成AIで作られたかにかかわらず、信頼性ポリシーやコミュニティーノートを活用して対応します。合成または操作されたメディアについては以下のポリシーを定めています。公共の問題について広範囲にわたって混乱をもたらしたり、公共の安全に影響を及ぼしたり、深刻な損害をもたらしたりする可能性が高いメディア(「誤解を招くメディア」)を含む偽装メディアを共有することは禁止されています。
メディアが利用者を欺くことを意図した方法で共有されているか、または誤った文脈で共有されているかを判断するため、Xでは独自の技術を使用したり、サードパーティーとのパートナーシップを通じた報告を受けたりする場合があります。当該メディアが誤解を招くかどうかが確実に判断できない状況では、Xは対抗措置を取らない場合があります。
【TikTok】新たにAI生成動画の投稿が想定されることから、選挙に関連し真偽に疑義のある動画については、ファクトチェックのスピードと精度を高め、コンテンツが広く拡散される前の段階で検知し、影響を最小化するための対策を講じています。参考までに、2025年の第2四半期には、削除されたAI生成コンテンツを含む違反コンテンツの99%以上がユーザーからの報告前に削除され、90%以上がユーザーに一度も視聴されることなく削除されています。
Q、生成AIを使ったフェイク情報にユーザーが触れる可能性がある現在、事業者としてユーザー1人1人がフェイクを見抜くためには何を心がけて欲しいですか
【Google】YouTube は、情報に対するリテラシーを高めるためのキャンペーン「#ほんとかな?が、あなたを守る」を2023年より毎年続けています。国際大学 GLOCOM の協力のもと、総務省の官民連携プロジェクト「DIGITAL POSITIVE ACTION」の実行キャンペーンの一つとして実施するこのキャンペーンは、ユーザーの皆さんに、巧妙なフェイクニュースが自分の日常に潜む問題であると気付いてもらうきっかけを作ること、そして、情報との向き合い方について考える機会を提供することを目指しています。
2025年は、杏さん、上沼恵美子さんなどの総勢 8 組の方々が参加し、それぞれの個性豊かな視点から、YouTube ショートで誤情報について発信しています。
【LINEヤフー】フェイクニュースがより巧妙に作られるようになっている現在、情報の真偽を鵜呑みにせず、多角的に確認しようとする意識がこれまで以上に大切になっています。見出しだけで判断するのではなく、出典や情報の背景にも目を向けることで、より正確な理解につながると考えています。当社では、そうしたリテラシー向上を支援するために、Yahoo!ニュース上で「ニュース健診2024」などの参加型コンテンツを提供しているほか、選挙特集ページの設置やYahoo! JAPANトップページを通じた正確な情報の掲載・誘導を行っており、これらの取り組みを通じて、ユーザーが情報を主体的に見極める力を育むことを目指しています。
【Meta】回答なし
【X】回答なし
【TikTok】TikTokでは、偽・誤情報やフェイク動画への対策を積極的に講じていますが、生成AIによって作成された、真偽に疑義のある内容を含む投稿に接する可能性もあります。
ユーザーの皆さまには、TikTokをご利用いただく際、総務省や専門家の方々などが示している考え方を踏まえ、情報に触れる際には、まず立ち止まり、その情報が事実かどうか、また自分がその情報を拡散した場合にどのような影響が生じ得るのかについて、常に考えていただくことを心がけていただきたいと考えています。
Q、平素から貴社のプラットフォームでも、内蔵または外部提携した生成AIを使ってユーザーがフェイク動画を容易に作成できる環境にあると思います。そうしたユーザー発のフェイク動画が大量に作成・投稿される現状に対する懸念や、選挙期間中に発信されるリスクについてはどうお考えでしょうか
【Google】回答なし
【LINEヤフー】ユーザーによる生成AIの利用が広がる中で、フェイク動画が容易に作成・投稿されるリスクについては、重大な課題として認識しています。特に選挙期間中は、誤情報や誤解を招くコンテンツが民主的な議論に与える影響を踏まえ、より一層の注意が必要と考えています。当社では、こうしたリスクに向き合うため、社会やユーザーの声に耳を傾けながら、プラットフォーム上の健全性を守る対応を継続しています。
また、社内対応にとどまらず、関係省庁や有識者との連携を通じて、対策の継続的な見直しと強化に努めています。また動画投稿が可能であるLINEオープンチャット、LINE VOOMにおいては、テキストや画像や動画などの投稿について、投稿ガイドライン違反のリスク判定を自動的に行うAIを利用しています。Yahoo!知恵袋では、画像判定において投稿ガイドライン違反のリスク判定を自動的に行うAIを利用しています。
【Meta】回答なし
【X】回答なし
【TikTok】AI生成コンテンツの普及により、ユーザーの表現の自由が広がる一方、選挙期間中に誤解を招く選挙関連情報が拡散されるリスクも高まっています。TikTokでは、こうしたリスクに対応するため、コミュニティガイドラインに基づくコンテンツモデレーションに加え、「AI生成」ラベルの表示およびクリエイターの皆さんへの義務付けや「コンテンツクレデンシャル」機能の活用を通じて、プラットフォームの健全な環境維持に引き続き取り組んでまいります。