高市首相が討論番組を欠席した件、いろいろ言われてますよね。
「手を痛めたぐらいで…」
「議論から逃げた」
みたいな声、SNSでたくさん見かけました。
でも、整形外科医の僕からすると、これは本当に笑えない話なんです。
「たかが握手」が、関節リウマチの患者さんにとっては文字通り「凶器」になり得るんですよ。
関節リウマチの方の手は、僕たちが想像する以上に脆くて壊れやすい状態にあります。
(※もちろん、重症度によりますが)
大きく3つの弱点があるんです。
1つ目は、骨がもろいこと。
病気や薬の影響で骨粗鬆症になりやすく、骨折リスクは健常者の1.5倍以上、股関節骨折だと2倍を超えるという報告もあります(*1, *2)。
強く握られて引っ張られただけで、骨にヒビが入る可能性を僕ら専門家は考えます。
2つ目は、関節が緩くなっていること。
炎症で靱帯がダメージを受けて、関節がグラグラなんです。
そんな状態で手をひねられたら、亜脱臼(関節がはずれかけること)だって起こり得ます(*4)。
そして3つ目が、腱が切れやすくなっていること。
骨のトゲにこすれて、ある日突然「ぷつん」と腱が切れることがあります。
そうなると指が自力で伸ばせなくなり、手術が必要になることも珍しくありません(*5, *6)。
局所のケガがきっかけで、リウマチ自体の勢いが強まって全身の症状が悪化する(フレア)可能性すらあります(*8)。(これはちょっと飛躍気味な議論ですが)
だから「手を痛めたくらいで休むな」という言葉は、あまりにも優しくないなと個人的には思います。
政治的な話はさておき、
今回の件が、目に見えない痛みを抱える人々への想像力を働かせるきっかけになってほしいなと心から願っています。
あなたの周りに関節リウマチの方がいたら、どうか握手の強さ一つにも気を配ってあげてください。
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1. Kanis JA, et al. Osteoporos Int 36:653-671 (2025)
2. Tronstad I, et al. RMD Open 10:e003919 (2024)
3. Moshayedi S, et al. Sci Rep 12:15844 (2022)
4. Raven EEJ, et al. Open Orthop J 9:246-254 (2015)
5. Biehl C, et al. Eur J Orthop Surg Traumatol 30:1499-1504 (2020)
6. Hsueh JH, et al. Ann Plast Surg 76 Suppl 1:S41-S47 (2016)
7. Bäcker HC, et al. J Wrist Surg 9:82-88 (2020)
8. Furman BD, et al. Arthritis Res Ther 16:R134 (2014)