お金の余裕は思考のバッファを広げる

お金への執着は
あった方がいいし、
なければならない

多くの人は「お金への執着は良くない」という思考停止に陥りがち。しかし、お金は人生の自由度を左右する不可欠な要素であり、むしろ健全な執着はあった方がいい。

お金の最初の効能は、不快さの除去にある。エアコンの故障を放置する生活と、即座に修理業者を呼べる生活では、快適さの質が天と地ほど違う。お金はまず、生活の質を底上げしてくれる。

さらに重要なのが、お金が認知資源を解放する効能。明日の家賃や食費の不安に思考が占有されれば、創造的なアイデアや長期的な戦略に頭を使う余力は残らない。お金の余裕は思考のバッファを広げ、自由に考える時間をもたらす。

この余裕が一度生まれると、人生は加速する。「お金がお金を生む」循環に入り、不快さの増大と認知資源の欠如という悪循環から脱出できる。

逆に金勘定から逃げていると、不快さが増し、認知資源が削られる悪循環に陥る。この鎖を断ち切る唯一の方法は、お金ときちんと向き合い、稼ぐこと。

お金への執着は、人生を大きく展開させるための必要条件。ただし、それが自己目的化し、際限のない欲望に変質すれば本末転倒である。

お金は、時間と認知資源を取り戻すための道具であり、忌避すべき対象でも崇拝する対象でもない。お金をどう得て、どう使うか。その問いに正面から向き合うことが、人生と真剣に向き合うことにつながる。

ATMでお金を降ろす
写真=iStock.com/Motortion
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IQが体感で20ほど下がった状態で判断するな

余裕はさらなる余裕を生み、
欠乏は欠乏を加速させる

きれいごとを抜きにして言うと、最低限の余裕を前倒しで生み出せばイージーモードでプレイできるのが、人生という名のゲーム。

順序が逆になると地獄モードが発動されることを、特に人生これからの人には伝えたい。

経験があるからよく分かるが、時間やお金に余裕がなくなり、常に何かに追われる感覚を持つとIQが体感で20ほども下がる。焦りが焦りを招く負のサイクルに取り込まれると、そこから逃れるのは容易でない。

IQが大幅に下がるとは、冷静な判断力を失うことを意味する。この負の連鎖に巻き込まれぬために確保した精神的、経済的な余剰は複利の力を借りて、あらゆる機会を可能性に変える。この初期投資こそが、未来の人生の方向性を決めるほどの力を持つ。

願うらくは、負のサイクルから自分を遠ざけるためにはお金を稼ぎ、金で時間を買い、十分な精神的余裕を確保しておきたいもの。

5年後のあなたが今のあなたに対して「あのとき、よく挑戦した」と懐かしく振り返るのか、「なぜ動かなかったのか」と悔やむのか。今のあなたの選択が決めることになる。千里の道も一歩から。